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Re:ゼロから始める社内Tableau勉強会

はじめに


 この記事は2024年7月19日~2024年9月25日にわたって参加者9名に対して行なった全10回の社内Tableau勉強会の感想と振り返りです。これを読む、これから勉強会を実施する人、検討している人、今現在勉強会を実施している人の参考になればと思います。


勉強会の概要


 まずはみなさんが一番最初に気になったのは、「Re:ゼロから始める社内Tableau勉強会」というタイトルだと思います。これにはちゃんと理由があります。ただ、アニメのリゼロが好きだから真似したとか興味をひきたいとかそういうわけではありません。決して違います。
 「Re:」というのは、昨年度も社内でTableau勉強会を当時の先輩が実施していたためです。ではなぜ「ゼロから」なのか。資料を全て前回の勉強会の結果と反省を参考にしつつ再構築したのが今回実施した勉強会だからです。
 前回は「Tableauを触れるようになり、よりデータを身近なものにする」ことを目指していましたがこれでは結果的に実務で活用できるようになった人はいなかったのが課題でした。そこで、今回は「自身が作りたいと思ったVizを調べればなんとか自力で作れるようになるレベルを目指す」としていたので勉強会として目指すゴールが全く違ったのです。ゴールが変われば勉強会の実施内容も変わるのでそれに伴って再構築する必要がありました。

実施内容


 全10回の学習内容は下記の画像の通りです。おおよそのアウトラインは勉強会の実施前に決めていましたが毎回の講義の参加者の反応や宿題の提出内容を見ながら調整をし、結果としてこのラインナップとなりました。LOD計算が講義内容に入っていないのは学習負荷が高いということと勉強会を通して求められている内容ではないことが分かったので勉強会外で希望者を集め実施することにしました。

勉強会の実施内容

 今回の勉強会の内容で大切にしていたのは第1回に行なった「課題感の確認」です。データを通して解決したい現状業務で抱えている課題を改めて言語化してもらうことをこの会では実施しました。このコンセプトは課題を振り返って勉強会に臨む意味づけとその姿勢を作ることができた点で個人的にすごく良かったと思います。
 参加者の抱える課題への理解とそれが解決されることでどのような状態を実現できるかというビジョンは様々でした。執行役員から新卒まで幅広く参加していた勉強会だったため多様な意見があるのが理解できます。それぞれの課題を解決できる内容にするべく私も気合いが入りました。
 残りの講義の内容はタイトルの通りです。基礎的なことから始まり計算フィールドやクエリパイプラインといった押さえておかなければならないところをやって技術的な内容の振り返り。それからは問題演習を通してそれまで学習した内容を復習し、作成したVizをよりよく相手に伝えるための講義を行いました。

参加者の反応と成果


 成果としてはTableauをある程度使えるようになった人が3名誕生したことです。他の6名についても協力しながらだったり、調べながらであれば分析をやっていけそうだと感想をもらえました。
 何よりも、参加した全員がTableauの基礎機能を理解し、データについても理解を深められたことは良かったです。実際、勉強会参加者の分析依頼はデータの理解が深まったからこその具体的な内容になっていたり、どうすればこれを可視化できるかといった相談が寄せられるようになりました。最後に行なったアンケートでの参加者の満足度も高かったので勉強会自体は成功したと思います。

難しかった点


Tableauの勉強の優先度を上げる

 参加者にとってTableauの学習を優先してもらうことが難しかった。。。本当に学習時間の確保してもらうのが一番の課題だと思います。流石に業務の優先度には勝てなかったし、全員に業務時間外まで勉強をしてもらえるほどモチベーションを上げることはできませんでした。
 モチベーションをイマイチ高められなかったのは、Tableauを学ぶことで得られるメリットや具体的なビジョンを思っていたよりも深められなかったからではないかと思います。確かに便利だし良くなるのはわかるが、その良くなった状態をもっと鮮明に伝える必要があったとここでは反省でした。

「知っている」から「できる」へのステップアップ

 勉強の優先度を上げて学習時間を確保してもらうところにも繋がってくるとこですが、実際に「できる」レベルまで引き上げるには本人の努力が必要です。参加者に新しい知識を教えることはできますが「知っている」から「できる」になるためにはやはり自助努力が必須だと感じました。
 1日15分から30分でできる宿題を課したり、週3回の相談室を儲けたりしましたが、待ち型でこれらを運営していると活用は進まないのは良くわかりました。無理のない範囲でこちらからプッシュしてアプローチしていく必要があると思います。

参加者同士の交流不足

 勉強会では主に講師(僕)と参加者の間でのコミュニケーションが中心となり、参加者同士での質問やディスカッションが少なかったことも改善すべき点だったと思います。参加者同士が教え合い、相互に学ぶ機会を増やすことで、理解を深められたり、切磋琢磨することでモチベーションを上げたいと思っていましたが実現できませんでした。
 ここは完全にこの仕組みを作れなかったのが問題だったと思います。次の改善案のところで仕組みについて書ければと思います。

