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形而上学的応用動物園学試論

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動物園の日々を変な方向に深く考察します。
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記事一覧

「動物園がネバーランドすぎてなかなかフィールドに卒業しない」という謎ジレンマの正…

一個の怪物が動物園界を徘徊してゐる。 「動物園は野生動物や自然環境に目を向けてもらうため…

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「あの動画」から動物園について考えてみた(試論)

枝にとまるカワセミが画面下(におそらくある水面)に飛び降り、魚をくわえて戻ってくる。する…

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人間の認知の限界 ~SDGsや生態系サービスの説明を「個人として」受け入れるには

人間は感情で動く動物である。いかに理論的に正しい行動指針でも、自分の中に行動につながる動…

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動物園のラジオ

広報担当なので、毎週放送局に行って、ラジオ番組に出演してお話をしなければならないのです。…

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標本の展示はこうあるべきだというお手本を富山市科博で見た話

富山市科学博物館では、この夏の間、特別展「大集合!富山の鳥たち」を開催しています。一昨年…

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富山県にヤマネコが出た話

【「山と渓谷」374号(昭和44年11月)より。】 「昭和四十三年十二月八日、富山県魚津市貝…

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いわゆる「虹の橋」についての考察

動物園で高齢の動物や人気の動物種の個体が亡くなると、多くの方からSNS上や献花台でお悔やみやねぎらいの言葉を頂く。お疲れさまでした、今までありがとう、残念です、安らかに眠ってね。等々である。本当にありがたく思う。 その中で最近、ここ5年くらいよく目にする言葉が「虹の橋」である。 虹の橋を渡ってください、虹の橋の向こうで安らかに、などである。虹の絵文字が添えられることも多い。 亡くなった飼育動物(ペット含む)は、どうやら虹の橋を渡るもの、らしい。 光学的な問題から虹の橋は

ホタル観察会というジレンマ

毎年6月の夏至近くの土日には、ホタルの観察会を開催している。 これが結構好評で、一晩に数…

カオスを超えて週末が近づく

今日は開園記念日なので入園無料。平日だけれどもなかなかの賑わいなのだが、最近まともに休め…

G.W.前夜

広報担当に着任してまだ10日なのに、もう起案書を30本以上書いている。 あとまるまる一日休め…

その日から死にはじめる

「〈動物行動学入門〉ソロモンの指輪」という古典的名著がある。この分野の学生なら読んだこと…

新人飼育員さんたちへ 動物園の恋愛論

結論から言うと、動物園とは恋愛である。 職場結婚が多いからとか、そういう理由ではない(私…

真夜中のメリーさん

どんな学校や職場にも、怪談や七不思議の一つや二つは付き物である。 ちなみに七不思議は4つ…

動物園のステルス値上げ

世の中、物価が上がり続けている。 セールの時でもカップ麺や缶詰が100円を切ることはなくなったし、サラダ油や小麦粉も値上がりしたままだ。ガソリンはずっとリッター160円台が続いている。 燃料が値上がりしているのだから、当然、流通コストも値上がるし、光熱費のかかる卵やハウス栽培の野菜類、密閉畜舎の肉類も値が上がる。消費者は辛いが、生産者も卸も流通もみんな辛いのだ。 そこで、というわけでもないのだろうが、直接の値上げを控えて、かわりに商品の内容量を減らしたり、原材料の質を落