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TMS理論をもとに私が腰痛・神経痛に対して行ったアプローチ(執筆途中)

※本文中に出てくるTMS理論について、詳細はネット上の解説(TMSジャパンさんのサイトなどに載っています)や書籍を参照下さい。私の書く記事では、TMS理論自体については今後も概略や引用にとどまると思います。

私の腰痛・神経痛症状

・椅子に座ると数分経たないうちに足先や前腿や腕・手にしびれが出る→座るのをやめるとすぐにおさまる
・車の運転席には15分ぐらい座れるが座っていると尾骨周辺、直腸付近?が痛んでくる
・身体の左側を下にして眠ると腿の横がヒリヒリ痛む
▼離脱症状が出て悪化した後に加わった症状
・仙腸関節部にチリチリした痛み、時折鋭い強烈な痛み
・臀部と鼠蹊部、股関節周辺に炎症が起きたような断続的痛み
・下肢の各所に電気が走るような断続的痛み

上記の他、20分ほど立ちっぱなしでいると足の裏やかかとが針で刺されたように痛み出す(いわゆる足底腱膜炎のような症状)、少し動くだけでやたらと疲れる、不定期に腰が抜けそうな骨盤辺りが不安定な感じになるなどの症状もありました。

私もTMS患者ではないかと思った理由

<過去2回起きたぎっくり腰の発症時期>
会社の新人さんに引き継ぎ指導しながら職場に黙って転職活動をしていた時期と、転職後この職場で本当に良かったのかと迷う気持ちを抑えつつ前向きになろうと仕事していた時期だった。
→“抑圧された不満や不安が痛みを引き起こす”というのに心当たりがあった。

<1回目は一週間もせず回復したのに2回目のぎっくり腰は1年半も神経痛が治らない>
痛みが長引いた2回目のぎっくり腰を起こした直前に腰がクキッといった感覚が契機だと思い込んで、「骨がダメになっている」という考えに固執していた。
→“TMS患者はしばしば急性腰痛の際に「音がした」などと訴え、身体が壊れたと思い込んでいる”の内容がそのまま自分に当てはまっていた。

<日によって違う箇所が断続的に痛む、しびれる>
「主に痛みが出るのは臀部と下肢」ではあるが、医者に痛む箇所を説明しようとすると身体のあらゆる部位に痛みやしびれが出ていると言わなければならなかった。
また、症状の出る場所が変わるため、医者の触診や問診にも一貫した答えを返せなかった。
→“TMSは痛む箇所が移動する”、“神経が圧迫され続けて起きるのは持続的痛みや本人だけが感じる感覚異常ではなく、麻痺である”、“脳は身体のあらゆる場所に痛みを出せる”など、脳がその都度痛みの指令を出す箇所を変えているならば自分の症状にいまいち一貫性がないことにも納得が行くと思った。
また、しびれも正座した後のようなしびれ方だったので、神経が圧迫され麻痺する兆候ではなく(脳からの指令で)血流が減少したことよる神経が酸素欠乏を起こした症状という博士の理論が感覚的にもしっくりきた。

<椅子に座ると足がしびれ、立ち上がると間もなくしびれが消える>
明らかに「座る」という動作がしびれのトリガーになっているので、座る姿勢でどこかの神経に圧迫が起きていると考えていた。
→“脳は条件付けによって痛みを出す”という理屈でそのまま説明できる。急性腰痛を起こしてすぐ、椅子に座ると強烈に痛んだ経験を脳が覚えているかもしれなかった。また、長時間椅子に座るとしびれる、悪化するという意識でいたのも条件付けを強化している可能性があると思った。

治すためにやったこと1・自分の症状はTMSだと確信する

『ヒーリング・バックペイン』ではサーノ博士が行なっている治療プログラムの内容についてこう↓書かれています。

1. 疾患に関する情報を得てその本質を十分に理解すること
2. その情報に従って脳の習性を変えるべく「行動」すること

『サーノ博士のヒーリング・バックペイン』より

実際に自分の症状が改善された現在、やはり1番目の”疾患に関する情報を得てその本質を十分に理解すること”がとても重要だったと思います。サーノ博士自身も著書の中に以下のように書いているのですが、

(前略)過激な運動も含めて、とにかく元のように身体を動かしなさいというアドバイスを、過去十七年間、数え切れないほどの患者に与えてきたという事実だ。このアドバイスに従ったせいで腰のトラブルが悪化したという患者は、一人も思い出せない。
患者にこのアドバイスをするのは、患者が痛みの軽減を実感できたときや診断を信頼できるようになったときだ。早まると、痛みを誘発して恐怖が高まり、回復が遅れることになる。患者は通常身体を動かせば痛みが出ると「条件づけ」られているので、ある程度、診断に対する信頼が高まるまでは、治療の一環だからといって型どおりに挑戦させてはいけない。

