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俳句津々浦々(16)

副会長夏井いつきのライフワークである「俳句の種蒔き」活動。その中で出合った俳句をご紹介します。


持ち歩く母の実印銀杏散る

作者の事実は置くとして、母親の実印を持ち歩くとはどういう状況か。何かの重要な契約を母に代わってするため。記憶の薄らいでいる母には実印を持たせられないため。印鑑登録証のない昔なら役所に印鑑証明をもらいに行くため。
にしても、「持ち歩く」のである。つまり、肌身離さず、持ち歩く。もういない母の思い出のように持ち歩くのか。あるいは何かの事情で借りていた実印を返すために実家に向かうのか。
実印と母の存在と不在が気になる。

~2023年10月21日 三重 夏井いつき 句会ライブ in いなべ~(加根兼光:nhkk協賛サポーター)


nhkk事務局:
「俳句津々浦々」が、市井の俳句や、身近な場面が詩になっていく俳句の楽しさに触れ合うぺージになればと思っています。
17音で詠んで読む俳句は、気軽に取り組むことができる可能性に満ちた魅力的な教材(文芸)です。学校現場で俳句に取り組まれている先生方からの具体的なご報告もお待ちしています。

■日本俳句教育研究会(nhkk)
「俳句」を教材とした様々な教育の可能性を研究する日本俳句教育研究会は、「俳句」を教材に教育活動を展開しようとする教師や俳句愛好家の情報交換の場になりたいと活動する任意団体です。