中表紙

まっしろなねこ


「はやさか先輩!」

「ゆみちゃん!今日も良い天気だね」

「…あの〜。先輩。ちょっとお願いがあって…」


先輩は、私の憧れ。

見えないものが見えているんじゃないかって。

それを私も見てみたい。

正しいと思って、この場所にいるんだけど

誰かに決められているような気もしている。


「僕は、君が思っているような人間じゃないよ。」

「え」

「ゆみちゃんは、まっしろすぎるだけなんだ」

「先輩!私かわりたい。先輩みたいに…っ」

「僕には無理だよ。君を変えられる力なんかない」

「ちがうっ…ただ、私は先輩のこと…」

「…ごめんね。ゆみちゃん」

ぽすっ…

まっしろな先輩の帽子

「うぅっ…」

「きみはもう何にも染まれないんだ」


うっわ。やっべーちょーやっべーよ

なんか、告ってふられてる現場みたいの見ちゃってるよアタシ

「ねぇ。ちょっとコーヒー牛乳買ってきて」

「え〜〜さっき言ってくださいよ。そーいうのは」

「え。何。さわたんも飲みたい?コーヒー牛乳」

「飲みたい」

「じゃ、ハイ。買ってきて」

「え、いいんすか」

「いいよ。早く。ほら!早くして!お願いだから!」

「わかりましたよ!!!!もう〜アスカ先輩せっかちなんすよ。どんだけ飲みたいんすか」


うわ〜。めっちゃ、ダセェ帽子かぶされてる。

とにかくダサい。てか、あれ校則的にOKなの?

ウチらでも、あんなイレギュラーな奴いねーよ。

「ね〜。その帽子くそダサいね〜」

「!!!!!!!」

避難階段をそのままおりると庭にでる。

ここの庭には、ここのルートか

あっちの高校の図書室からじゃないと、来られないっぽい。

一度、このルートであっちの高校に行けるか試したんだけど

どうも図書室に繋がるドアがわからなかった。


「人がフラれてるのみて、そんなに楽しいわけ?」

「めがねちゃんさ、あんたなんでそんなに諦めてるの?」

「諦めてるって…。諦めてるのはアンタたちじゃない!!何言ってんの!?

何が楽しくて、あんたたちなんかとこのつまんない世界で…」


カサッ

「おい」

カサカサッ

「話を聞いてくれ」


「何よ。もう話なんかしたくないっていってるでしょ。」

「えっ。ちょっと待って、アタシ今、なんもしゃべってねーよ」

「え?」

ガサガサッ

「俺の話を聞けっての!!!!!!!!!!!!!!」


「…。」

「え。」

「何?これ」

「猫だね。」

「猫だな。」

「猫しゃべってる…?」

「猫じゃぁない。ぺぺだ。」


「…。」

「え?何この裏庭こんなのいたから、曰く付きなの?」

「こんなのとはなんだ」

「あれじゃね?この裏庭に着たら異次元と繋がるとか」

「ゲーー。そんな発想したできない脳みそだからダメなのよ」

「なんだよ。じゃあ、この猫なんて説明すんだよ」

「おいおいおいおい。ちょっと黙って聞け。とりあえず」


突然、私の前に現れた

ヤンキーと白いふわふわが

私の世界を変えるなんて思ってもみなかったのよ。

あと、この帽子がダサくてダサくて黒歴史になって

笑って思い出になる日なんかも







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