今後の改善案


会社に協力してもらう

 時間の確保についてはもう、一従業員の力ではどうしようもないということがよく分かったので、Tableauの勉強会に限った話ではなく本気で社内教育を進めていくのであれば会社の協力が必要不可欠だと感じました。
 具体的には今後は、勉強会への参加に際して、人事評価の目標設定の10%を事前に設定してもらうのが一番手っ取り早く、会社に協力してもらう状況を作れると思います。奨励制度なども効果的だと思いますが、社内調整が面倒すぎるので個人と会社でやり取りが可能な目標設定が確実なはずです。個人的にはこれが約束されないなら勉強会は実施しない、参加することはできないくらいでいいと思います。それくらい覚悟を持って参加してもらわないと学習の内容は身につかないと強く感じました。

参加者同士のペア学習

 勉強会をより効果的に進めるため、参加者同士でペアまたは3人組を作り、宿題や授業での不明点を話し合ってもらうようにするといいと思っています。宿題の出し方も工夫して、個人の提出ではなくてグループでの提出にするなどして、参加者同士でのコミュニケーションを活発化させ、教え合い、切磋琢磨してモチベーションを上げてもらえればいいと思います。

勉強会内容のアップデート

 宿題の提出率が下がった回を中心に、宿題の難易度を見直す予定です。また、高難易度の授業が続くことで、参加者がついていけなくなる傾向が見られたため、難しい内容は分割し、こちらから声をかけてフォローアップ行い、難しい内容を理解する時間をしっかり確保することで、学習の定着を図ろうと思います。

まとめ


 勉強会を通じて、私自身もTableauの知識をさらに深めることができましたし、教えることの難しさや、参加者のモチベーションをどう保ち、さらに向上させるかを考える良い成長の機会になりました。ここでは、勉強会を実施する上で注意すべき5つの「やらない」を共有したいと思います。

宿題や授業への出席率が下がったらそのままにしない

 勉強会が進行するにつれて、参加者の宿題提出率や出席率が低下することはよくありますが、これをそのまま放置してしまうと、その後の勉強会へのモチベーションが雪だるま式に低下してしまいます。こういった兆候が見られた場合は、個別にフォローを行う、勉強内容を見直す、参加者の状況に合わせて難易度を調整するなど、柔軟に対応していくことが重要です。

勉強会の内容を固定化しない

 勉強会を一度計画したら、それを固定的に実施するのではなく、参加者の反応や進捗に応じて内容を調整することが大切です。特に、参加者がついていけないような雰囲気やアンケート結果を得たら、すぐに次の授業は前回の復習を手厚くしたり、時間があるなら講義回数を一回増やしてでも参加者の「できなかった」というネガティブな状態を「できた」というポジティブな状態に持っていくことが大事です。

参加してくれるのを待たない

 参加者が自主的に勉強会やフォローアップ会へ参加することが理想的ですが、期待するだけでは参加率は絶対上がりません。パブリックな場所で全員に声がけしても限界があるのでDMや会社で会った時に直接、近況などを聞きながら「あなたを待っています」と伝えるのが大切です。実際、そうやって声をかけることができた参加者については宿題を提出してくださったり前向きな行動が増えたと思います。

ゼロから資料を作らない

 Tableau界にはありがたいことに公式ドキュメントとは別に多くのTableauの解説記事があります。ゼロから作成するのは確かに自分自身の勉強になるとは思いますが、これをお読みの皆様はおそらく勉強会を実施することだけが仕事ではないと思います。もうここは、全力でそれらの記事の力を借りて資料作りではなく伝え方や教え方に心血を注いだ方がいいです。参考にさせていただいた資料については下記で紹介させていただいています。

誰も責めない

 できたら褒める。できなくても責めない。当たり前のことだと思いますが、勉強会を実施していると自分自身、「なんで伝わらないんだろう」「自分が悪いのだろうか」とネガティブな気持ちになってしまうことがあります。自分自身含めて誰が悪いわけではないので誰も責めず、問題があればどうすれば解決できるか、何が問題なのかを速攻で振り返ります。次に改善すればいいはずなので、参加者も講師もどちらもできるだけポジティブな気持ちで進められる方法を模索するといいと思います。

おわりにかえて


 この勉強会を実施するにあたり、週に1本、計10本の勉強会資料を作る必要がありました。勉強会の資料をゼロから他の業務と並行して1週間で作成するのはさすがに無理があったので世の中に出ている記事を参考にしまくり、できる限り省エネかつハイクオリティな資料作成を心がけました。ここでは参考にさせていただいた記事や問題集を紹介できればと思います。
 参考にさせていただいた資料を作成してくださった皆様、ありがとうございました。

Ganekoさんの「Tableau8つのハードルを越える。」

教典と言って会社内で共有してました笑

KTさんのOrd0の動画

データ活用の入門編の動画として重宝させていただきました。

「はじめてのTableau」

ハンズオンもあり、理解の定着にとても役立ちました。

それゆけ!可視高専

ゆるーくTableauやデータの基礎について学べるので助かりました。

Desktop Specialist試験対策

Tableauの基本的なことを教えてくれるので評判が良かったです。

Tableau tuneup vol.6 オリジナル問題

問題作成、毎回作るのは大変すぎたので解答まで用意されている問題集は貴重でした。


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