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ファミリー2


「ただいま」

「アーン。アスカおかえり〜。ちょっとお腹すいたからご飯たべちゃったァ」


アサミは、アタシが帰ると出かけて行く。

スタイルも良いし、若いし、人気者らしい。

たまに、姉妹に間違えられたりもする。

アサミは、そんな時まんざらでもない顔で

「いっやー。アタシが産んだのよ。この体で!!」

という。


まーた、茶碗拭かれてないし。

ずっと二人だった。

まだ、若いアサミにとってアタシは重荷だったろう

最近白髪が目立ってきた気がする。


「学校どうよ。学校。」

「それなりにやってるよ」

「そう。じゃ、アタシ行くから。明日のごはんは、ちょっと手のこんだもの食べたいわ〜。」

「あぁ。なんかしみったれた酒のつまみでうんまいのがいいねぇ」

「エーちがう。母さんの煮込みみたいな。そういう」

「母さんじゃないからその温もり出せません」

「ツメターーーーイ。って、本当につめたいんですけど。最悪。じゃいってきまーーす」


高めのヒール。今日のアイシャドウは濃いめ。

突然、雪が降ったので、ふわふわのコートを着て出て行った。


小腹がすいたので、ピザトーストを焼く。

ピザソースをトーストにかけて、ベーコンをのせる。

その上にチーズをたっぷりのせる。

トーストがカリカリになるまで、焼く。

電子レンジで、まわるトーストを見ながら

アタシは、今日の眼鏡ちゃんを思い出した。

チーズの白がだんだん、黒くなっていく。

いい焦げ具合。このくらいがちょうどいい。


焼き上がると、まだ熱いので、適温になるまでアタシは

iPhoneでゲームをして待つ。

いつものゲームを開こうとすると

LINEが1件きていた。

アサミからだった。

「アスカー。母さんの煮込み。これね。」

クックパッドのURLが貼られている。

どんだけ、食いたいんだよ。


アタシは、やるともやらないともわからないLINEスタンプを押した。


トーストの良い香りがただよう中、母さんの煮込みのことを考えたくない。

お皿のフチをさわると、ほどよい熱さだったので

トーストにかぶりつく。

焦げたチーズが、のびて口にからみついた。


また、LINEだ。

「アスカ。今日、17歳のバースデー!オメデト。」


「…なんで今」

10月末に、雪が降ることが北海道では年に何度かある。

誕生日に日に、雪が降るのは何年か前にあったよなぁ。

あの眼鏡ちゃんと、猫なんか

白すぎて雪の中歩いたら、同化してなんも見えなそうだな。


あっという間に、ピザトースト間食。

アタシは、手を洗ってクックパッドを開いた。



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