見出し画像

あなたの笑い声が好きだ

素敵な記事を読んだ。

親しい人に自分の好きなところをきいてみるというもの。読んでいて幸せな気持ちになりました。「私のどこが好き?」という質問ができる相手がいるって、それだけで幸せな人生だなって思えます。

私も誰かにきいてみたくなりました。娘にきいてもいいけれど、ここはやはり夫にききたい。

「ねぇねぇ、あなた。私のどこが好き?」

新聞を読んでいた夫、私の顔を見て即答。

「聡明なところ」

ありがとうございます。その言葉、ありがたくいただきます。

「それから前向きなところ」

これは意外。嬉しかったです。

私は昔の嫌なこと、父とのことを思い出すと夫に話します。もちろんいい思い出もたくさんありますが、辛かったことも多い。ただ、夫にしてみれば会ったこともない亡父のことを、延々と愚痴られても返事に困ると思うのです。でも、夫はいつも私の話に耳を傾けてくれました。

ありがたいです。でも、それはそれで辛い(厄介ですね)

一緒に歩み続けるなか、私が立ち止まって過去を振り返るたびに夫の手を引き、彼までも立ち止まらせているような気がして申し訳ない気持ちになります。

でも夫に「それはお互い様だ」と言われます。

私が気がついていないだけで、夫も後ろ向きなときがあるということ、そんなとき夫は私の前向きな姿に助けられているということ。

たぶん、そうなんだと思います。私や夫だけじゃなく、人は誰しも後ろ向きな瞬間があるのでしょう。

人間、前ばっかり見てるわけにはいかないから。そして後ろを向くことは決して悪いことではない。そんな気がしました。

前も後ろも横も向いて、きょろきょろする人生もなかなかにいいものかもしれません。

「それから」

あら、まだあるのか。何だろう。

「かわいいところ…… ん? キレイかな。いや、やっぱりかわいいところ」

夫よ。どちらでもいいです(笑)どちらも嬉しいです。

夫は私をよく「かわいい」と言います。夫は見かけによらず「かわいいもの」が好きなんですよね。今は映画「ミニオンズ」が観たいと言っています。あの黄色い生物が、夫にはたまらなくかわいいみたいです。ちょっと複雑です。

「それから、笑い声」

……う~ん。笑顔が素敵とはきくけれど、笑い声が素敵ってあまりきかない気がします。

「りんこさんの笑い声って独特なんだよね」

夫が楽しそうに語ってくれました。

「よく小説で『弾むような笑い声』ってあるだろう? りんこさんの笑い声はまさにアレなんだよ。周囲の空気まで弾む」

そう言って、拳をぱっと広げて花が開くように手を大きく広げる夫。

「りんこさんの笑い声を聞いていると、こっちまで楽しくなる。つられて僕も笑ってしまう」

この人は私を愛しているんだ、と思いました。

私と夫は「愛している」とよく言い合います。

でも矛盾していますが、この人は私のことを愛しているのだと感じるのは「愛している」と言われるときよりも、こういうときだったりします。

小説を書くのに大事なのは「いかに書くかではなく、いかに書かないか」と教えられたことがあります。まさにこれがそういうことだと思うのです。「愛している」という言葉からはもちろん夫の愛情を感じますが「愛している」という言葉を使わずに伝えられる夫の愛情は、格別に強く深く私に響きます。

私が笑うと夫も笑ってくれる。私が楽しそうにしているのを喜んでくれる人がいる。

こんなに幸せなことはありません。

今週の家族旅行で、思いっきり笑ってこようと思いました。そうそう、旅行から帰ったら、みんなで「ミニオンズ」も観に行こう。