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美味いんはカロリーがあるからじゃ

 おじいの好きなもの。カロリー。

 昔。おじいの植木屋を手伝っていた時代。朝早くからおじいの運転する軽トラに揺られて現場へ向かう。道すがら、おじいの作った朝ごはんを食べる。カロリーの塊。

 当時、私は思春期の女の子らしく体型をとても気にしていた。ワカメとトマトしか食べない時期があったり、揚げ物は一切摂らなかったり、知識の無さからバカみたいなダイエットをしていた。筋トレ、ストレッチも毎日していたし、半身浴、反復浴、ウォーキングなんかも。そんな経験が今の仕事にも繋がってるなぁとか思うから、まぁ結果オーライ。

 何にせよ、細い自分がステータスであった中学、高校時代。おじいの朝ごはんは恐怖の対象であった。というか、まずカロリーどうこうよりもおじいの作った食べ物は基本的に我が一族、誰も食べたがらない。単純に怖いから。衛生的にも味付けも。

 おじいは料理好きだ。いい昆布で出汁を取りたいという理由だけで、車で北海道まで行き、大量の羅臼昆布を持って帰って来たこともある。この話も今後書いていきたい。おじいの悪い癖は何でも大量に作ること。後、保存食みたいな雰囲気のものが好きな事。今でも、コストコが大好きで叔父さんによく連れて行ってもらっている。この間は大量の豚カタロースを買ってきて、塩漬けを作ったらしい。朝、LINEが来た。

 仕事へ行く軽トラでおじいの朝ごはんを食べると言う話をマミーにしたら、

あんた、よう食べれるな

と毎回のように言われたものだ。

 朝ごはんのメニューは大体決まっていた。ラップでぐるぐる巻にされたパンの塊だ。見た目から怖い。今でも特に覚えているのは、ラップをほどくとフランスパン。中身は分厚いハムとチーズの塊。パンの塊の中にチーズの塊。そこに蜂蜜がたっぷり。まさにカロリー。今でこそ、キューバサンドやクワトロフォルマッジ、ハニーマスタード等、甘じょっぱいが普通に店に出てくるようになっているが、20年程前には中々日本では見れなかった組み合わせじゃないかな?

 おじいは海外の味をよく知っていた分、面白い料理をよく作る。当時、カロリーに恐怖を抱いていた私にとって、おじいの朝ごはんは天敵以外の何者でもなかったけれど。もっと、しっかり味わっておいたら良かったと思う。

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