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【米国株OP】LEAPSダイアゴナル・スプレッド(第3戦略)

今回は米国株オプションの第3戦略であるLEAPSダイアゴナル・スプレッド(LDS)の話です。前回までに説明したターバイ&カバコをぐるぐる回すことでも十分なのですが、今回のLDSもかなり資金効率も高い優れたトレードですのでマスターしたい戦略です。

まずは、言葉の説明からさせていただくと、LEAPSとはLong Term Equity Anticipation Securitiesの略であり、通常のオプションは9か月以内に満期を迎えますが、このLEAPSは満期が1年以上先のものを指します。

日経225オプションでは、せいぜい3か月先くらいまのでオプションしか流動性がありませんが、米国株オプションは1年以上先のものまで取引されてます。それだけプレーヤーが多く資金が集まるということです。

また、ダイアゴナル・スプレッドというのは、権利行使価格の満期が異なるオプションの組み合わせの事を言います。有名なカレンダースプレッドは権利行使価格が同じで満期が異なるスプレッドで、ダイアゴナル・スプレッドの1種です。

LEAPSダイアゴナル・スプレッドとは

今回はコールを用いたLEAPSダイアゴナル・スプレッド(LDS)について説明します。LDSとは、LEAPSのコール買いと期近のコール売りを組み合わせたトレードの事を言います。

ここでのポイントはLEAPSをDITMの権利行使価格を選択するということです。DITMのデルタは0.8~0.9くらいのものを選択します。デルタは原資産に対するプレミアムの変動率ですので、原資産が1変動すれば、0.8~0.9プレミアムが変動することになります。つまり、原資産とほぼ連動してプレミアムが変化するということですね。これは疑似的に現物株を所有している状態と同じと言えます。

これに、満期が短い(期近)コール売りを組み合わせたます。LEAPSの買いを疑似的な現物株であると考えると、これにコール売りを組み合わせたものはカバードコールと同じと考えることができませんか?

では、普通にターバイしてカバコを組めばよいのでは?と思うかもしれませんが、LDSの方がかなり資金効率が高いトレードが可能なのです。

AMDを利用した実例

2021年12月27日、私はAMDで下記のLDSを組みました。AMDの株価は$147.5くらいでした。

87.5C@$67.0(1枚)23/1/20満期
152.5C@$2.0(-1枚)12/31満期

LEAPSは満期が1年先の2023年1月20日で、権利行使価格は$87.5ですのでかなりDITMになります。デルタは0.9くらいで、プレミアムは$67.0でした。一方、今週中が満期である期近の3%OTMの152.5Cを$2.0で売りました。

その後、株価は下落して、満期の12/31の終値の株価は$143.9となり、その時のLEAPSの87.5Cは$62.68に減価してましたので、-$4.32の損失となりました。ただ、152.5Cが権利消滅したので+$2.0の利益がありますので、差し引き-$2.32です。

実際は、12/31に152.5Cのプレミアムが0.06まで減価していたので買い戻して利確し、翌週満期の150Cを$3.30で新たに売りました(カバコで説明したローリングですね)。すでに、こちらも減価が発生して12/31の終値の時点で+$1.7の利益が乗ってますので、-$0.62の損失です。

このようにLEAPSを現物株と想定して、期近のカバードコールを組んでプレミアムをコツコツと稼ぐわけです。今後株価が上昇すれば、LEAPSも利確してトレード終了というのがベストシナリオになります。

資金効率について

今回のトレードをカバードコールを実施しようとすると、まずは現物株を取得するのに$147.5必要になります。たとえターバイでプレミアムを獲得したとしても、かなりの資金が必要です。

LDSを利用すれば、今回の例で言えば、$87.5のプレミアムである$67の資金で疑似的な株を所有することができるわけです。(実際は、100株単位になりますので100倍の資金)

カバコで得られるプレミアムの利益はLDSでも同じですので、LDSの方がお得であることがわかると思います。

ただ、注意が必要なのは、あくまでもオプションであるので、セータによる時間的価値の減価が発生します。この点は現物株に比べて不利になります。しかし、今回はDITMを選択しております。DITMのプレミアムは時間的価値がほぼ含まれていないので、セータの影響を受けにくいという特徴があります。DITMの選択した理由はデルタだけでなく、セータの影響も考えてのことです。

ただ、少なくでも時間的価値が減価することは事実ですので、あまり長くトレードをするよりは、カバコの利益を何度か確定させた場合、LEAPSがプラ転した時点でクローズしてしまうのがよいかなと思っております。

まとめ

今回のLDSのトレードの説明をさせていただきましたが、ターバイでは現金確保プット売りがメインとなりますので、最悪のケース(ITM)を想定して現金を確保しておかないといかません。つまり、自分の資産以上の株をターバイすることができないわけです。

現時点でamazonの株価は$3,344あります。最低でも$3,000×100株で3000万円くらいの資金がないとターバイできないわけです。この点でもLDSであれば、DITMのプレミアムの額を払えばトレードできますのでメリットがあると言えます。

今回で米国株オプションの3本の柱について説明させていただきました。他にもいろいろなトレード方法がありますが、この3本だけでもかなり戦略的なトレードが可能かと思います。

日本株では株式オプションが実質的トレードできませんが(株おぷでトレード可能ですが、米国株オプションの流動性には程遠い)、米国では一般的なトレードとして、カバコ&ターバイが一般投資家の間でも実施されているようです。実際、amazonで本を検索するとたくさん表示されます。いつか。日本株で行える日がくればいいのですが。

ぜひ、今回の記事を読んで、米国株オプションの魅力について認識していただければ幸いです。

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