こまるあふたー

【はじめに】
こちらの作品は単品でも楽しめるように仕上げていますが、登場人物の関係性や歴史を知りたい方は、づにあ作品の【あおぎりメモリアル】エピソード"栗駒こまる"を読んでみてください。
では、本編へどうぞ
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アパートの玄関から、ガチャガチャと音が聞こえる。

ガチャリと鍵の開く音がした。

トタトタと足音が廊下を進む。
ひょっこりと茶色い髪の女の子が顔を覗かせた。

「(小声)おじゃましまーす。」
「お?大人しく寝てるね?感心感心。」

そう言いながら、片手にぶら下げたビニール袋を下ろす茶色い髪の女の子

「体調悪くて休んでるって、親方さんから連絡もらって慌てて来たんだよ?なんですぐ私に連絡しないかなぁ?」

そう言って膨れ面をする。

「え?心配かけたくなかった?もう、そう言って前にも風邪こじらせたことあるのは、どこの誰だっけ?」

プンプンと怒っている。

「前回も言ったと思うけど、何かあったらすぐこまるちゃんに連絡すること!」
「え?迷惑をかけたくない?それで病気が悪化する方が迷惑ですぅ!」
「(小声)それに恋人なのに、看病も出来ないとか寂しいじゃん。」

どこか拗ねた様子を見せる。

「せっかく国宝の修理をする職人さんのところに就職できたんでしょ?無理して体壊したら意味ないじゃん。」
「前、私が体調崩した時なんか、『(男の声真似しながら)体調管理も大事な仕事だぞ。』とか言ってたくせに、自分が体調崩してたらダメでしょ?」
「ま、最近忙しくてあんまり一緒に居られなかったし、その点だけはちょーっとだけ嬉しかったりするけど。」
「ん?仕事はどうしたんだって?今日収録に来てくれたスタッフと声優さん達に恋人が風邪ひいて寝込んでるって言ったら、大丈夫だから早く行けって追い出されちゃった。まったく、大事な仕事に穴を空けさせるなんて、罪な男だぞ?」

額をツンツンと突かれる。

「ご飯は食べれてる?食欲は?お風呂は…入れてないか。ちょっと待ってて。」

トタトタと足音をさせて離れていく。

しばらくして、お湯とタオルを持ってこまるが戻ってきた。

「これで体拭いてあげる。」

そう言って、濡れタオルを絞る音がする。

額から順にタオルで優しく拭かれる。
耳周り、顎のラインから首筋にかけて、左右を入れ替えながら何度かゆっくりと拭かれていく。

「顔周りはこれでよし、次は背中を拭いてあげる。」

そう言って背中を支えながら体を起こし、上の服を脱がされる。

「少しの間寒いかもだけど、我慢してね。」

また、濡れタオルを絞る音がする。
今度は少し強めに背中を拭かれる。

「背中も拭けたし、今度は前だよ。」
「え?自分で拭けるって?病人は大人しくするの。」

濡れタオルを絞り、鎖骨周りから胸板を通り腹部を拭かれる。

「わぁー。やっぱり男の子だね。胸板が逞しいし、お腹も女の子より締まってる。でも、少しだけ運動不足かな?しばらくお預けだったもんね〜。」

こまるはニヤニヤと笑って、お腹の肉をツンツンとする。
こまるの視線は胸元、腹部と通って、その下へ。

「あ、もー、なに反応してるの?え?生理現象だって?病人なんだからお預け!…その、治ったら、ね?」

そう言いつつ、胸元や腹部を拭く。少しだけ吐息が荒くなっているようにも見える。

「はい!おしまい!」
そう言って最後に冷却シートを、ぺちーんとおでこに貼られる。

「次は食事だよ!食べられそう?少しは食欲あるんだ。おっけー!こまるちゃんが美味しいお手製お粥を作ってあげる!」

トタトタと足音をさせて、お湯とタオルを持って去っていく。

しばらくして、今度は小さな鍋と茶碗を持ってくる。

「お待たせ〜。こまるちゃん特性!卵とキノコのリゾット風お粥だぞ。」

鍋からお粥を茶碗へ移し、レンゲで掬って、フーフーとしてから口元に持ってくる。

「ほら、あーん。ん?そこまでしなくても自分で食べられる?ダメです〜。今は私の手からしか食べちゃダメなんです〜。今日はこまるちゃんがルールなので、病人は大人しく従ってください〜。」
「ほら、もう一度!あーん。」

