ADHDと薬(コンサータとは?)

ADHDの治療で使われる薬、コンサータについて、

現役薬剤師が解説します。

ADHDの原因

はっきりとした原因は分かっていませんが、家族性があることが知られているので、遺伝子が関わっていると考えられています。

この遺伝子の情報によって、体の働き、脳や神経の働きがプログラミングされます。

脳内の神経細胞では電気的信号によって、情報がやりとりされています。

神経伝達物質は、脳内の神経細胞間で送られる、電気的信号を伝える役割を担っています。

神経伝達物質には様々あり、興奮的に働いたり、鎮静的に働いたりするものがあります。

その中でも、ADHDでは、ドーパミン、ノルアドレナリンが関わっていると考えられています。

ホルモン、薬のはたらき

ドーパミンは、運動調節、意欲、快感に関わっています。

ノルアドレナリンは、活動性、意欲、集中力に関わっています。

神経細胞間では、ドーパミンなどの神経伝達物質が放出され、その先の受容体(レセプター)にくっついて電気的信号が伝えられます。

この電気的信号によって様々な反応が起こります。

ただし、放出された神経伝達物質が全て使われるのではなく、一部は再取込みという過程で元の場所に戻る動きをします。

その再取込み口を塞いでドーパミンやノルアドレナリンが戻らないようにする薬が、コンサータです。

それによって神経細胞間にドーパミンやノルアドレナリンが増えるので、それらの作用が強くなり、集中力が増すなどの効果が出ます。

元々は・・・

コンサータの主成分はメチルフェニデート。

これは、リタリンという薬で先に発売されていました。

ナルコレプシーの薬です。

ナルコレプシーとは過眠症とも訳され、意図しない時に不意に眠ってしまう疾患です。

リタリンは、ナルコレプシーの人の覚醒状態を改善する薬で、ADHDの人の集中力アップなどにも効果があります。

過去にリタリンは、乱用や依存症が問題視されていました。

ナルコレプシーの人にとっては救世主的な薬だっと思われますが、安易な処方によって黒歴史をもつようになってしまったのです、

しかし、安全使用のための制度が整えられたり、製剤化が工夫されたりして、2007年に、ADHDの治療薬としてコンサータが承認されました。

副作用は?

コンサータは8割の人に効果があると言われています。

これは、かなり実感を期待できる数値です。

効果が出やすいということは、体に作用しやすいこと、つまりは出てほしくない副作用も出やすいということです。

副作用は、食欲減退が最も多く、小児でも大人でも40%ほどの発現率です。

2人に1人ぐらいで食欲が落ちます。

その他、不眠(5〜18%)、体重減少(5〜20%)、頭痛(3〜10%)、動悸(22%)などです。

副作用は比較的出やすい薬です。

風邪薬でおなじみのPL配合顆粒の副作用のうち、眠気(5%〜)、口の乾き(5%〜)と比べると、コンサータで副作用が出やすいというのは、お分かりいただけるでしょう。

副作用が辛い、日常生活に支障が出るようなら無理しない方がいいですが、それを上回る効果を期待できるのも事実です。

効果と副作用の兼ね合いが大事です。

何を優先するか、よく考えることです。

飲んで大丈夫?

ADHDの症状がある人にとっては、集中できない、などの症状は辛いものです。

そういった人にとっては、とても有効な薬です。

コンサータはどの医師でも処方できる薬ではありません。

きちんと研修を積み、疾患や薬に対して理解を深め、登録された医師のみ処方できます。

精神科系の薬を飲むことに不安を感じる人もいます。

しかし、医師も安易には処方しません。

状態をみて、必要性と安全性を考えて処方します。

どうか、つらい日常を我慢せず、まずは一歩踏み出してみてほしいと思います。

薬に頼りきりにならず、自主的に薬を使うという気持ちでいれば、安全に使えます。

今まで何人も救ってきた薬なのですから。

問題があれば、承認が取り消せされるはずです。


衝動が抑えられなくて辛い、という人は無理せず、市区町村の支援センターや医療機関で、まず相談してみてください。

我慢せず、一歩踏み出す勇気を。


ては、また。

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