暇なので小さい頃の日記を今つけてみる4

母が「アシタバ」という野菜を買ってきた。生まれて始めて耳にする名前である。もののけ姫に出てきそうだ。

「栄養があるらしいの!おいしいらしいの!ナムルにするといいらしいの!」

全てが「らしい」で表現された曖昧な言葉を聞くあたり、母も初めて食べるのだろう。僕はナムルというのが何か知らないが、母がニコニコしているので美味しいものなのだろうと思い、楽しみに待っていた。

そしていざ夕飯、アシタバのナムルの実食である。母はまだニコニコしていた。母が笑顔だと僕も嬉しい。ニコニコしながらアシタバを口に運んだ。ガソリンの匂いがした。なんだこれ、なんだこれ。クソまずいぞ。ガソリンの匂いだ。思わず吐き出した。母も同時に吐き出していた。

なんでガソリンの匂いがするのかしら?母はそう言って不思議がっていたが、僕は母がアシタバにガソリンをかけたと思っている。ニコニコしながらとんでもない女である。

余談だが遅く帰ってきた父にもこのアシタバのナムルを食わせていた。鬼かよ。やめとけ。しかし父は完食した。愛である。

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