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骨まで愛して……?

おはようございます🐥
以前、他サイトで以下のお題を使って書かせていただいたSSを加筆・修整したものをエイやッ!とコチラにも😅

劇薬に溺れて
化けかたを学ぶ者
骨格スケルトン
リビング&デッド
腐ってもゾンビ…?

幼なじみとの関係、社会人になってから進展はあるのか? タイトルは完璧に懐メロの「骨まで愛して」から(他になかったんかい!)☠
https://sp.uta-net.com/movie/4195/

スキマ時間の埋め草にでもなれば〜次は彼女目線で、逆からお題を使った話になります🍎 


【ミサキめぐり タカユキのつぶやき】

「いいなぁ、ひとり暮し!」
時々やって来るミサキは必ずこう言う。
飲みすぎて終電を逃したパターンがほとんどで、おばさんにはベタだが「友だちのとこに泊まる」と電話したから連絡し大丈夫と笑う。まぁ、その友だちともオタガイサマでいろんな秘密があるんだろうな。
でもなぁ、お前だって働いて長いんだから、貯金して家を出たらいいだろ。なんだかんだ言って、やっぱり実家から離れるのがイヤなんじゃないか? この甘ったれが!

とりあえずミネラルウォーターのペットボトルを渡す。お気に入りを箱買いしてある。オレじゃなくてミサキのな。しばらくはなくならないからガブ飲みしてもいいぜ。
自分の職場よりお前の職場に近いこの部屋に決めたのは、こうしてお前が来るだろうと期待してだったが、シラフだったのは引っ越しの手伝いをしてくれた時だけだったな。

「劇薬よね」
「えっ?」
「恋愛って劇薬に溺れるようなものだと思わない? 激しい痛みは伴うけれど、効き目はバッチリでさ〜食欲不振になったり、詩人になったり……」
「なんだ? 今度は理系男子とでも付き合ってるのか?」
「やだ、ユキちゃんったら! まだそんなんじゃないよ〜」
両手で真っ赤なリンゴを撫でて「ユキちゃん」って……まだってことはいずれってことだろ、この酔っぱらいが!とデコピンしたくなるのを堪える。

ユキちゃん……小さい頃からこう呼んでいた。
タカユキは言いにくい、タカちゃんは友だちにいるから、ユキちゃんにする!だとさ。なんで「ちゃん」呼びなんだか。
中学に入ってからは「ニシカワくん」になったけどさ、酔っ払った時だけはその懐かしい呼び方をする。
少し幼い、ひどく甘えた声で。
こっちの気も知らないで。
いつまでも子どもじゃないんだぞ、オレだって。

あ~あ、目を潤ませてリンゴに唇を寄せるなよ。今、恋している誰かの唇を欲しがっているのか? ずいぶん化粧もうまくなったよな。
大学の時に「化け方、習ったのか?」って言った時に怒るかと思ったら、泣かれたっけ。
「ユキちゃん、なんで、ひどい……頑張って綺麗になったのに」
……オレじゃなくて違う男のためだって知ってたからだよ。

心は見えないっていうけれどさ、お前だったら「ホレ薬」ってラベルが貼られた劇薬をイッキ飲みして「ねぇ、こっちをちゃんと見なさいよ!」って詰め寄る気がするよ。
骨格スケルトン状態で男に迫るお前……ホラーだな 。男は逃げ出すかもな。そんなヤツはやめとけ、やめとけ!
「え〜、ずっとひとりはイヤだもん」
「オレはそんなお前でも抱きしめるぜ〜骨がバキバキって折れるくらいにね」
「あはは、やっだぁ〜ユキちゃんたら!」
オレも酔っぱらいだわ。
テーブルの上にビールの空き缶が増えていく。

「リビング&デッド ……」
「ん、なに?」
「リンゴをナデナデしてたらさ〜、昔、同級生がそんなタイトルの絵を描いていたのを急に思い出した〜」
「それさ “Dead or Alive ” じゃなかった? “ 生死を問わず” ってヤツ。この子、天才だわ!って毎日言ってたじゃん」
そう、お前はホレっぽい。人間でも動物でも絵でも音楽でもなんでも。
「そうだっけ? よく覚えてるね。やっぱユキちゃんは頭がいいっ! 腐ってもゾンビとはよく言ったもんよね、あはは」
「腐っても鯛だろ、ったく」

部屋はエアコンのおかげであたたかい。
今夜もこのままグダグダとお前と酒盛りして終わりだな。
海老で鯛を釣るっていうけれど、お前はなんで釣れるんだろうな。
オレは釣った魚に毎日エサをやるタイプなんだぞ。

早く気づけや!


『恋は化ける……?』に続く(予定)🥸🥸🥸