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デビット・スプレッドとクレジット・スプレッドのエントリーについて

みなさん、こんにちは!いつも、こちらのnoteをご覧いただきましてありがとうございます。

「オプショントレードはボラティリティトレード」と良く言われます。安いボラティリティの時に買い、高いボラティリティの売る。理屈は簡単ではあります。

しかし、オプションの買いと売りを組合わせたスプレッドの場合は、「いつエントリーするのがいいの?」といった疑問が生まれてきそうですよね。今回はデビット・スプレッドとクレジット・スプレッドのエントリーについて検証してみたいと思います。

デビットスプレッドとクレジット・スプレッド

まずは簡単に言葉のおさらいです。スプレッドとは、オプションの買いと売りを組合わせの事を言いますが、その組み合わせにより、エントリー時にプレミアムが支払いになるスプレッドをデビット・スプレッド、受取りになるスプレッドをクレジット・スプレッドと呼びます。

デビット・スプレッド

デビット・スプレッドの代表格としては、ブルコール・スプレッド、ベアプット・スプレッドが挙げられます。

下図のグラクはブルコール・スプレッドの損益図となります。低い権利行使価格(100Cロング)の買いと高い権利行使価格(150Cショート)の売りを組合わせることにより、利益と損失を固定(緑線)することができます。

上昇(ブル)することで利益が得られ、コールオプションを用いたスプレッドであることから、ブルコール・スプレッドと呼ばれております。

コールオプションの場合、権利行使価格が高くなれば(OTM)プレミアムは安くなるので、当然、エントリー時にはプレミアムの支払い(上図では20ドル)が発生し、その支払ったプレミアムが最大損失となります。

クレジット・スプレッド

クレジット・スプレッドの代表格としては、ベアコール・スプレッド、ブルプット・スプレッドが挙げられます。

下図のグラクはブルプット・スプレッドの損益図となります。高い権利行使価格(100Pショート)の売りと低い権利行使価格(70Pロング)の買いを組合わせることにより、利益と損失を固定(緑線)することができます。

上昇(ブル)することで利益が得られ、プットオプションを用いたスプレッドであることから、ブルプット・スプレッドと呼ばれております。

プットオプションの場合、権利行使価格が低くなれば(OTM)プレミアムは安くなるので、当然、エントリー時にはプレミアムの受取り(上図では20ドル)が発生し、その支払ったプレミアムが最大利益となります。

デビット・スプレッドのエントリー

それでは、デビット・スプレッドのエントリーについて検討してみましょう。

下記グラフは、満期が1か月後のアップル(AAPL)のブルコール・スプレッドを組んだ時の損益図になります。現在の株価が158.28ドルであり、ほぼATMの160Cをロングし、OTMの170Cをショートしております。

この時のプレミアムをグリークスは下記のとおりとなります。160Cのプレミアムは4.23ドル、170Cのプレミアムは0.83ドルとなります。160Cをロングし、170Cをショートするので、3.40ドルの支払い(デビット)になっていることが確認できます。

今後はグリークスを確認しましょう。スプレッドを組んだ場合のグリークスもプレミアムと同様に、ロング(+)、ショート(-)として加えることで確認が可能です。

デルタ(δ)を確認すると、0.319とプラスになっており、このスプレッドは上昇すれば利益がでるスプレッドであることが、デルタ(δ)を確認することでもわかります。

また、これまでガンマ(γ)とセータ(Θ)は背中合わせの(相反する)関係とお伝えしてきましたが、それぞれの符号を確認すると、ちゃんとプラスとマイナスと相反する関係になってますよね。

今回注目していただきたいのはベガ(V)です。ベガ(V)の値がプラスになっております。ベガ(V)は「ボラティリティが変化したときのプレミアムの変化」を示す値になるので、ベガ(V)がプラスということは、ボラティリティが増加するとプレミアムが増加するポジションであることがわかります。

よって、ベガ(V)がプラスのポジションは、ボラティリティの上昇を狙ったポジションであるので、ボラティリティが低い時に仕掛けた方が有利というわけです。

これはブルコール・スプレッドだけでなく、ベアコール・スプレッドも同様になります。

クレジット・スプレッドのエントリー

今度は、クレジット・スプレッドのエントリーについて検討してみましょう。

先ほどのAAPLのデビット・スプレッドの売りと買いを反対にするとベアコール・スプレッドとなります。下記はその損益図となります。

デビット・スプレッドとは異なり、ATMに近い160Cを売り、OTMの170Cを買うことで、プレミアム3.4ドルの受取り(クレジット)となっていることが確認できます。

グリークスも確認してみましょう。今回はデルタ(δ)が-0.319とマイナスになっております。つまり、株価が下落するとプレミアムが上昇するスプレッドになっていますね。これも損益図を見れば納得できるかと思います。

ベガ(V)も確認してみましょう。今回は、-0.075とマイナスになっております。つまり、ボラティリティが増加するとプレミアムがマイナスになるということです。逆に言うと、ボラティリティが減少するとプレミアムがプラスとなるわけです。

よって、クレジット・スプレッドは、ボラティリティの減少を狙ったポジションであるので、ボラティリティが高い時に仕掛けた方が有利というわけです。

まとめ

今回は、デビット・スプレッド、クレジット・スプレッドのエントリータイミングについて検討してきました。単純な話ですが、オプションは買えば、ガンマ(γ)もベガ(V)もプラスになり、売ればマイナスになります。

あと、ボラティリティが安い時に買いの注文を入れて、後日、ボラティリティが上がれば、売りを入れるという方法もあります。

ただ、これは相場予想を見誤ると、収益が悪い方へ傾いてしまうので注意が必要です。もし、予想通りに動けば、フリートレードの完成もできるのですが。

ちなみに、カレンダー・スプレッドの場合は、ベガの小さい期近を売って、ベガの大きい期先を買うので、ベガプラスとなります。よって、ボラの低い時に仕掛けた方がよいことになります。

ただ、カレンダースプレッドはどの権利行使価格を選択するかにより狙いが変わるので、かならずボラが低い時がよいと一概には言えないのですが...ちなみに、期先の方がプレミアムが大きいので当然、デビットになります。

本日も最後まで御覧いただきましてありがとうございました。次回の記事も御覧いただければ幸いでございます!

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