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なにを抱こう

言葉を探している。

私達が生きながらえている奇跡を表す言葉を。


この空の、見えない先の色を見ようとして。


社会の規範に尊厳を抱き

時代を牽引し 逞しく

喧騒の渦中で 営みに勤しむ人達からすれば、

私なんてものは 風に乗っかるポリ袋のように

中身の無い、なんともか弱いものだろう。


全く仕方の無い事で、私には充分過ぎるのだ。


日々続いていく勤しみの中、

目覚めの朝、瞳孔を指す陽の光

絶えずこの胸に流れ込む、木々の吐息

分厚い雲の上で、今も空は美しく広がっている

それだけで、本当に充分なのだ。


この世に生命として生きる理由なんて、

毎朝、目を覚ます理由なんて


胸の辺りが膨らんでる

吐きたいような、歌い出したいような、

どちらでも選べるし、どちらでも良いから、

私らいつでも 意味なんて呪文を作り出して

我慢したり、与えたり、奪って、愛したりする。


この世に生まれ落ちる寸前

生きる準備が出来た時、何を見たかを思い出そうとしている。

少し黙っててくれたら、もう少しで分かりそう。


眩しい陽が登り 頬に風を感じる

山の上、小川の傍、木の麓、貴方の目の前


恥ずかしくて、愛おしくて、


言葉にならない一瞬が、もうそこまで来ている。


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