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伝説の安心感

10年前、政府は身体に対する悪影響、依存性などを理由に「タバコ禁止法」を施行した。
それからタバコの製造、販売、使用が全面的に禁止となった。

俺が20代だった頃は、公共施設でもタバコを吸うのが当たり前で「大人でカッコいい」というイメージがあった。

そのため社会人になった時、周りに合わせてなんとなくタバコを吸い始め、それから数十年間ずっと吸い続けていた。
疲れた時の一服が特に身体に染みて、なんとも言えない安心感を与えてくれていた。

しかし、それは製造、販売、使用が全面禁止された今や「伝説の安心感」となってしまった。

「タバコ禁止法」が施行されてからアルコールを多量に摂取する人が増え、アルコール依存症や飲酒運転による事故が急増した。
すると、政府は次に「アルコール禁止法」を制定すると発表した。

家庭、仕事場で上手く取り繕っていた自分はもういない。
ストレス発散ができず、以前の人格とは程遠い。

政府による禁止法の代償は大きかった。



田原にか様の毎週ショートショートnoteに参加させていただきました。

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