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美大からCGの世界へ。デザイン部長歴17年 住田さんの視点。

自己紹介記事に続く、第一回の記事を何にするか…

すぐに浮かんだのは、ダイナモピクチャーズの約7割の社員が所属するデザイン部 部長の住田さんでした。

長きにわたってダイナモを見てきた住田さん。
そもそもなぜダイナモに入社したのか?入社してからどんなことを経験してきたのか?住田さんから見たCG業界の今とは?
社員も知っているようで知らない住田さんの一面。
たっぷりお話いただきました。

【 プロフィール 】
住田 永司|Eiji Sumida
ダイナモピクチャーズ デザイン部 部長
美大卒業後、ダイナモピクチャーズの前身 ビジュアルサイエンス研究所に入社。現在はデザイン部部長を務める。趣味はカメラとクライミング。


1.美大からCGの世界へ


ー 今日はよろしくお願いします。早速ですが、CGデザイナーを目指そうと思ったのはいつ頃ですか?

ダイナモピクチャーズの前身であるビジュアルサイエンス研究所(以降、 VSL)に入社したのが、1997年。ちょうどファイナルファンタジーVⅡが発売された年です。 

[注]ビジュアルサイエンス研究所
1991年に設立されたCG・VRの研究開発会社

その頃は、3Dコンテンツビジネスの”芽生え”のような時期でしたね。

当時、美術大学で空間演出デザインを勉強していたこともあり、世の中で3DCGが盛り上がりを見せていることは直に感じていました。将来化けるのではないかという期待を寄せて、この業界に入りました。

ー 当時、美大からCGの世界に進む人は珍しかったのでは…?

そうですね、少なかったです。

もっと遡ると、僕は一からパソコンを作るのを趣味にするほどのPC少年だったんですよ。だからこそ、コンピューターを仕事にすることは元々イメージにありました。

ただ、そんなに優秀な学生とは言えなかったので、就職活動の動き出しは遅かった(笑)

結局、CGといっても当時はそんなに選択肢がなく、縁のあったVSLに入社しました。

2.「なんでもやった」CG黎明期

ー 住田さんのこれまでの仕事について教えてください。

業界全体でそうとも言えますが、完全分業の仕事ではありません。

入社当時は特に、「これ担当したら最後までよろしくね」といった感じでした。

モデリング、セットアップ、アニメーション、エフェクト…なんでもやりましたね。どれが”メイン”という概念すらなかった。それが今に活きているので、新しく入る仲間にも得意領域にとらわれずに各工程を体験してほしい、と思いながら仕事のアサインをしています。

[注]仕事のアサイン
住田さんの仕事の一つで、「誰を」「いつ」「どのプロジェクトに」入れるかを決めます。

1990年代後半~2000年初頭は、CGがまだ新しい技術だったこともあり、先輩・後輩といった概念はほぼ無く、みんな横並びでした。教えてくれる人がいなかったので、随分頭を使った記憶があります。

ー これまでで、これは最高だった!という仕事は何でしょう?

いくつか浮かびますが、一つ挙げるなら数年前に手がけたあるアニメシリーズですね。

この作品では、チームワークが一点に集中して「絶対に勝てない相手に勝てる」ような感覚になりました。経験が長くなるほど、「このやり方でこの期間だと、これぐらいのものができるよね」といったことが事前にイメージできてしまいます。ただこの作品は、想定以上のものができました。制作過程は混沌としていましたが、魂の熱量は相当なものがありましたね。

そのときの教訓も踏まえて取り組んだ続編は、プロジェクトとしての破綻は少なかった。十分なクオリティは出ましたが、魂の熱量は前作が上回ります。

ー 高い熱量が高いクオリティにつながる一方で、ビジネスとしても成り立たせていくバランスが難しいところですね。

そうですね。
魂とビジネスの両立は、常に意識するように努力はしています

3.17年間のデザイン部長歴


ー 住田さんって部長歴が長いですよね。いつからですか?