『サーノ博士のヒーリング・バックペイン』より

自分の身体の症状について、治療の過程でどんな変化が起ころうとも「脳の誤作動で起きていることであって、◯◯をしたせいで何かが悪化したわけではない」と動じないぐらいにTMSの症状であることに患者本人が納得している必要があると感じます。

例えば私は自分が仙腸関節炎であると思っていたわけですが、『ヒーリング・バックペイン』の原著は1991年に刊行されたもので、やや古い本のために“仙腸関節”に関する言及は全くありません。(そもそも仙腸関節障害という疾患概念自体、日本の村上栄一先生が新たに作ったものではなかったかと思います)

そのため、最初に本を読んだ時は身体症状を含めTMS患者の典型的タイプに自分が非常に当てはまっていると感じながらも、
「しかし仙腸関節障害が本当に稀な、全く新しい疾患で、博士が関わった多くの患者さんたちとは違って悪化したらどうしよう?」とか、
「博士の理論では”心から気を逸らすために脳が身体の痛みを出す”と言っているけれども、私の症状は感情が動く場面でないにも関わらず出ることがある。完全には説明がつかないのではないか」などという疑念が拭えず、2番目の行動療法(腰に悪いと思い込んでいた動作を避けずに普通に生活したり運動する)に移る勇気がなかなか出ませんでした。

何せTMSに罹る人間の典型例なので、少しの不安と恐怖心でもその場から動けなくなってしまうのです。そこで、その疑念をどうにか払いたいと思い「実際に回復した人」と「実績のあるセラピストによるできるだけ新しい説明」を探しました。
実際に回復した人については、ツイッター(現x)で見つけた「大丈夫メソッド」さんと「あかり」さんの過去の呟きがとても参考になったので、ここにも引用させていただきます。

※呟きは時系列順になっています。
どちらの方にも共通しているのは「慢性疼痛は避けていた行動を取ることで一時的に悪化するが、最終的には痛みに対する恐怖心が無くなることでちゃんと回復する」という内容であることでした。痛みの悪化を何よりも恐れて踏み出せなかった自分には重要な情報でした。

そして実績あるセラピストによるできるだけ新しい説明の方は、インターネット上に私の疑問に的確に答えてくれるような形の動画がありました。

オーストラリアの大学教授による説明動画です。どちらも非常にわかりやすい内容なので、是非2つとも最後まで見ていただきたいです。特に2つめの動画で「骨盤帯痛」と呼ばれている症状についてですが、

"妊娠中に関節が緩くなって負荷を受け、弱くなってしまうというネガティブな考え"が関連すると説明されています。この説明は、仙腸関節障害についてネットで調べたことのある方なら心当たりがあると思います。動画中に仙腸関節という言葉こそ出て来ませんが、私はこれをいわゆる仙腸関節障害と同様の症状についての説明と解釈できると思いました。
さらに、同じ動画の中でこんな説明もされていました。

これも経験した事のある方ならわかると思いますが、痛みとも言い難いが骨盤がずれているような不安定になっているような、あの嫌な感じが端的に説明されていました。「骨盤の組織が非常に敏感になっている」
脳の誤作動によって皮膚など様々な箇所の感覚が一時的に過敏になることがあるのは知っていたので、理屈としても実際の感覚としても非常に腑に落ちる説明でした。
しかも、ストレスによって組織自体が過敏になっているためにそう感じられるのであれば、それはもはやその時々の感情(心)の動きとは関係なく現れる症状といえます。

これらの情報を新たに得た事で、レントゲンで見せられた、明らかに歪んで片方の仙腸関節が広がった私の骨盤の画像はやはり痛みとは関係ないんだ、ただ心も身体も過敏になっているんだと9割9分ぐらいまで信じることができました。あとは行動あるのみです。

治すためにやったこと2・避けていた動作を日常の中で取り戻していく

『人生を変える幸せの腰痛学校』の著者である伊藤かよこさんがおすすめされていた『強迫症を治す』という本(強迫症になった精神科医の先生が実際に回復を遂げて書かれた本です)の中に、不安行動と逆の行動をすることが治療になるということが書いてありました。

私の症状は腰痛でしたが、恐怖心からある行動(椅子に座るなど腰に悪いと思われている動作、急性時に強い痛みが出た動作)を痛みと結びつけ結果的に回避行動を取ることまでがセットになっていたので、脳内にできあがってしまった回路を上書きしていくようなものだと考えれば強迫症の治療とやり方は同じです。自ら制限していた動作を、危険でない・何でもない日常のこととしてやっていた頃の感覚を思い出しながら再びやるようにして行きました。

例えば左半身を下にしてベッドに寝そべっていると腰の辺りがビリビリと火傷をしたように痛み出したり、下肢のそこかしこに神経痛が走りましたが、痛みが出ても悪化しているわけではなく脳と身体が過敏になっているだけだとわかっていればあまり恐怖心は起こりません。
むしろ積極的にそういった行動を繰り返していくと、痛みが悪化するどころかだんだんと程度は和らいでいき、痛みが出てもおさまるまでの時間が短くなっていきました。

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