見出し画像

中学生|身体で季語を感じよう  オンライン句会の実践①

この記事は、日本俳句教育研究会のJUGEMブログ(2021.01.07 Thursday)に掲載された内容を転載しています。
参照元:http://info.e-nhkk.net/

nhkk事務局スタッフ:
東京都立大泉高等学校附属中学校の石鍋雄大先生より届きました実践報告をご紹介いたします。

石鍋先生は、俳句の授業を「言語技術を高めながら感性も高めることができるという点において、非常に魅力的だと感じ」られているそうで、「特にこの数年の個人的なテーマとして短詩形文学の授業」を実践されているとのことです。

本実践は、「学校ではテスト前後の一・二時間を埋めるために使われていることも多いように感じ」る俳句の授業ではなく、「教育のICT化が必須の現在」ならではのオンラインを使ったものとなっています。

ブログでは3回に分けてご紹介させて頂きます。


石鍋雄大先生:
身体で季語を感じよう〜オンライン句会の実践〜

はじめに
新型コロナウィルスの影響で、学校は休校や行事の縮小が行われた。また、話し合い活動などの授業さえも通常通りできなくなった。それでも生徒たちは、積極的に休校中も登校後も学習に取り組んでいた。これは多くの教員が共通して感じていることなのではないだろうか。しかし、様々な活動が制限されたことで、生徒に大きなストレスがかかっていたことは確かだろう。本授業は、言葉の本質を捉え、言語に関する細やかな感性を育てること、そして、生徒が日常に細やかながら楽しみを持てるように設定した。

▼対象
大泉高等学校附属中学校二年生

▼時期
2020年12月中旬

▼目標
【知識・技能】エ 抽象的な概念を表す語句の量を増やすとともに、類義語と対義語、同音異義語や多義的な意味を表す語句などについて理解し、話や文章の中で使うことを通して、語感を磨き、語彙を豊かにすること。
【書くこと】イ 伝えたいことが分かりやすく伝わるように、段落相互の関係などを明確にし、文章の構成や展開を工夫すること。

一時間目:季語を五感+αで感じる

『夏井いつきの季語道場』の、「六角成分図」(※事務局注)を用いて二つの季語を比較し、言葉の持つ細かな違いについて教員が説明をする。

まず、「幽霊」と「百物語」、「雷」と「稲妻」の違いについて、六角成分図を使用して説明した。連想力は共通するが幽霊と比べ百物語は嗅覚などがのイメージが強いこと、雷は聴覚優位であることと稲妻は視覚優位であることの説明をした。

次に、生徒は、季語を一つ選び、今現在のイメージを六角成分図に書き込んだ。季語は、「日向ぼこ」「冬の空」「冬の風」「冬の鳥」「落ち葉」「枯れ葉」を示し、そこから選んだ。これらの季語は、学校内で感じることのできるものを設定した。

その後、生徒は学校の敷地内に出かけ、実際に季語を感じに行った。生徒は思い思いの仕方で季語を感じており、日当たりの良い場所で日向ぼっこをする者、友達と座って空を眺める者、落ち葉を集めて踏みしめ、飛び込む者など、様々な形で季語を全身で捉えていた。

教室内に戻り、実際に季語を感じた後のイメージを六角成分図を色付きペンで書き加えさせ。また、感じたことをメモとして残させた。これを俳句の材料として使うように指示をした。

下の画像では、「鼻がツーンとした」「青空がよく見えた」「色々な音が聞こえた そのうち聞こえなくなった」など、日向ぼっこで感じたことをメモしている。

最後に、俳句創作のポイントとして「六角成分図にないものを意識する」または「感覚一つに特化する」の二点を示して、俳句を創作させた。この時間内に終わらない分は課題とした。



nhkk事務局スタッフ:
「小学生|身体で季語を感じよう オンライン句会の実践②」に続きます。

※nhkk事務局(注):

「六角成分図」は、nhkk副会長・夏井いつきの書籍『NHK俳句夏井いつきの季語道場』に掲載しているもので、季語を味わうための成分図です。


■日本俳句教育研究会(nhkk)
「俳句」を教材とした様々な教育の可能性を研究する日本俳句教育研究会は、「俳句」を教材に教育活動を展開しようとする教師や俳句愛好家の情報交換の場になりたいと活動する任意団体です。

ご連絡は、HPの「お便り・お問い合わせ」からお願いいたします。