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がん治療と仕事の両立相談で「退院おめでとうございます」という言葉を言うのは○か×か?

面談のロールプレイで、相談者役が「がん治療と仕事の両立」について、悩みを話し始めました。

入院治療は終えたものの、これからの通院治療を控え、仕事との両立を悩んで「仕事を辞めた方がいいかなーと迷って…」

その言葉を受けたキャリアコンサルタント役の方が「退院おめでとうございます」と。

これは是か非か。

他にも似たようなケースで、海外赴任する婚約者との結婚を迷う方へ向けて、「結婚おめでとうございます!」と言うのはどうなのかという話題もありましたね。

どちらも、正解不正解という2択の話ではないのですが、

思い悩んで、いま目の前にいる相談者は、その話題に「祝いの気持ちを抱いているかどうか」想像してみたいですね。

退院された方のケースで考えても、

がんの宣告を受けてから、そして治療を始めてから、入院中も何回も、

なんでこんなことに…と自分を責めるような思い、本当に治るんだろうか…がんばってきた仕事、今どうなってるんだろう…と尽きない不安、いくら考えても答えが出ない…「相談してみよう」とは思ったけれど、どんな風に話したらいいんだろう…

きっと目の前に座るまで、本当にいろんな思いを行きつ戻りつしていたのではないでしょうか。

そんなことを想像すると、本当にこの方にとっての「退院」はどんな気持ちなのか?

会ったばかりで本当のところが理解できないまま、

世間一般としての「退院=お祝い」の流れで祝ったり、

「退院=一歩前進」と支援者の視点で励まそうと「お祝い」したりする前に、

ちょっと立ち止まりたい。

話していくうちに、「何とか退院までこぎつけました…」と話されたのであれば、「退院おめでとうございます」という言葉を伝える機会があるかもしれませんが、

その時は、そこまでのその方の気持ちの変遷を「思いやり」、その思いをかみしめ、労う口調での言葉になります。

人のこころに関わる上で、正解不正解と決めることは、そぐわないですが、

支援する上で、精一杯その方を大切に思い、気持ちを分かろうと「思いやる」気持ちを、どのような言葉でどう伝え、そしてそれがどう伝わっているか、敏感に…。


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