VSLからダイナモピクチャーズ体制になったときなので、2004年頃からですね。室長から部長に持ち上がった形です。

ー 17年!長きにわたり部長をされる中で、普段意識していることは何でしょう。

部長であれど、プレイヤー心は忘れないことです。

まず、プレイヤーとしてある程度の力量がないと、人は付いてこない。魅力的な画を作れないといけないわけです。

探求心も必要です。みんなと同じ視点で「このクオリティすごいよね」という会話に入れなくなったら、今のポジションに僕がいる必要は全くない。むしろ邪魔になってしまいます。

飽くなき探求心がなくなったら、席を譲るでしょうね。

4.健全な競争を生めば、もっと強いスタジオになれる


ー 住田さんの目から見て、今のCG映像業界ってどう見えているのでしょう?

日本のCGコンテンツは、従来のアニメが培ってきたものの影響を良くも悪くも受け続けていて、その枠をなかなか超えることができず苦労していますね。

今後、日本は人口がさらに減少していくので、国内市場だけではビジネスとしては先細り。世界市場に乗り出していかないと生き残っていけないのではないかと思ってます。

ー では一方で、ダイナモピクチャーズのことはどのように見ていますか?

スキルが高く気の良いメンバーが揃っていますが、アート面のレベルアップとしては、健全な競争がもっと必要かもしれません。

個人単位で考えると、昨日の自分より今日の自分がより良くなっていけば、いずれは頂上にたどり着けます。ただ、それだとどうしても時間がかかる。健全な競争で、良い影響を与え合うような体制になっていければ、もっと強いスタジオになれるはず。

ダイナモは毎年新卒社員を迎え入れていますが、良い競争を生んでくれる中途社員の方にも出逢いたいですね。

5.センス、素直さ、技術の探求。

ー 採用に特化した自社メディアとしてnoteを始めました。”ヒト”についての話も聞かせてください。住田さんは、どんな人と仕事をしたいですか?

一番は、素直さですね。僕の中ではかなり大きな要素です。

「これをやってほしい」と言ったことに対してまずは素直に取り組めるか。仕事内容に素直に興味を持てるか。こういったスタンスは大切です。

もう一つ挙げるなら、技術の探求

根本的なアートセンスももちろん大切ですが、技術を磨いていく姿勢はもっと大切です。ダイナモには、技術探求がストレス発散になる社員もいるぐらいです。社内チャットで、延々と探求した内容が流れてくる(笑)

センスは、次第に磨かれてくるものです。

あるスタッフの話ですが、はじめの3年はひたすら努力を重ねていました。仕事に向き合いながら、「これは良いものだ」と思うものを見て、研究して、自分の意識や判断軸を変えていったのでしょうね。彼も、今や頼もしいエースの一人です。

ー 良い話ですね。努力はセンスを上回るものでしょうか?

うーん…それはわからないですね…。

いまは活躍している人でも、はじめの作品はショボかったこともあります。そう思うと、第一線で戦える一定のラインまでは、努力でいける気がしますね。

ー 「この人は成長したな」と思った瞬間はありますか?

ひとつのキャラのアニメーションに、ずっと取り組んでいたスタッフがいまして。1年後にそのプロジェクトを終えた後、明らかに化けたんです。「あれ、こんなにアニメーションできたっけ!?」と驚きました。今では、〇〇さんなら任せられると思えるチーフに育ってくれました。

ー 本日はありがとうございました!ダイナモに興味のあるデザイナーの方に、最後に一言お願いします。

なんでもできるのがCGですが、多くの人は一人で全てはできません。

キャラ愛にあふれる人、壮大なフルCG背景に憧れる人、CG技術大好きな人、それぞれがもつ探求心や創作意欲を持ち寄って作品(コンテンツ)をつくるのが私たちの仕事です。

ダイナモの一員として、一緒に作品づくりができる日を楽しみにしています。

2023年入社の新卒採用をはじめ、共に作品をつくる仲間を募集中です!