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DV-2021 (5) 当選後の手続き③DS-260

今回はDVプロセスの中でも特に難易度が高いとされるDS-260の作成について書いていきます。
長くなるので、必要な箇所だけお読みいただければと思います。

DS-260とは

オンライン移民ビザ申請・外国人登録申し込みのことです。
以前の記事でも書いていますが、これを提出するのは「アメリカに移住したいです」という意思表示をしているのと同じことになります。
提出されたDS-260はKentucky Consular Center (KCC) という、国務省管轄のお役所に送られ、ここで内容が確認されます。KCCの担当者が内容を確認し、問題がなさそうであれば次のステップ(追加書類の電子提出)に進みます。
DS-260が恐れられている理由として、英語しかない、正確性が求められる、などいろいろあると思いますが、いちばんはやはり「聞いてくる内容の細かさ」じゃないでしょうか。
実際の質問内容はこのサンプルで確認することができます。
以下に各セクションごとの概要を説明していきます。

DS-260提出タイミング

DVプログラムの手順書には「当選後なるはやで出せ!」と書かれていますが、これは鵜呑みにしないほうがよいです。特にケースナンバーが大きい場合、一番に出したからといって面接の順番がすぐに回ってくるわけでもありません。
提出タイミングについては別の記事にまとめますのでそちらをご参照下さい。

Personal Information

名前や出生地、パスポート情報といった至って普通の項目です。
出生地に関しては、生まれた市(City)を書くようになっています。自分が生まれた時のことはたいていの人は記憶にないでしょうし、勘違いしていたということも意外とあるので、不安な方は戸籍で確認すると安心です。

Present & Previous Address Information

最初のPersonal Informationは楽勝なのですが、ここで多くの人は挫折を味わうことになるでしょう。
知り合いで、過去に当選したが手続きがあまりにも面倒くさくて途中で申請を諦めたという人がいました。喉から手が出るほど永住権が欲しかった私にはまったく理解できませんでしたが、喉から手が出るほど永住権が欲しい人以外にとっては高すぎるハードルかもしれません…。

まず現住所は問題ないと思います。で、その次。
「16歳になってから今まで、現住所以外のところに住んでいたことがありますか?」という設問があります。年齢にもよりますが、答えがYesになる人は少なくないと思います。
Yesの場合、16歳の時から現住所になるまで、今まで住んだことのある住所を、最新のものから順にすべて書き出さなければなりません。それぞれの住所にいつからいつまで住んでいたかも併記します。
我々夫婦は30代後半なので20年分の居住履歴をほじくりかえさなければなりません。ひょいひょいと引っ越しを繰り返していた過去の自分を呪います。
「たかが住所でしょ?力づくで調べればなんとかなるし、時間をかけてでも全て書き出せばいいだけじゃん。」
その通りなのですが、ことを難しくしているのがこのDS-260のウェブサイトそのものの作りなんですよ。調べ上げた住所をせっせと記入してSaveボタンを押すと…あれ?何も起きない。嫌な予感がしますが…待つこと数秒。
エラー。ログアウトされました。再ログインして下さい。
もちろん変更は保存されていません。あんなに一生懸命入力したのに!!!これを何度も繰り返しました。
賢い方ならこう思うでしょう。「住所を1つ入力するたびにSaveすればよいじゃないか」と。私もそう思いました。ただね、このフォーム、16歳の時の年に遡るまでのすべての住所を入力しないと、保存さえできない仕様になっているんです。つまり保存できるのは、すべての住所を入力し切ってからなのです…。orz
もし死んで地獄に落ちたら、きっとそこではDS-260を延々書かされるんだと思います。
というわけで、このページの入力を始める前に、あらかじめ過去の住所を英語でWordやテキストエディタに書き出しておき、実際の入力時にはコピペで済ませられるようにしておくことをおすすめします。

Present and Permanent Address

Mailing Addressは郵送物の宛先住所、Permanent Addressは移住後に住む予定のアメリカ国内の住所を入力します。

Mailing Address

前ページで入力した現住所と同じでよければ「Is your mailing address same as your present address?」はYesと答えます。

Permanent Address

移住後に住む予定のアメリカ国内の住所を書きます。
いや、まだグリーンカードもらってないのに、アメリカ国内のPermanent Addressなんて普通なくない?ないと思うんですが、ここにグリーンカードを郵送するらしいので、何かしら書かないといけません。(アメリカってこういう矛盾ちょこちょこありますよね…)
私は米国内に住んでいる友人に住所を借りました。もしアメリカにお友達や親戚がいない場合、住所貸しサービスを提供しているエージェントや弁護士事務所もあるようです。こういうところで代行サービスの価値が発揮されるのかもしれませんね。

