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ドリアンのマタイ・ワールド

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マタイ福音書ノートの目次
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#死

夕暮れ時に光がある

マタイ27:45-61 日中、急に太陽が光を失い、あたりが暗くなってきたら、驚くでしょうか。日蝕だとわかっていたら、むしろ関心をもってどうやって観察しようか、と行動するかも。 でも、3時間も暗い時間が続いたら、異常事態に不安を感じるはず。 もし、地球全体が闇に包まれたとしたら、何があったのかと、世界中で大騒ぎになっていたはず。 西暦30年4月7日だったと推定されています。 その日、エルサレムの全天が3時間にわたって暗くなりました。 あ、全天ではなく、全地が、でした。

「油しぼりの園」での祈り

マタイ26:36-46 この頃は住宅街を散歩すると庭木にオリーブをよく見かけます。瀬戸内海地方で生産されるオリーブ・オイルもけっこうでまわっています。アニメの「ポパイ」で見るオリーブくらいしか知らなかった世代にとっては、今の日本は世界の食材がすぐ手元にあるのが不思議です。 「油しぼりの園」とタイトルに書きましたが、地名は「ゲッセマネ」。ゲッセマネの意味が、「油しぼり」なのでした。オリーブ山と呼ばれる丘陵の中にある油しぼりの場所だったのでしょう。谷を挟んだ隣の丘の都市が、エ

ミステリー完結に向けて…過越の祭前のイエス殺害の策略

マタイ26:1-5 毎日が天国だったら、どんなことになるでしょうか。マタイの福音書は、「天国のミステリー(奥義)」をまとめたもの、とも言えそうです。その結末が、イエス・キリストの受難と復活。 「受難週」と呼ばれる、イエス・キリストが十字架で死ぬ日までの1週間。マタイは福音書の21~27章で描きます。最後の28章は復活後の話。 イエス・キリストの三十数年の地上生涯のうち受難週の記録が、福音書の約3分の1を占めています。ここには、この世の終わりはどうなるか、というイエス・キ

イエスの葬りの用意をしたただ一人の人マリヤ

マタイ26:6-13 生前葬というのを、今では時々話を聞きます。2000年前に、それをイエス・キリストに対して行った女性がいました。ベタニヤのマリヤです。「葬りの用意をした」、といって、生前葬だったのです。 他の弟子たちはカンカンになって怒ります。なぜだったのか。それより、マリヤはなぜ生前葬をしたのか。実際、それから1週間目にイエス・キリストは十字架にかけられ殺されたのでした。 さて、イエスがベタニヤで、重い皮膚病の人シモンの家におられたとき、ひとりの女が、高価な香油が

パンと葡萄

マタイ26:26-29 インドネシアに暮らしていると、日本の主食は何?と、時々尋ねられます。まだ「コメのご飯」でいいのでしょうね。 インド北部だったらチャパティとかナンとか。中東もそうしたパンです。 ユダヤの三大祭の一つ、過越の祭の食事では、イーストの入らないクラッカーのような「パン」や苦菜、子羊の肉を食べるように、旧約聖書では規定されていました。紀元前15世紀 (異説あり)のエジプト脱出を記念する祭です。 新約聖書に記される「過越」はギリシャ語でパスカと呼ばれ、イン