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手軽さは最強、生物感は希薄『フォーエバーブルー ルミナス』


ゲーム概要

神秘的な海の世界へ──
最大30人で、一期一会のダイビング体験
ダイバーとなって、自由気ままに海中を探索。さまざまな生き物を観察したり、一緒に泳いだり、神秘的な海域で普段とは違う体験を味わうことができます。

◆潜るたびに姿を変える「ベールド海」
舞台は、限られたダイバーにしか知られていない不思議な海域。
潜るたびに異なる地形や生き物がダイバーを迎えます。

◆最大30人で、一緒に探索
オンラインに接続すれば、同じ海域を他のダイバーと一緒に探索できます。それぞれが見つけたものを共有したり、ジェスチャーでコミュニケーションをとったりもできます。みんなで同じ場所に向かうもよし、自分のペースで気ままに泳ぐもよし、探索の仕方は人それぞれ自由です。

◆いろんな生物と出会う
登場する海洋生物は500種類以上。中には大昔に絶滅したはずの生き物や、幻の生き物との遭遇も…?

Switch ストアページ
https://store-jp.nintendo.com/list/software/70010000077704.html

プレイ状況

プレイ時間:25時間
ツクモ盤:97/99
生物図鑑:533/578
お宝図鑑:267/340

現行機で最も気軽にダイビングできるゲーム

本作はWiiで展開されていた「フォーエバーブルー」シリーズから新たにSwitch向けに発売された新作だ。
内容は簡単で、とにかくダイビングを楽しむゲームとなっている。

ひとりでダイビングするモードと、オンライン最大30人でダイビングするモードがあり、ゆっくりダイビングを楽しむならひとりで、図鑑やコレクションを効率的に集めるならみんなで、気分によって変えることができる。
また、ダイビングする海域はランダム生成されるが、その海域のオーシャンIDを入力することで後からでも同じ海域に入ることができる。

私はダイビングゲーム、というか深海生物などの海洋生物や海洋系のホラーなどが好きなので本作もかなり前から楽しみにしていた。
ちなみに過去の海洋系ゲームのレビューはこちら👇

実際本作を遊んでみた感想としては、とにかく気軽にダイビングして深海生物や鯨などに会いに行けるのが一番メリットだと感じた。
本作は一応のストーリーモードはあるものの、その内容は薄く、あくまでゲーム内でダイビングする海域の設定などの説明が多いので、基本的にはひたすらダイビングすること自体がゲームの目的となっている。

ところで本作、ストーリーが薄い点はあまり評価されていないようだが、個人的にはストーリーからダイビング要素が独立していることによって、好きなときに好きな海域で好きな生物に会いに行けるという利点のほうが大きく感じる。
ストーリーと連動していると、今すぐクジラと泳ぎたいのにそこまで時間がかかる、みたいなことが出てきちゃうので。

オンラインは緩いが忙しい

先述した通り本作にはオンライン要素があって、複数人で同じ海域をダイビングすることができます。
元々ゲーム内設定としては海域の調査をするためにダイビングしているという設定があり、海域で発生するパルスの調査を進めることで、レア生物を出現させることができる。

そのため、オンラインに潜って複数人で調査を進めることで効率的にレア生物の調査や、他人がタグ付けした珍しい生物や宝を収集することができる。

オンラインといってもチャットなどはなく、エモートやスタンプでのやり取りのみとなるが、普段オフラインゲームをやることが多い身としてはそれくらい緩いオンラインのほうが気持ち的に助かる。
ただ、本作のオンラインに潜ればゆっくり和気藹々と他人と緩いコミュニケーションを楽しめるかというとそんなことは稀である。

というのもオンラインセッションは1時間が時間制限となっており、その間に調査ミッションやレア生物の出現をさせる必要があるし、さらにレア生物の亜種を出すためにはレア生物の出現を繰り返す必要などがあるので、とにかく1時間フルに使って海域を泳ぎ回って調査をしている人がほとんどだからだ。

レア生物はこんな感じでオリジナルの巨大生物が登場する👇

逆に野良マルチではなく、家族や友人、あとは配信などでオーシャンIDを共有しながらプレイできれば、水族館に行くような気持ちで本作を楽しむこともできるだろう。

一方でやることが少ないのは残念だ。
図鑑をすべて集めるのは時間がかかりそうだが、やがて集め終わるか、その前に飽きが来ることだろう。
最近時折目にするアクアリウムゲーム的に、ダイビングで生物をキャプチャして水族館作れたりとかできたら最高だったろう(前作「海の呼び声」では水族館あったのに)

オリジナル生物やごちゃまぜ生態系は疑問

さて、本作は実在する生物はもちろんのこと、オリジナルの生物も登場する。
このオリジナル生物が図鑑上実在の生物と同列に扱われている、つまり架空の生物です、という明言がないのは少し問題だと感じる。
確かにオリジナル生物は魅力的ではあるが、このゲームをプレイするターゲット層として子どもも想定されているはずなので、図鑑的役割としてはそのあたりの区別がされていないのは疑問符が付く。
同様に古代の生物や、絶滅しているとされている生物なども同様だ。

また、本作では数多くの生物を登場させるため、海水汽水淡水が入り混じった海域と説明されている。
が、その生物が本来いるべき水深でないところにいたり、違う水質で過ごす生物同士が同じ場所にいたりというのも違和感がある。

さらに言えば、生物同士が無関心で、インタラクティブな要素がないのも少し残念だ。
つまり、海の中で見たい生物の織り成す景色があまり見られないのだ。
具体的にはイワシなどが作る巨大な群れであるベイトボールに、それを襲う捕食者たちの姿だったり、マッコウクジラとダイオウイカの争いだったり、コミュニケーションを取り合うクジラの群れだったりが見られない。
とにかく生物たちがその見た目だけしか再現されておらず、生きているという感じがあまりしないのがもったいないと感じた。
本作に比べれば、見た目がデフォルメされているとはいえABZUとかのほうがより生物感を感じられる。

また、昼夜の時間経過がなかったり、海中がやたらこざっぱりしていて、海藻やサンゴ礁もまとまって特定個所にしか存在していなかったり、リアリティという面では非常に希薄だと感じる。
早い話、図鑑の中を泳いでいるようだった。

まとめ

本作は収録されている生物種が非常に多いうえ、もっとも気軽にダイビングできるゲームとしては現行機では一番だろう。
半面、ダイビングゲームに求める神秘的であり野性的な生物たちの生活を見ることができないのが個人的には一番もったいないと感じる点だった。

とはいえ、先の見えない深海を泳ぐ感覚を楽しむことはできるので、私のお散歩ゲームリストの中に入ることになるだろう。

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