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機械で測定しても赤ちゃんの泣き声を特定できない理由

​赤ちゃんの泣き声を測定して理由を特定しようという研究はこれまでにたくさん行われてきました。泣き声を機械で測定し、泣き声の大きさ、間隔、持続時間、周波数のパターンを発見することで、泣いている理由を特定しようという試みです。ですが、子育て中の両親に役立つような研究成果は上がっていません。なぜでしょうか?

理由1
泣いている理由が測定する数値に結びついていない


機械で測定して

  • 音量

  • 間隔

  • 周波数

などを数値化しても、それらのパターンは、泣いている理由とは必ずしも結びつきません。

赤ちゃんを観察していると分かりますが、最初に欲求を感じた時、赤ちゃんは小さな声を出し始めます(まだ泣き声とは認識されないくらいの音です)。なかなか欲求が満たされず、赤ちゃんが苦痛を感じれば感じるほど、泣き声はだんだん大きくなり、やがて激しい泣き方になっていきます。

音量や持続時間などのパターンは、泣いている理由によって決まるのではなく、欲求が満たされないことによるストレスレベルによって変化するのです。

理由2
そもそも泣いている理由がうまく定義づけられていない

音声解析をするためには、まず定義が必要です。例えば「空腹時の泣き声」にはどのような特徴があるのかを解析するためには「この泣き方は空腹時の泣き声である」という定義づけが必要です。

現在、ダンスタン・ベビー・ランゲージ以外に有効な定義づけは存在していないため、保護者による推測に頼っています。

  1. 赤ちゃんが泣いた時に、泣き声を測定する

  2. その後で、お母さんに「なぜ泣いていたかを質問する」

  3. その答えをもとに泣き声のパターンと理由を結びつける

このやり方では正確な関連付けはできません。赤ちゃんが泣いた時にお母さんが授乳を試みれば、多くの場合、赤ちゃんはとりあえずおっぱいを吸って泣き止みます。吸うことによって安心感が得られ、不快感が和らぐからです。そのため、本当は別の理由で泣いていたとしても、「授乳で泣き止んだ=お腹が空いていた」と判断されてしまうことが多いのです。

そもそもの前提として、保護者に正確な聞き分けができていれば、「泣いている理由が分からなくて困る」「泣き止まなくて困る」ということは起こりませんよね。

理由3
本格的な泣き声になってから測定を行っている

いわゆるギャン泣きの声の中に、生理的な特徴を見出すのは困難です。

3歳児が泣き叫んでいるところを想像してください。泣き叫ぶ声だけを聞いて、理由を正確に判別するのは困難ですよね。本人が落ち着いた状態であれば「お腹が減った」「おもちゃが欲しい」と言葉を発することができますが、泣き叫んでいるとうまく言葉にできませんし、我を忘れた状態では、元々の理由よりも、「とにかく不快!!」「とにかくイヤ!!!」と叫んでいるからです。

ダンスタン・ベビー・ランゲージでは、赤ちゃんが本格的に泣き始める前の音で理由を判別します。そこに生理的な音の違いを聞き取ることができるからです。ギャン泣きになってからでは、「とにかく不快&苦痛&ストレスMAX!」の泣き方になって、聞き取りが困難になります。

ダンスタン・ベビー・ランゲージを元にした音声解析

上記のタイプの研究とは別に、機械解析によって、ダンスタン・ベビー・ランゲージと同じ聞き分けが可能か、という研究が行われています。

インドのGhousia College of Engineeringによるリサーチ「Decoding baby talk: A novel approach for normal infant cry signal classification」ではKNN(K-Nearest Neighbor - k近傍法)の手法でネェ は80%、「エ」は90%、「アゥ」80%、「エア”」 90%、「へ」は90%の確率で分類できるという結果が出ています。
https://ieeexplore.ieee.org/abstract/document/7292392/metrics#metrics

ルーマニアのResearch Institute for Artificial Intelligence(AIリサーチ研究所)やPetru Maior大学などのメンバーによるリサーチ「Testing the Universal Baby Language Hypothesis -
Automatic Infant Speech Recognition with CNNs」では、機械学習の手法CNN(Convolutional Neural Network - 畳み込みニューラルネットワーク)によって、ダンスタン・ベビー・ランゲージの5つの音が89%の確率で分類できるという結果が出ています。
https://ieeexplore.ieee.org/document/8441412

インドネシア大学の「Infant cry classification using CNN – RNN」というリサーチではCNNとRNN(Recurrent Neural Network - 回帰型ニューラルネットワーク)を組み合わせた手法でダンスタン・ベビー・ランゲージの5つの音が94.97%の確率で分類できるという結果が出ています。
https://iopscience.iop.org/article/10.1088/1742-6596/1528/1/012019/meta

つまり、ダンスタン・ベビー・ランゲージの分類をもとにしたAIによる判別は可能であるということです。

その一方で、他の音声解析の手法と異なり、ダンスタン・ベビー・ランゲージは、いったん学べば、機械を一切使わずに、いつでもどこでも赤ちゃんの泣き声の聞き分けができるメソッドです。
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ダンスタン・ベビー・ランゲージは、生後0〜3ヶ月の赤ちゃんの泣いている理由を聞き分け、的確なお世話をすることで、すぐに赤ちゃんを落ち着かせてあげられるようにするメソッドです。

クラスでは、最も大切な5つの音(空腹、げっぷ、眠気、下腹部のガス、肌の不快感)の聞き分け方と、それぞれの対処法を学びます。これらの聞き分け方法と対処法を妊娠中に学んでおくことによって、生後1日目から赤ちゃんのニーズを理解できるようになります。

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最後まで読んでくださりありがとうございました。

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