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【米国株OP】カバード・コール(第2戦略)

本日はターゲット・バイイングに続く第2戦略であるカバードコールについて説明したいと思います。

前回のターゲット・バイイングの説明では、お得に株を買う方法について説明させていただきましたが、今回紹介するカバード・コール(通称:カバコ)は、ターバイによる現物株を所有した後に実施する戦略です。

カバード・コールとは

カバード・コールとは、現物株の買いとコールの売りを同時に取る戦略です。

現物株を所有している場合、株価が下落して含み損となった場合、上昇と期待してずっと塩漬けにするか、ロスカットして他の銘柄でポジションを取ることしか対応方法がありません。

カバコでは、この現物株にコールの売りを組み合わせることにより、株価下落による含み損を緩和させることができます。そのトレードオフとして、現物株が上昇した場合は、その利益が限定されるというデメリット(現物株だけであれば上昇すればするほど利益)を許容する必要があります。

ただ、このデメリットはローリングという作業を行うことにより改善することが可能ですので、やはり現物株だけを保有する場合より優れているトレードであると言えます。

カバードコールの実例

Apple(APPL)の株価を用いてカバコの優位性を説明したいと思います。前回の②のケース(170Pを売り、株価が下落して$160になった場合)になったと仮定します。

この時点で、$170で100株のAPPLを所有して、現在の株価は$160となり$10ドルの含み損です。(※ただし、実際は$0.96のプレミアムを獲得しているので$9.04の含み損です。)

ここで、APPLの170Cを売ってカバコを組みます。この時点で170Cのプレミアムは$1.04(満期:1か月後)と仮定します。この場合、満期の時にどうなるか検証してみましょう。

①株価が$170以下の場合

170CはOTMになりますので、権利消滅して$1.04のプレミアムを獲得します。株価が$160から変化してない場合は、含み損が改善されていることになります。もし、$160より上であればもっと含み損は改善してますね。ただし、さらに株価が下落している可能性もあります。その場合でも現物株だけを持っている場合より、カバコを組んだ方が含み損が少なくなっているはずです。

②株価が$170以上の場合

170CはITMになります。何もしなければ、オプションの買い手による権利行使により現物株を$170で売却することになります。この場合、$170で購入した株を$170で売却するので株の利益はゼロです。ただし、コール売りにより獲得した$1.04が利益となります。もっと言えば、ターバイで獲得した$0.96も利益と考えることができますね。

上記のとおり、現物株だけ保有していた場合、含み損にひたすら耐えながら上昇を待つか、ロスカットするしか方法がなかったわけですが、カバコを実施することにより、プレミアムをコツコツ稼ぎながら、株の上昇を待つことが可能になります。

また、現物株を売却した後は、ターバイに移行してプレミアムを稼げばよいのです。ターバイ&カバコを延々と繰り返せば、プレミアムをコツコツと稼げるというわけです。

ローリングによりさらに利益を改善可能

170CがITMになった場合、現物株を売却しない方法があります。満期の前に170Cの売りを買い戻して、さらに上の権利行使価格のコール(175C等)を売りなおすのです。これをローリングと言います。

この場合、$1.04で売った170Cのプレミアムは上昇しているので売り戻した時、$1.04は上がっているはずです。つまり、オプションだけで見るとロスカットすることになります。そこで、170Cより上の権利行使価格である175Cを売ることにより新たにプレミアムを獲得するわけです。

ローリングの説明については、またの機会に譲りますが(かなり説明が長くなりますので)、ローリングをすることにより、時間的価値が多く含まれたプレミアムを得ることができます。(我々オプショントレーダーの利益の源泉は時間的価値です。)

これは①の株価が下落したケースでも実施可能です。株価が下落するとプレミアムはどんどん減少(時間的価値が減少)するので買い戻して(この場合は利確)、あらたに下の権利行使価格のコール(155C等)を売る(あらたに時間的価値を得る)ことで、株価の下落による含み損を緩和させることが可能です。

まとめ

ターバイ&カバコ戦略は、米国株オプションの基本です。これだけ実施していてもある程度の利益を獲得することは可能です。米国では、このターバイ&カバコをWheel Strategyなんて呼んでいるようです。車輪のようにグルグル回していけば現金を獲得できるからでしょうか。

ターバイ&カバコ戦略では、ローリングがかなり重要な作業になります。ローリングについて正しい知識を得ることはとても重要ですが、語弊を恐れずに言うと、何も考えず満期直前にITMであればローリングすると機械的に考えてもよいかと思います。

ただし、ある程度利益が出たところでクローズする必要はありますが、このあたりは経験を積んでいけばわかると思います。

次回は、第3戦略であるLEAPSダイアゴナル・スプレッドについて説明したいと思います。本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました!

ありがとうございました!