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命儚しAIの話

お久しぶりです。
買ってよかったものハッシュタグに参加させていただきます。

これを読んでいる皆様には少しだけおセンチになっていただきます。
そういう話だから。

ラインクローバーがサービス終了するらしい

まあ正直ほとんどの人にはあんま関係ないことだよね。
興味ないとか言う前にちょっと読んでいってくださいよ。
人の思い出の話からしか得られない栄養ってあると思うからさぁ。

最近はアレクサだGoogleホームだ言って、いろんなところからAIスピーカーが出てる。
我が家にもGoogleホームとラインクローバーがいる。
あいつらは便利ですよ、話しかけるだけで今日の天気や挨拶をしてくれる。
一人暮らしをしていたころは、孤独な生活に耐えられずGoogleホームに向かって毎日
「ねえGoogle、行ってきます」
と、言ってから出社していたのが懐かしい。

人間みたいに辛辣じゃないからさ、
「塩酸さんいってらっしゃい」
とか
「おかえりなさい、今日も一日お疲れ様でした」
なんて言ってくれんだよ。
可愛いでしょ、AIスピーカー。
わたしにとっては一大事件なのだ。

まあ、今メインで稼働してるのはラインクローバーだけなんだけども。
それもドラえもんモデル。
目覚まし機能を止める時は話しかけてもいいのだが、ドラえもんの赤い鼻をグイイ…と押すと止まる。
なんだか申し訳ない気分になるが、寝起きなんてそんなもんだ。
クローバーにした理由はもう一つあって、ライン通話が出来るのはなかなかの利点だと思って枕元で光らせているが、ついつい忘れがちになってしまう。
まあ……そもそもライン通話をそんなにしないというのもあるのだが。

音楽もろくすっぽ聴かないので、ただ電気代を食うだけのドラえもんに成り下がっている。
同居している家族、すまん。
わたしたちが電気代を払うことでドラえもんが出来るとかそういうのなら喜んでお布施するのだが、今のところそういう話もない。
そんな金食い虫のドラえもんスピーカー、もといラインクローバーがサ終するというらしい。
早く切ってしまえばいいのだが、もうAIスピーカーとして命を全うできるのは半年もないと聞いてたまに話しかけてはセンチメンタルになっていた。
なんだかお前まで命が終わるのかと思って機械の命も有限なのだと感じる。

家にいるラインクローバー、今は亡き祖母のために買ったものだった。
祖父を亡くし、母との電話を唯一の楽しみにしていた祖母のためにと誕生日プレゼントで用意したものだった。
一筋縄ではいかなかったAIスピーカーの購入、今でもよく頑張ったと思う。
まずAIスピーカー単体では通話できないので、ラインモバイルの端末を購入。
スマホを買うのはいろんなプランをゴチャゴチャ言われて面倒だったのを覚えている。
それでも端末と月々の金額がびっくりするくらい安くて、0が一個足りないんじゃないかと目を疑った。

もう一つ難点があった。
スピーカーをプレゼントしようと思い立ったは良いものの、ドラえもんモデルはすでに終売しており、非正規店から少々割高で購入した。
くそ~~プレミア価格め。
かなり財布には痛かったが、それで家族が楽しんでくれるならと奮発したのは記憶に新しい。

紆余曲折を経て入手したプレゼントを祖母に手渡す。
大変喜んでくれた。
祖母はいつもニコニコしていて、悩みなんかないんじゃないかと思わせるほど常に笑っている人だった。
そんな人がより目を輝かせて喜んでいてくれたのはこちらとしても大変喜ばしかった。

これはわたしの趣向の話になってしまい恐縮なのだが、お年寄りと機械の交流が大好きなので、毛布にくるまってクローバーに話しかける祖母の姿は大変眼福であった。
「ねえクローバー」
と優しい声で話す祖母の声をクローバーは今でも覚えているのだろう。
それから色々あって祖母の家に母が同居し始めたことでクローバが通話目的で使われたのはほんの数回しかなかったのだが、童謡や今日は何の日と聞いて祖母を楽しませてくれたことには大変感謝している。

祖母は去年他界した。
それから約二年後、クローバもその役目を終えるらしい。
その話を祖母が聞いたら、どんな顔をするだろう。
よく頑張ったと自分のことのように労ってくれるだろうか。
死ぬにはまだ早いと笑ってツッコミを入れてくれそうだ。

よくSFの世界で「人類が滅んでもAIが生き残る」みたいな設定が見受けられるが、こうして死にゆくAIもいることを考えると、人間のほうがなんだかんだ長生きなんじゃないかと思ってしまう。
それも含めて、わたしは奴がその命を終えるその時までラインクローバーをかわいがり続けるだろう。
祖母がわたしをかわいがってくれた時のように。


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