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俳句津々浦々(1)

副会長夏井いつきのライフワークである「俳句の種蒔き」活動。その中で出合った俳句をご紹介します。


秋さびし瓶なら我れはその他びん

ごみ収集のイメージからの句。さまざまに仕分けられるガラス瓶のなかでも、「その他びん」。茶色でもなくグリーンでもなく、まして透明でもない。まるで分類されることを拒むようにポツンとある瓶。大きさも形も、すこし変わっているのかもしれない。そんな「その他びん」である私が、ポツンと居る。季語「秋さびし」が率直過ぎる斡旋ではあるが、心情をストレートに吐露するのではなく、瓶に仮託した表現の底にある「さびしさ」は他の季語に置き換えられないのだろう。溶解され、姿を変え、やがて「何者かである瓶」になるまでは、その寂しさを持ち続ける「その他びん」であり続けるのだろうか。

~2023年12月16日 埼玉 夏井いつき  句会ライブ in 上尾~(加根兼光:nhkk協賛サポーター)


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「俳句津々浦々」が、市井の俳句や、身近な場面が詩になっていく俳句の楽しさに触れ合うぺージになればと思っています。
17音で詠んで読む俳句は、気軽に取り組むことができる可能性に満ちた魅力的な教材(文芸)です。学校現場で俳句に取り組まれている先生方からの具体的なご報告もお待ちしています。

■日本俳句教育研究会(nhkk)
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