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ブルーレット買うだけの人

コロナ禍が明け、海外からの観光客が増えてきた。

僕が住む大阪もたくさんの海外観光客で溢れかえっていて、道頓堀なんてめちゃくちゃ歩きにくいし息苦しくてたまらない。

どれくらい息苦しいかというと、職場の人たちからめちゃくちゃ優しいと評判で、カラオケの十八番が『We Are The World』なこの僕が、「お前らさっさと自分の国に帰れや!!」と思ってしまうくらい息苦しい。当然彼らに罪はない。僕がサイテーなだけ。だが本当に人が多すぎてしんどい。

昨日仕事の帰り道、自宅トイレの便器に置いている「ブルーレットおくだけ」の中の液体が切れつつあることを思い出して、行きつけのドラッグストアに寄った。

そのドラッグストアでは「ブルーレットおくだけ」が、常にお試し価格で販売されており、定価の半額近い値段で購入することができる。僕のお財布の強い味方である。

店内はやはり海外の方が多く、レジもかなりの人数が並んでいた。
思わず溜め息が漏れたが、こればかりは仕方ないのでレジに並んでお会計の順番を待っていた。

5分くらい待っただろうか。僕の順番が来た。
「やっと買えるわ〜」と思いながら「ブルーレットおくだけ」をレジに置いたら、店員さんから「一般会計は隣のレジでお願いします。」と言われた。


僕が並んでいたレジは外国人向けの免税専用レジだったのである。


実はそのレジ、先月までは我々ジャパニーズピーポーでも商品を購入することができた。
それがコロナ緩和で海外からのお客さんが戻ってきたため今月から免税専用レジに変身していたのだ。完全に騙された。

「我是中国人」と言って中国人のふりをしようかと思ったが、そんなことしたらどこぞ国家主席に粛清されそうな気がしたからやめた。

そもそも外国人であっても5000円以上買わないと免税されない。
そのためには「ブルーレットおくだけ」を30個くらい買わないといけない。そんなにはいらない。

仕方ないので店員さんに言われた隣の通常レジを見てみると、そこには日本人の同胞たちが「消費税を払うぞ!」という熱い意気込みでズラーっと並んでいた。

すでに5分ほど待たされていた僕。
さらに5分ほど待たされそうな列の長さだったため「ブルーレットおくだけ」をそっと陳列棚に戻してそのまま帰宅した。

「ブルーレットおくだけ」を買うだけ。
買って帰って置きたいだけ。
ただそれだけ。
それってこんなに難しいことだっけ。

免税専用レジのせいで、うちの便器は今日も元気に黒ずんでいる。






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