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「狩野モデル」の論文を読んで気がついたんだが品質要素のカテゴライズってあらゆる活動に応用が効く万能概念なのかもしれない

よくあるライトノベルみたいなタイトルになってしまいました。

みなさんは「狩野モデル」って知ってますか?

正直なところ僕はつい最近知りました。
ざっくり説明すると「お客さんを満足させる品質には幾つかパターンがあるよ」って論です。

品質管理の権威である狩野紀昭が1984年に論文を発表し、今でも世界的に「Kano Model」として認知・利用されているそうです。

先日、この論文を読む機会があったので、まとめてみました。

カテゴライズしようとしたら「主観的側面」と「客観的側面」が現れて、「二人の関係性」はこれからどーなっちゃうの!?

せっかくなのでタイトルに合わせて題目もラノベっぽくしてみようかな。
ラノベというよりティーンズコミックの帯みたい。

まずカテゴライズには2つの基準軸が必要になります。

・客観的側面(物理的充足状況)
・主観的側面(満足感)

はて、何のことでしょう。

例えば、とあるメーカーが新商品を開発・発売するとしましょう。
きっと企画部門やマーケティング部門はこう考えるはずです。

『こんな便利な機能がこれだけ付いていたら、お客さんの満足度はこれくらい上がるだろう』

ここでいう「こんな便利な機能」が物理的充足状況、「お客さんの満足度」が(その名の通り)満足感という基準軸として使われます。

この「狩野モデル」が提唱されるまで、この2軸は一元的な関係として認識されていました。

ボールペンのインクが出る→満足度が高い
ボールペンのインクが出ない→満足度が低い

てな具合。

一元

ところが高度経済成長も落ち着いて10年以上が経ち、バブルも始まりかけていた当時の日本人消費者達はそんなに甘くありませんでした。

「ボールペンからインクが出る?何を言ってるんだ?お前は」

そう、ボールペンからインクが出ても満足しなくなってしまったのです。

そこで生み出されたのが、
物理的充足状況を横軸に、満足感を縦軸に据えた「二元的品質要素」でした。

二元

俺の一元的品質要素が二元認識で表せるはずがない!

ちょっと無理あるな。
しかも間違ってるしね、表せるからね。

品質要素を二元的に表現することで、幾つかの要素にカテゴライズできるようになります。
順に紹介していきましょう。

まずは、先述した「一元的品質要素」です。

一次元的品質要素

これはさっき説明したやつですね。

・充足されれば満足を与える
・不充足であれば不満を引き起こす

もしマーケティング部門のマネージャーが魅力的品質要素で顧客満足度を分析したら

だんだんひどくなる・・・。
ドラッカー流行りましたよね。ってか、もしドラってラノベになるのかな?。

2つ目の要素である「魅力的品質要素」については、まず図を見てみましょう。

魅力的品質要素

この要素は

・充足されれば満足を与える
・不充足であっても「仕方ない」とされる

実例を挙げるならハイレゾ音源の音楽がこれに該当するでしょう。

僕は普段スマホアプリで音楽を楽しんでいるのですが、先日ハイレゾ音源版の曲と聴き比べる機会がありました。

めっちゃ音きれい!

安っぽい耳に加えて、僕の壊滅的な語彙力でこれ以上の感想・表現は難しいです。ご容赦ください。

これってまさに「魅力的品質要素」ですよね。
キレイな音で聞けたら満足!でもまあ、普通に聴けりゃハイレゾ音源じゃなくても文句はないよ!
という状態です。

やはり俺の当り前品質要素はまちがっている

別にまちがってないしね。
飽きてきたのでこれで最後にします。

さて3つ目の要素は「当り前品質要素」です。

先ほどの二元認識概念図で表すと

当り前品質要素

のようになります。

・充足されれば当り前
・不充足であれば不満を引き起こす

先述したボールペンの例は、現代においてこの要素に分類されるでしょう。

インクが出て当り前、出なかったら「ふざけんな!」ってやつですね。

おまけ:その他の品質要素

先に紹介した3つの主要素に加えて、他にも考えられる要素についても紹介します。

無関心品質要素

・充足しててもしてなくても、満足もしないし不満も起きない

無関心品質要素

やってもやらなくても、顧客満足度に影響を与えないサービスってやつですね。

逆品質要素

・充足されていることで不満を引き起こす
・不充足であることで満足を与える

逆品質要素

いわゆる、生産者が頑張ったものの裏目に出ちゃうやつですね。
「余計なお世話」系サービス。

広く応用の効くカテゴライズ

さてここまで紹介したこの概念はメーカーが製品開発するときの話限定ではなく、もっと応用が効くと思うのです。

サービス業はもちろんのことですが、広義で捉えると「相手が存在する活動」全般に当てはまるのではないでしょうか。

僕はSEが本業です。
SIer系なので、お客さんの要望に合わせてシステムの保守・開発をメインの業務としています。

自分の業務に『狩野モデル』を当てはめてみると、下記の品質要素が顧客満足度に影響を与えると考えられます。

・当り前品質要素:お客さんからの要望通りに機能を実装

 例)「このボタンを押したら、データ検索して画面に一覧表示してほしい」
  指定通り一覧表時される → 当り前だよね
  指定通りに一覧表示されない → は?ふざけるな

・魅力的品質要素:ある程度のパフォーマンスを担保

 例)「ボタンを押してから一覧表示するまでにかかる時間」
  めっちゃ早い → すごい!一瞬じゃん!
  数秒かかる → まあ、それくらいはかかるか

あくまで極端な例ですが、上のように分類できそうです。

皆さんの身の回りではいかがですか?

今回紹介した『狩野モデル』を基準に、計画的・戦略的な顧客満足度の向上を目指せないか、検討してみると面白いかもしれません。

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