課題に対する仮説を持とう

もともと答えのない問題に時間を割くことは”無駄”である。では「どうして答えのないもの時間を割いてしまった」のか?

それは”問題の見極め”ができていないから。つまり「何に答えを出す必要があるのか」、そして「何を明らかにすれば良いか」が曖昧なままにしているからだ。

逆にいうと、「答えを出す必要がないもの」や「何を明らかにすれば良いかが分からないもの」はそもそも”課題”としての要件を満たしていないとも言える。

良質の課題はその人の人生を豊かにすることにつながる。『ISSUE DRIVEN』では”良質な課題”を設けるためにいくつかのポイントを提示しているが、その中で特に注意したい点をとりあげたい。

今、教育現場では探究の視点が求められており、その過程において「なぜ?」と問うことが重要視されている。それは「なぜ?」と問うことで出来事の社会的背景が分かるとされているから。

ところが、ただ「なぜ?」と問うことは大きな問題があるとされる。なぜなら問題の焦点が定まらないからだ。

例えば、「なぜ今の職場は働きづらいのだろう?」「どうしてアメリカで鉄鋼業が成長したのか?」と考えてみるとどうだろう。あまりにも多くの解答が想定され、何から改善すれば良いのか分からなくなる。そう、大切なことは焦点化された上での探究だ。

ではどうすれば良いのか。それは「仮説を取り込んでみること」だ。上の例で考えるなら、働きづらさをさらに分解して何が働きづらさとなっているのかを鮮明にし、それをどうするか明確に考えてみる。「今の職場が働きづらいのは、自分がしたいことに費やす時間がとれないからではないか?」。こう考えると、「自分が予定を組んでいた時間に何かしらの障害が生じている」と考えられ、その障害を排除する方法を考えれば良い。

アメリカの例も同様だ。アメリカと同様に資源に恵まれた国は多くあるわけだから資源以外の要素に目を向けられたら良い。例えば、「水運」「ビッグスリー」「大量生産方式」あたりのキーワードが中学校社会科で使えそうだ。

「仮説」は大切だ。「どうして?」と疑問に持ってもその先に踏み込めるかどうかはこの「仮説」を持てるかどうかにかかっている。当たり前のようで意外とできない「仮説づくり」、あなたはできますか?

『イシューからはじめよ〜知的生産の「シンプルな本質」』安宅和人 英治出版

#知的生産 #仮説 #IssueDriven #課題探究


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