見出し画像

「発達障害」はなぜ最近になってよく耳にするようになったのか?

私は、夫と息子は軽度のASD(自閉スペクトラム症)Autism Spectrum Disorderではないかと思っています。思っているだけで診断は受けていません。

夫は、普通に会社で働く三十代です。
少し前にメンタル不調を訴え、精神科とセラピストにお世話になりました。
処方されている薬は抗うつ剤の為、初めは鬱なのかと思っていましたが
調べているうちに、発達障害、アスペルガー が気にかかるようになりました。

これを機に、ネットでいろいろ調べていると、疑問が湧きました。
以前は、それほど「発達障害」って言葉を目にしなかったのに新聞などでも取り上げられ、発達障害専門のサイトがあったり。しかも、人によってアスペルガー 症候群と言ったり、ASD(自閉スペクトラム症) と言ったり...
なんだか違和感を感じたので、調べてみました。

ここに書いた情報はオンラインコースで学んだ事をベースに書いています。このコースは約1ヶ月間は無料で学べます。

オンラインコース: Understanding Autism 
自閉症を理解するとういうコースで、The University of Kentイギリスの大学が提供するコースです。

自閉症の歴史(簡易バージョン)

1910年にスイスの精神科医であった、オイゲン・ブロイラーが、英語のAutismsという用語を使ったのが始まりのようです。現在使われているAutistic(自閉症)はギリシャ語で自己を意味します。

ブロイラーは、統合失調症の調査の一環の中で「自閉症」の症状を説明していました。彼は、統合失調症の一部と見なしていたこれらの症状を持つ人々が自分自身の殻にこもり、現実の社会に馴染めない事を暗示しました。そして、人間には生まれ持った何かがあるという信念に固執していた。それは、私たちが現在自閉症と呼んでいるものにつながるいくつかの有機的な原因でした。

1938年にハンス・アスペルガー は、その時一緒に働いていた少年たちについて、「彼らは小さな大学教授だ」と自閉症について言及しました。彼らは、有能な少年で非常に成功したキャリアまでたどり着いたそうです。
しかし、その中の数人の子供は、共感したり他人の感情を理解する事が難しく、また特別な興味を強く持っている。これらには根拠があるはずと確信していると述べた。また、同じ時期にアメリカでは、小児精神科医レオ・カナーが似たような子供達について話していたが、アスペルガー が調べていた子供達よりも知能的能力は劣っていました。そして彼は、この子供たちは、初期の幼児自閉症を持っていると説明しました。

1949年、カナーは統合失調症の説明として、この子供たちと両親の間には感情的に距離があったと主張しました。これは、「Refrigerator Parenting」(冷蔵庫子育て)として知られるようになった。その当時、自閉症は家族にとって恥と汚名になり、その後、2世代にわたり施設に送られてしまい世界全体から顧みられない存在になりました。
*Refrigerator Parenting(冷蔵庫子育て)とは:冷淡で愛情に欠けた養育

1940年代半ばからBruno Bettelheim(ブルーノ・ベッテルハイム)は、アメリカのシカゴ大学で働いていました。彼は精神科医として精神力動に非常に影響を受けました。そして、カナーの説いたRefrigerator Parentingを助長させました。自閉症は明らかに心理的であり、心理的な問題によって引き起こされたものであると大きく発表しました。今では、彼が自身の資格を完全に誇張していた事がわかっています。彼がアメリカにわたる前、まだウィーンにいた時、実際に3つの心理学入門コースを受講しただけでした。彼が取得した博士号は実際には美術史でした。そして、児童精神医学についてほとんど知りませんでした。彼は体罰には反対と主張していたにも関わらず児童精神医学の仕事では、子供達を傷つけていた事が目撃されていました。こんな人物でしたが、彼は初期の自閉症という考えかたに、とても大きな影響を与えていました。そしてとても興味深いのが、彼の著書作品は、1990年に亡くなるまで非常に影響力がありました。その後、世界の多くの国では”Refrigerator Parenting(冷蔵庫子育て)”が自閉症に影響していたという考えは、過去の間違った情報として受け入れられていますが、いまだに、この間違った情報が自閉症の話題に出てくる事があります。現在は、特に韓国とフランスで話題になります。

1970年代マイケル・ラターの双子の研究から、自閉症が遺伝的または生物学的影響を受けているという証拠が増えてきました。。

1970年代後半から1980年代前半ロンドンでローナ・ウィングジュディ・グールドがロンドン南部の地域の人々と研究を進めている際にハンス・アスペルガーの研究を発見し、その情報を自分たちの研究に生かし自閉症スペクトラムの考え方を生み出しました。そして1990年代にアスペルガー 症候群が診断基準として加わました。スペクトラムに大きな幅(全く意思疎通のできない自閉症かっら日常生活は送れている自閉症)がある事が認識されたのが1980年代から1990年代でした。そして最近になってアスペルガー 症候群は基準から外されました。

今現在使われている、「自閉症」という一つの基準は、全く話をできない人も「自閉症」、日常生活を送って会社などで仕事をしているけど、ある一定の症状がある人も「自閉症」と同じ言葉が使われています。この考え方はここ数十年で定着してきました。その結果多くの注目が集まり、より多くの人々が診断されるようになりました。最近になってよく聞くようになった自閉症は急増したわけではなく、物事の定義が時代によって変化してきたという事です。

自閉症については、まだわかっていない事も沢山あるようで、自閉症が何であるかという事は発展途上です。アスペルガー 症候群がASD(自閉スペクトラム症)という基準に変わったように今後もまた基準が変わっていくのでしょうか....



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?