ファミリー
最近、晴れの日が多い。
北海道は、季節によって気候の変化が著しいが
秋と冬にほとんど変わり目がなく
秋を楽しむ時間などなく冬になり雪が降る。
晴れの日の雪は本当に突然やってくる。
空と雪の境目もほとんどないので、いつの間にか降っている。
私は、大雪の日に外を歩けない。
きっと、この猫ちゃんもそうなんだろう。
私と、一緒だ。
「猫ちゃん、お腹すいたでしょ?」
「猫ちゃんじゃない。ぺぺだ」
「うちでごはん食べない?」
学校から、15分ほど歩いた町中に私の家がある。
一軒家だし、ペットも大丈夫!
「ただいまぁ」
「一人なのか?」
「、今はね。」
あまり、ごちゃごちゃした空間が好きではなく
ほとんど物を置かない。
ただ、玄関には
共通点もないかわいいモチーフの置物が
いくつか置いてある。
そのモチーフは、猫のものが多い。
「ぺぺは?」
「ん?」
「家族は?」
「いるよ。」
「へぇ。どんな?」
「偉い人」
「偉い人?」
私、猫としゃべってる。
前から少し、人とはずれてる気はしてたけど
さすがにおかしいかしら。
精神的にショックだったから?
いや、自分でもわからないんだけど
心のもやもやがなぜか晴れて気分がいい。
なにかスッキリしていて
わくわくしている。
先輩に思いを伝えて
かわりたいと願った。
突然、首にかけた
あのブローチが少し白く光った気がした。
同時に私の鼓動が高鳴っていくのがわかる。
「ユミもきっと、強くなれる。あの人みたいに」
「あの人?」
ブローチを取り出してみる。
まんまるいフォルムに、素材はなんだろう
つるんとしていて、とても美しい。
濃度のコントラストがはっきりしていて
装飾がほどこされていた。
ハートにみえる形がぷっくりと浮き上がり
触りごこちがいい。
なにより、とても美しかった。
世界にはまだこんなに美しい物があるんだ。
この世界は、0か100でしかない。
それが混ざり合ったとしても、0か100。
0が悪いとか100が良いとか
良い悪いの数字じゃ決してない。
ただ、その2つしか存在していないだけ。
諦めているわけではない…
なんで、あのヤンキーそんなこと…。
今日の夕飯は、いろいろな味が混ざり合った食べ物にしよう。
そんな気分だ。
暗くなってきたので、部屋のカーテンをしめると
雪が降っていた。
「いらっしゃい。」
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