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オンラインリサーチをはじめよう(その2)

定量調査と定性調査


何となく聞いたことがありますか?

調査の方法として、定量調査と定性調査の方法があります。

定量調査とは、調査を通じて収集された回答を数値化することを想定した上で設計された調査で、調査結果は特徴や傾向の把握、また統計的に分析する調査方法です。他方で定性調査とは、対象者の言葉や行動、考えた、あるいは観察者が見た印象など、言語や様態あるいは写真などの数値化できないデータの収集を目的とした調査方法です。

■定量調査の方法と特性

定量調査とは

定量調査の方法としては、ネットモニター調査、郵送調査、会場調査、該当調査、電話調査、FAX調査などがあります。定量調査は調査結果を数値として確からしい、客観的なデータとして把握したい場合や、全体の傾向や特徴を把握する場合に行われます。

定量調査の利点、問題点と限界

定量調査は事前に設定した質問に従って行われるため、回答者自らが適当と判断するタイミング、時間、場所で行うことができ、かつ選択肢も提示されているため回答に対する協力は一般的には得やすいと言えます。
また調査主体としては対象の全体像や特徴を把握できるため、意思決定に活用しやすいことや、他との比較や結果を統計的に分析することで、より精度の高い情報として活用し得る点が利点です。

他方で定量調査は共通の設問、選択肢により行われるため、質問事項以外の内容についての調査は行えないことや、把握した数字の背景についての原因や理由についての分析に一定の限界がある点に留意が必要です。例えば回答結果では男性が多い、仕事の選択は報酬の水準を選択する人が多いとデータで示されたとしも、その理由については自ずとは分かるものではありません。

その他に、売り上げを伸ばした企業の戦略や取組内容などについては、各社の背景事情や取組や工夫が異なっているため、数値で把握して比較することなどは現実的ではありません。
数値化できないものは調査対象には不向きです。

■定性調査の方法と特徴

定性調査とは

定性調査の方法としては、インタビュー調査、グループインタビュー調査、オンラインインタビュー調査、ワークショップ、訪問調査、行動観察調査、日記調査などがあります。

定性調査は、定量調査などの仮設の検討を行いたい、特定の製品・商品、サービスについての良い点や悪い点、利用実態を把握したい、ターゲットユーザーの意見を聴取したい、より深く詳細にユーザーの意見、実態を把握したい、新しいアイディアを引き出したい、といった場合の他、定量調査で全体把握したいが出現率を把握したい場合にも行われます。また数値化しにくいような背景や成果の要因、プロセスの把握などの場合にも行われます。

定量調査の利点、問題点と限界

定性調査は定量調査のように定型的な調査ではないことからターゲットに応じて柔軟に質問対応することが可能です。また深層心理や行動や商品・製品を選択した背景要因や利用の実態について個別詳細に把握することが可能です。また調査実施主体が想定していなかったことを利用者の意見を通じて把握したり、グループインタビューの場合においては、参加者相互の発言から新たな意見が抽出できたりする場合もあります。

また成功要因やその実現のための取組やプロセスなど、数量的に把握できない事象について、ケーススタディやベストプラクティスとして整理することで、他者への共有や可視化することも可能です。

他方で定量調査の多くは回答者に対して特定の日時での参加・協力を求めることから、回答者に対する時間定期拘束やそれに伴う負担は定量調査より大きい。また特定の会場で行う場合には移動時間が生じることもあります。その他には対面や集団の中での発言に抵抗がある方については、正しく正確に意見を聴取できない場合があります。またグループインタビューの場合、特定の発言に時間を占有され、また影響を受けるような場合もあり、参加者全員の生の声がとらえられない場合もあり得ます。

さらに定量調査を実施するモデレーターにも経験と対応力が求められます。対象者の声や本音を引き出す能力やトークが必要となります。その意味ではモデレーターによって回答も異なると言えます。

なお定性調査の結果については、共通設問ごとに一覧化して、回答を類似のもので取りまとめるアフターコーディングすることによって数量的に可視化することも可能です。またテキストマイニングにより、自社や商品に対し、消費者が抱くイメージや満足度などを抽出する方法もあります。

このように定量調査と定性調査はそれぞれ、特徴、利点、問題点、限界がありますが、二律背反ではなく、相互補完の関係にあります。そのため定量調査の対象者から協力者を得て、調査では把握できなかった事項について、インタビュー調査を実施して詳細に把握したり、定量調査からベストプラクティスの候補を抽出して事例として取りまとめる等もあります。

ターゲティング

ネットモニター調査の特性の一つか調査対象をターゲティングできるということです。属性登録の際に、多くのネットモニター調査では性別、年齢、職業、家族構成、年収、趣味などについて事前に登録しています。登録情報は定期的に更新している会社もあり、調査時点では実態に近い状況での対象のターゲティングが可能です。

他方で実際の調査でのターゲティングは様々です。例えば、以下のようなターゲティングについては登録時の属性では把握出ない場合があります。

  • 毎週一回以上、飲食店に行く人

  • 車を5年以内に購入している人

  • 在宅ワークを週三回以上している人

そのような場合には、本調査の前段にてターゲット層の特定を行うスクリーニング設問において特定します。

例えば、

例:対象は一般 毎週三回以上、飲食店に行く人

 「あなたは飲食店にどのような頻度で行きますか、朝、昼。夜を問わず選 択してください」

例:対象は車所有者 車を5年以内に購入している人

 「あなたは新車、中古車の購入から何年毎に買い換えますか」

例:対象は正社員 在宅ワークを週三回以上している人

 「あなたは現在、在宅ワークをしていますか。している場合、回数を教えてください」

このように登録時の属性とスクリーニング設問により対象層をターゲティングします。

なお、このスクリーニング設問は本問の回答対象者を選定するためのものであり、回答者の一部は報酬を目当てにして実態とは異なる回答を意図して選択する場合があります。そのため単一選択SAの二択ではく、複数選択肢かつ選択をマルチ回答MA(Multiple Answers)ではなく、一つのみ回答SA(Single Answer)を用意することが望ましいです。

例えば、 あるブランド調査の場合

 ×  あなたはブランド●●を所有していますか

 〇 あなたが所有しているブランドのうち、最も気に入っているものを一つ選んでください。

このように通常、ネットモニター調査では登録されている属性とスクリーニング設問によって対象者を特定します。

次回は「どれくらいの回答数を集めればいいの?」といった回収数について、お話ししたいと思います。

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