改造バイノーラルマイク

市販の『バイノーラルマイク用スタンド』を改造して、一体型バイノーラルマイクにする方法を紹介します。

自作バイノーラルマイクの製作記事は結構あるのですが、こちらのスタンドを改造して作ったものは耐久性が高く、任意のタイミングで置き位置や向きを変えたりできてマイクが脱落することもないので使いやすいです。使用するマイクの素子によっては簡易防水(恐らくIPX4相当:水しぶきに耐える)にすることも可能です。材料はスタンド・直径約6mmのコンデンサーマイク2個・ステレオシールドケーブル(左右を裂いて分けられるもの)で、高感度マイクや防水マイクを使用しても予算は8000円ちょっとくらいなので、スタンドと外付けマイクを購入するより安価です。必要な工具はハンダゴテ+ハンダ、ニッパー、カッター、ドリル+刃です。

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こちらのスタンドは、本来は上の画像のようにイヤホン型マイクを挿入して、人間の頭の代わりに使用するものです。

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このタイプの外付マイクの多くは耳孔側にイヤフォン、外側にマイクが付いているのですが、このように収音位置(マイク)が耳孔の外になってしまうため、厳密な意味ではバイノーラルと違った音になっている可能性があります。また、動かすと脱落することがあり、セッティングも(僅かですが)手間です。こちらをマイク一体型(内蔵)に改造します。

まずは、下の画像のように両側のシリコン部分を外します。根元を引っ張れば簡単に外れます。シリコンの部分には改造するのに都合よく、表面側にΦ6mmくらいの穴が開いていて、奥が貫通穴になっています。

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次に、プラスチックケースになっている部分の内側の壁ぎりぎり、支柱よりも10mm以上後方にドリルで穴を空けます。穴の大きさは使用するシールド線に合わせます。今回はΦ4mmを使用しています。

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穴をあけたら一旦シリコンを元に戻して、穴からペンを通して線の出る位置に印をつけます。

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印を確認したら再度シリコンを外します

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再度取り外したシリコンを、耳孔の位置から印の位置まで線を通す為に切り抜いていきます。下の画像のように印をつけると分かりやすいです。

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カッターやニッパーを使用してザクザク切っていきます。ある程度切り足りなくても問題ありません。

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シリコンを切って溝を作ったところです。この部分に線を通します。


次はシールド線です。片側がステレオミニ端子(Φ3.5mm)になっているシールド線を使います。両側がステレオ端子であっても問題ありません。必ず左右が完全に分離している(裂いて分けられる)ケーブルを使用してください。

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ステレオ端子になっている側と反対側の端子を切断して、左右のケーブルを裂いて分けます。

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左右を間違えないように確認して、ケースの穴の外から中に向かって通し、さらにシリコンの耳の中から外に向かって通します。

通し

シールド線の被覆を剥きます。芯線の外側のシールドを撚ってまとめたら、芯線の被覆も剥いて、芯線も撚ります。剥いた部分で折り曲げるので、マイクが奥に入り過ぎないように、被覆を剥く長さは10mm以上確保してください。下の画像の状態では少し足りなくて、後からさらに剥いています。

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マイクの裏面にはんだ付けする場所が2日箇所あるので、+の側にマイクの中心側の線(芯線)、-の側にシールド線を半田付けします。予めシールドを芯線と並行に揃えて、同じ長さに切り揃えて、両方の線の先端にはんだを溶かして付けておきます。

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線の軸がマイクに対して垂直になるようにはんだ付けします。芯線とシールドがどちらもしっかりハンダ付けされていてお互いに触れないこと、マイクの面に対して線が垂直になっていることを確認してください。

半田付後

上の画像のようにはんだ付けします。(上の画像は別のタイプのマイク用で線が太いので折り曲げられませんが)この状態で、スタンドに線を這わせてマイクの部分まで線に捻れがないことを確認した上で、被覆を剥いた部分を下方向(身体に見立てた場合の下)に90°折り曲げます。

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防水にしたい場合は防水マイクを使用し、この段階でマイクの裏面とケーブルから露出している部分を全て覆うようにシリコンコーキング剤を盛ります。

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上の画像は別の種類のマイクの制作写真のため線を曲げていませんが、今回の制作では前の画像のように曲げた状態でこのように盛ってください。シリコンがマイクの表面に付かないように、できれば防水マイクの表面にシールを貼っておいて、後で剥がすようにした方が確実です。

シリコンの内側から線を引っ張って、マイクを耳孔の中に引き込みます。線を剥いている部分が短いと、奥に入り過ぎてしまいます。

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マイクが奥に入り過ぎていないこと、マイクの面が傾いていないこと、左右で同じようになっていることを確認して、ケースの穴から線を引き出しながら、シリコンをケースに戻して完成です。抜け止めのため、ケースの内側ギリギリに結束バンドを巻いておくと安心です。下の画像ではケーブルを束ねる為スタンドに結束バンドで括っていますが、ケースの中にも抜け止めでバンドを巻いています。

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材料(一例です)

バイノーラル等スタンド

https://item.rakuten.co.jp/genhigh/lifelikepink/?s-id=ph_pc_itemname

ステレオケーブル(1m)・・・・先端が直角のものとストレートのものがあります。お好みで。

https://item.rakuten.co.jp/auc-enzandenki/ps-10a/?s-id=ph_pc_itemname

高感度マイク(非防水) 2個

https://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-13215/

または

防水マイク 2個

https://www.marutsu.co.jp/pc/i/27032531/

https://jp.cuidevices.com/product/audio/microphones/electret-condenser-microphones/cmc-6035-130t

シリコンコーキング剤(防水にする場合)・・・ノズルが細いほうがいいです。一応100均にもあります

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