暇なので小さい頃の日記を今つけてみる6

我が家は、サラダを食べるときはゴマドレッシング派である。しかし母が気まぐれに違うものを買ってくるときがある。変わり映えのない日常へのスパイスなのかもしれない。

今日の母はドレッシングの気分ではなかったのだろう。コールスローを買ってきていた。しかしドレッシングもまだ余っていたので食事の際に好きな方を選べることになった。選べるサラダ。めちゃくちゃテンション上がるやんけ。

直樹はどっちにするの?と言われたので僕は迷わず「コールスロー!」と答えた。コールスローは今まで食べたことがないのだ。どんな味なのだろうとワクワクしていると

「バーカ!!コールスルーだよー!!」

と兄が僕をあざ笑ってきた。今年で9歳になる兄は何かに付けて僕に対して知識のマウントをとってくる。今日は初めて食卓に上がるものの名前を間違えたことでマウントを取りに来たようだ。しかしこの時ばかりはできなかった。兄はコールスローの名前を「コールスルー」と覚えていたのである。つまり間違っているのは兄の方なのだ。

僕は普段の恨みも込め、勝ち誇った顔で兄にコールスローのパッケージを見せた。そこには大きな文字で「コールスロー」と書かれている。理解した兄の顔に朱が差した。次の瞬間コールスローの入れ物で殴られた。理不尽である。

あまりにも不意打ちで痛かったので、僕は大きな声で泣いてしまった。兄は「お前が悪いんだぞ!」と叫んでいる。僕は怒りに任せて兄に掴みかかっていった。

その数秒後、食べ物を大事にしない人間に対しては鬼かよとなる母が僕ら二人を成敗して戦いは終わりを告げた。でも僕は悪いことはしていないと思う。理不尽である。

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