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LIFEは機能しているか

冷凍インゲンが多い理由が気になる

医療関係の仕事をしていると、どういう療養型病院が高齢者にとっていい病院なのだろうと考えることがある。

検食でやたらと冷凍インゲンが多い病院はちょっと怪しいのでは、とか、胃ろうに栄養剤を注入する時間とか具体例はないかなと時折、考えていた。これは想像です、エビデンスありません。

そんな折、本屋をうろついていて、手に取ってしまった、結局買ってしまった本が、甚野博則さんの『実録ルポ 介護の裏』だ。7月にちょこちょこ、やっと8月末に読み終わった。読みだすとすぐなんだが、読みだすまでが、何となく勇気がいる本だ。

この本で一番びっくりしたのが、「科学的介護」というものの存在だ。

厚生労働省の「科学的裏付けに基づく介護に係る検討会」が2019年7月に取りまとめた資料によれば、科学的介護とは、次のようなことを指すという。

 エビデンスに基づいた自立支援・重度化防止等を進めるためには、
①エビデンスに基づいた介護の実践
②科学的に妥当性のある指標等を現場から収集・蓄積し、分析すること
③分析の成果を現場にフィードバックすることで、更なる科学的介護を推進

といった、現場・アカデミア等が一体となって科学的裏付けに基づく介護(以下「科学的介護」という。)を推進するための循環が創出できる仕組みを形成する必要がある。

p224, 甚野博則著, 『実録ルポ 介護の裏』

科学的介護情報システム(LIFE)とは

そもそも科学的介護って聞いた時点で、なんじゃそら?と思ったぞ。統計よりも現場で、個を重視するものだから、介護の良さなんじゃないのと私は捉えていたのだが。甚野さんの本を読後、LIFEについていろいろ調べてみると、鼻で笑うほかなかった。厚労省は私の想像の域をはるかに超えていた。

厚生労働省のLIFEに患者のデータを入力することによって、施設はフィードバック(全国施設と所属施設の統計データ、年齢層など)を受けることができますよ、だから、ありがたいフィードバックを参考にして、さらにPDCAサイクルをうまく回しましょうね、そうそいうものらしい。施設には介護報酬加算がつくが、現場の職員に大きな負担がのしかかる。

今はいろんなところでPDCAと言われているが、元は製造業の品質管理から生まれたもんだといわれている。

まさに製造品の品質管理

より良いアクションどころか、フィードバックを参考に「平均よりもうちの施設、経費かかってるから、もっと冷凍インゲンのメニュー増やそうよ」ってならないのかなって思った。これはあくまで想像です。

おかしいよって言いだしたら切りがないので、とにかく、この本から私が学んだこと、私は厚労省の思惑をまったく分かっていなかった。甚野さんの最近の新刊も読んでみたい。



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