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ドローンツアー再び

昨年暮れに開催したドローン愛好家のためのツアー、今年もいよいよシーズン到来で春期の準備が進みつつある。このツアーの狙いや位置づけについて、あらためて解説してみたい。

なぜ、ドローンなのか?

まず、最初に結論から言うと、ドローンと地方創生はとても相性が良いと思っている。飛騨高山、このまちは平成の市町村合併で東京都とほぼ同じ面積、そして日本一広い自治体になった。そのうち92パーセントが森林であり、北アルプスに代表される雄大な自然環境に囲まれたまちである。

一方、高齢化は進み、市街地周辺の町村は限界集落となり、この先、集落は凋落の一途を辿る運命にある。

ドローンを産業の視点から見ると、防災、緊急救命医療、山岳救助、農業、建設、架橋の点検、物流などなどさまざまな利活用が考えられる。

例えば、限界集落における救命医療については、救急車が30分以内に現場に駆けつけられる範囲は限られている。そうなると有人ドローンを飛行させるか、まちの中心部に高齢者を移住させるなど方法は限られてくる。後者についてはICUを備える町の大病院の周辺に高齢者を住まわせ、その周辺に若者を住まわせるという都市設計が必要となり、不動産業などもこれまでの賃貸、売買など個別の事業に留まるだけでは、まちの持続可能性は維持出来なくなることから、根本的に発想を切り替えねばならない。

また、先の各産業におけるドローンの利活用により、人口減少に伴う労働可能人口の不足を補う役割を担える可能性もあり、自動化による代替はどうしても避けられない。

このような事情からいち早く、ドローンにおける各産業の利活用を進めるための実証実験が必要で、これらの産業育成のための新しいビジョンを構想しなければならない。

高山市ドローン産業ビジョン

ドローンツアーがもたらしたもの

このまちは観光産業で成り立っており、宿泊業、小売業、卸などのサプライチェーンが産業を支えている。しかし、お隣の金沢市のように新幹線が開通し、ビジネスユースが一定の客数を支えているのと対照的に、一般消費者、インバウンドに頼った、文字通り「一本足打法」によって支えられている。コロナ禍によって、この打法は見事打ち砕かれ、パンデミックや災害によって全くの無力であることが皮肉にも証明されてしまった。

現状では、アフターコロナとなり、かつての顧客が再び戻ってきてくれる「淡い期待」に支えられながら、じっと耐え忍ぶしか将来を描けなくなっている。しかし、現実はそれほど甘くない。

そろそろ、従来の観光を見直し新たなニーズを掘り起こし、このまちにやってくる人たちに対する付加価値を考えるタイミングに差し掛かっているような気がしてならない。

そして、まずは県内、隣県などの観光客を少しずつ、このまちへ誘致するような新たな観光施策が必要になるだろう。

ドローンツアーは、そういったこれまでの観光の考え方に楔(くさび)を打ち込む試金石としての取り組みとして発案したものだ。

ツアーの副産物

昨年末、ツアーを企画してみていろいろな収穫があった。1つはドローン愛好家は全国で5,6万人くらいと推計される非常にニッチなマーケットである。それぞれの愛好家はSNSなどで繋がり、ツアーの情報なども共有しながら互いに誘い合って空撮を楽しんでいた。

そういうニッチなマーケットの中で互いに交流を深めながら、互いに技術を切磋琢磨し、貴重な時間を使ってこのまちにやってきた。

彼らの多くは時間と生活に一定の余裕がある方が多く、趣味と実益を楽しみながらこの地にやってきた。私もガイドとして参加させていただいたが、とても学びのある有益な体験となったことは事実である。

観光としてのドローンツアーはこのまちの人々にも認知を拡大する作用があり、今後はドローンパイロットの育成などを通じてドローンを切り口として各産業に浸透してゆくことを期待している。

ドローンは「空飛ぶコンピュータ」である。こういったハイテクが次なる新たな産業を産み出したり、既存産業のオルタナティブな発展を期待させる分野となれば幸いだ。

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