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『諸聖人の日、わかるような、わからないような祭日~イタリア編~』

日本でも随分メジャーになった『ハロウィン🎃』ですが、ここイタリアでも近年、子どもがいる家庭やお友だち同士で楽しむイベントになった印象です。
ご存知の方も多いとおり、もともとはアイルランド発祥とされている秋の終わりを意味する行事、かつてイタリアではメジャーでなかったと言えるエピソードのひとつに、あるアメリカマンガで『ハロウィン』を取り上げたストーリーの訳になぜか『かぼちゃ🎃』ではなく、夏の果物『スイカ🍉』のイタリア語が使われていたほどです。

さて、イタリアで新しい文化の『ハロウィン』とは対照的な祭日をご紹介します。
ここイタリアでは、11月1日が祭日で『諸聖人の日(IT語 トゥッティ・サンティTutti Santi))』と呼ばれています。日本では祭日が廃止され久しく、全てが祝日とされていますが、カトリック教徒が多いこの国では年間をとおしての祝祭日の大半が祭日です。

カトリック教会では、生前ミラクルを起こした人、徳を積んだ人が亡くなったあとに聖人とされます。聖人は教会が決め、またそれぞれの聖人の日も教会により決められます。
例えばローマの守護聖人『サン・ピエトロ』ですが、この場合、『ピエトロ』が聖人となったことを意味し、教会が定めた日の6月29日が聖名の祝日として決められ、縁が深かった町のお休みになる仕組みです。
年間を通じてこの聖名の祝日が毎日ある国なのですが、その全ての聖人に敬意を払う日として定められたのが11月1日の『諸聖人の日(IT語 Tutti Santi)』なのです。

この日にカトリックの人は何をするのかと言うと、敬虔な信者は教会のミサに行きますが、イタリア人のほとんどは家族で集まりテーブルを囲む感じです。罰当たりかもしれませんが、何かきっかけが欲しい、集まりたい、美味しいものを食べたい、にぎやかに過ごしたいイタリア人、この日も集まりおしゃべりがはずみます。
クリスマスやイースターのように食卓にのぼるお料理は決まっていませんが、一般的に秋の食材を中心にしたメニューが多いです。

翌日の11月2日は祭日ではないですが、『死者の日(Giorno dei morti)』とされており、死者の魂に祈りを捧げる、すなわちお墓参りをする人が多いです。学校や職場がお休みではないので、この日の前後の週末にお墓参りをする家庭が多く、日本の彼岸のような感じです。
この時期は生花店の店先には切り花や鉢植えの菊が並び、日本ほどお墓参りの習慣がないイタリア人もこのお花を見るとそのことを思い出して足を運びます。

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また、この時期よくお店で目にするお菓子は『トローネ(ヌガー)』で、亡くなった方が天国へ向かう旅の無事を祈り食べられています。
オリジナルはシンプルに白ではちみつとアーモンドで作られていますが、チョコレートフレーバーなどバリエーション豊かです。シンプルなお菓子でありながらもあと引く美味しさ、ただし食べるときには、歯にくっつきやすいのでお気をつけください。やはり甘いものに目がないイタリア人、どんな行事のときもスイーツはつきものです。

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地中海に面したイタリアではありますが、日本同様、四季がはっきりとしていて、全国各地に秋の味覚がたくさんあります。実りの秋の恩恵、美味しいものをいただき、晩秋を堪能しましょう。

『ハロウィン』が終わると、イタリア各地イルミネーションの魔法でクリスマス仕様に町並みが変身をしていくのも楽しみのひとつでしょう。

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