期待
『期待』
数ヶ月、いやもう少し、半年くらい前か。
人に『期待』することを辞めた。
───
無駄だと思った。
毎回、何かしら相手に期待したところで、
ほとんどの場合、
『どうせ』期待通りにならない。
無駄だと思った。
期待することを辞めた瞬間、
人を信じることを辞めた瞬間、
身体も心も、スッと軽くなった。
なんだこれで良いじゃん、と。
───
当時は、本当にそれで良かった。
さびしくもなかった。
自分を大切に出来ているとさえ思った。
期待することを辞めた自分に、
信じられるものは音楽しかなかった。
無気力のまま、
ヘッドフォンから音楽を流す。
ランダムで流れてきたのは、
SUPER BEAVERの ひなた という曲だった。
落ち込むくらいなら期待しない
傷つくくらいなら信じない
それで良かったはずなのに
どうしてかな
笑えないや
何度も、何度も聴いてきた歌詞なのに、
自分では塞き止めることができないほどの、
涙が溢れた。
気付かされた。
期待することを辞めた瞬間、
人を信じることを辞めた瞬間、
笑えていなかったことに。
あなたに期待しない。
そんなさびしいことがあるか。
『どうせ』と諦める。ふりをしていた。
実の所は諦めきれていなかった。しかし、
そんなむなしいことがあるか。
もう一度、人と向き合い、
期待を捨てず、信じてみようと思った。
───
音楽にひとつ、助けられた。
まだまだ未熟で、
考えが浅はかな自分にとって、
音楽家は恰好いい大人だ。人として。
素敵な大人だ。憧れる大人だ。像として。
大事にしたい。人も、音楽も。
感謝している。