Family

自分の両親、配偶者、離婚歴のある方は過去の配偶者、すべての子供の情報を書き出します。
一緒に移民ビザを申請する・しないにかかわらず、配偶者と子供の情報は漏れなく書き出します。
我々夫婦は初婚で子供もいないため、両親欄の入力のみでした。

Previous U.S. Travel

直近5回のアメリカ渡航歴を書き出します。それぞれの到着日と滞在日数を書かないといけないので、パスポートのスタンプやフライト記録を参照しながら可能な限り正確に記入します。
なおAlien Registration Numberを発行されたことがあるかという質問ですが、多くの場合は発行されたことがないと思いますので、「私は過去に発行されたことがある!」と分かっている方以外はNoで大丈夫だと思います。

Work/Education/Training

現在の職業を書いていきます。
ドロップダウンから業界・大項目を選び、雇用主や職種について詳細を書きます。
なお専業主婦・専業主夫の方は「NOT EMPLOYED」ではなく「HOMEMAKER」を選んでおいたほうがよさそうです。NOT EMPLOYEDは無職、プー太郎なので、面接官に「アメリカに来た途端に生活保護予備軍かも」という不安を持たせてしまいかねません。
「アメリカではどんな仕事をするつもりですか」という設問も、
「いやだからさ、グリーンカード持ってないから就活もできないし、その状態ではどんな仕事もなにも…」
と言いたくなりますが、ぐっとこらえて適切なものを選びます。あくまでも予定の話で立証のしようもありませんので、そんなにシビアに選ばなくても大丈夫じゃないかと思います。
学歴は中学卒業以降のものをすべて書き出します。Course of Studyですが、高校は普通科であればAcademic, それ以外の特殊なカリキュラム(農業高校など)であればVocationalです。大学以上は専攻を記入します。

渡航歴記入に関する注意:
過去5年に訪れたアメリカ以外の外国をリストします。
この項目、一度セーブしても、Submit直前のレビュー画面で空欄になっていることがあります。その場合は再編集画面を開いて保存し、レビュー画面で反映されていることを確認して下さい。

Security and Background

伝染病にかかっていないか等の健康状態に関する質問が並びます。
TBは、日本ではツベルクリンでお馴染みですが結核のことです。
悩みどころとしては「Do you have documentation to establish that you have received vaccinations in accordance with U.S. laws?」(米国の法律で求められる予防接種を受けていることを証明する文書があるか)という設問ですが、これはYesでもNoでもどちらでもよいようです。
DS-260を書く時点ではまだ抗体検査もしておらず、母子手帳も手元になくて接種履歴が分からないケースは多いと思います。私はここでNoを選択し、備考欄に I do not currently have the required documentation, but will obtain one before the interview at the embassy. というようなことを書いておきました。
次のページからは犯罪歴に関する情報です。大量虐殺に関わったことがあるか、少年兵を斡旋したことがあるか等、ここ以外ではまず聞かれないような異次元の設問が押し寄せてきます。ここでYesと答えるような人がグリーンカードの抽選に当たって大喜びし、せっせと申請書を作っている姿がなかなか想像できません…。
設問は一応すべて目を通して(望むべくは)すべてNoと答えます。
ただ、日本人でも引っかかる可能性があるのは移民法違反に関する項目です。アメリカに許可期限を超えて違法滞在し、強制送還されたケースなどがこれに当たります。このような過去を申告するのはつらいですが、ビザ手続きにおいては虚偽はご法度です。すべて正直に答えます。

Social Security

過去アメリカに居住していたことがある方は、SSNを発行されていたケースもあると思いますので、その場合はここで申告します。
なお、新たなSSNがほしいですか?という質問ですが、通常はYesを選ばれると思います。
私は学生時代に大学のラボでアルバイトをしていたのでSSNを持っていましたが、学内でしか就業できない条件付きSSNだったため、今回は新たなSSN発行を希望しました。

Reviewページ

全項目の入力が終わったら、レビューページで入力した内容を改めて確認します。もし間違いがあったら修正しましょう。上述の「過去5年の渡航歴」のところが正しく反映されているかどうかもチェックして下さい。

Sign and Submitページ

レビューが完了したら、Sign and Submitページで送信ボタンを押します。
なおひとつのケースナンバーで複数人の申請をしている場合、ひとりひとりのDS-260をそれぞれSubmitする必要がありますので、全員分提出するのを忘れないようにご注意下さい。


長らくお付き合いありがとうございました。
そしてDS-260の作成お疲れ様でした。
ここに書かれていない細かい質問事項があれば、私で分かる範囲でお答えしたいと思いますのでお気軽にご質問下さい。

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