2024年2月29日 「閏」

閏。本当は存在しないけれど、なかなかやるべきことを始められない私のためになぜか用意された猶予のような日。それでも私は今日を無駄にした。

アンドレイ・タルコフスキー監督『ノスタルジア』を観に行った。相変わらずお金がないので徒歩。昨日みたいにスーツの人間を見るたびにゲンナリするわけにはいかないのでひたすら下を見て小林私を聴きながらずんずんと歩いた。

映画は映像詩という感じで、面白いけれど退屈だった。静謐でゆっくりとした映像は万年寝不足太郎の私にはなかなかキツくて、予想通りというか例に漏れずというか、中盤丸ごと船を漕いで過ごした。それでも映像の美しさと終盤の展開には多少のインパクトを受けた。それにつけてもなけなしの1100円が! 勿体無いことをした。

映画館を出て本屋に入って、就活の本を買った。遅すぎる。でも買った。買っただけ偉い。とでも言っておかないとやばい。

寒い上に雨の中をとぼとぼ歩いていると叫び出したくなる。折しも退勤ラッシュでスーツ姿の大人たちが街じゅうを闊歩している。どんどん歩幅が縮まって歩く速度が遅くなる。イヤホンからくるりの上海蟹が流れてきて、

実を言うとこの街の奴らは義理堅い
ただガタイの良さには騙されるんじゃない
お前と一緒で皆弱っている
その理由は人それぞれ
耐え抜くためには仰け反れ
この街はとうに終わりが見えるけど
俺は君の味方だ

くるり「琥珀色の街 上海蟹の朝」

のところでグンっとなって泣きそうだった。スーツ姿で退勤している「ガタイの良」い人たちも私と一緒で皆弱っているその理由は人それぞれ耐え抜くためには仰け反れ! 去年のzeppのライブの岸田さんの声とかをありありと思い出してそれもやばかった。いい歌詞だとは思っていたけれど予想外に刺さってしまって外で泣くのをちょっと堪えた。おかげでその後はわりと落ち着いた気持ちで歩けた。まあそのあと食べたすき家のカレーのおかげでもある。すき家では元気モリモリ高森浩二がaikoの「ストロー」をかけてくれたのでそれも良かった。

明日から日記にタイトルをつけるのをやめる。面倒なので。

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