1口食べる。
飲み込むのを見届けてから

「じゃ、次だよ。あーん。」

また1口食べる。

「あ、こんなとこにご飯粒つけちゃって。」

こまるはそう言って指でご飯粒を摘み、自分の口に運ぶ。

「うん、我ながらいい味してるぅ〜♪え?味見してないのかって?………てへ♪」

あざとく舌を出して笑う。

「それより、冷めちゃう前に食べれるだけ食べちゃってよ。ほら、あーん。」

そこから何度か食べさせてもらう。

「おー、鍋のお粥ほぼ完食したね〜。これならすぐ治りそうかな?あとは、暖かくして寝るだけだね。ほら横になって?」

そう言ってベットに寝かせてくれる。

「洗い物してくるから。 寝てもいいからね?」

またトタトタと足音をさせ、鍋と茶碗を持って離れていく。

ジャーっという水音と、カチャカチャという茶碗や鍋を洗う音、そしてこまるの鼻歌が聞こえる。

「♪〜〜♪〜♪〜〜~」

しばらくすると水音が止み、トタトタという足音が近づいてきた。

「寝たかな?あれ、まだ起きてたんだ。え?洗い物してる音を聞いてたって?キミも物好きだねぇ。ん?新婚みたいで嬉しかった?」
「(小声)…そっか」

「とにかく、病人は早く寝なさい。なに?寝られない?もー、どうしたら寝られそう?添い寝したら寝られる?しょうがないなぁ。」

こまるがモゾモゾとベッドに潜り込む。

「え?冗談?風邪うつるからやめろって?もう手遅れですー。それにキミの風邪ならうつってもいいよ。ほら、狭いからもっとそっちに寄ってよ。」

2人でモゾモゾと動く。

「こうやって一緒に寝るのも、しばらくぶりじゃない?」
「キミも忙しいし、私もクリエイターとして個人で事務所立ち上げて忙しくなったし。」
「でも、たまにはこうやって一緒に過ごす時間をもっと持ちたいなぁ〜。」
「善処しますって?よろしい、もっと励むように。こまるちゃんを放置しすぎると寂しくて死んじゃうので、もっとこまめに構ってね?あんまり放っておくと、親切なお姉様に奪われちゃうかもしれないよ?」

こまるが耳の辺りをサワサワと撫でてくる。耳元に近づいてきた。

「ふふ、そんな心配そうな顔しなくても大丈夫。こまるちゃんはキミの事が大好きだから、そんなことにはならないよ。」

そう言って顔を離した。

「じゃあ病人は寝てください。ほら、寝るまで背中トントンしてあげる。」

トン、トンとリズム良く背中を叩かれる。

「ふぁ〜、私まで眠くなってきたかも。」

背中を叩くリズムは一定のまま

「早く元気になってね?また、デートに行こ?」

トン、トンと背中を叩き続ける。

「次はどこに行こうかなぁ。水族館?遊園地?あ、見たい映画もあったなぁ〜。たくさん遊んで、たくさん思い出作ろうね?」

トン、トン、トン、トン、優しいリズムが刻まれる。

「…。」

こまるの吐息も聞こえる。
耳元に口を寄せてきた。

「もちろん、ベッドでも可愛がってね。ふふっ」

そう言ってイタズラっぽく笑う。

トン、トン、トン、トン、優しいリズムはどこまでも続く。

「…寝ちゃったかな?いつも、ありがとうね。たくさん愛してくれて、ちゃんと伝わってるぞ。」

こまるが優しい声音でそう呟く。

「私もキミが大好き。」

チュッとキスをされる。
どこにしたのかは、彼女のみが知っている。




【あとがき】
はい!こまるあふたーいかがでしたでしょうか?

今度も実験的に書き方を変えています。
今回はシチュエーションボイス風に仕上げてみました。

多分そのまま配信でも使えるんじゃないかって思うんだけど、どうでしょ?

こまるんっぽく書けてるといいんだけど、解釈違いがあったらごめんなさい(´;ω;`)

やっぱりこまるんは、ちょっと江戸い方向にイキやすい…。
それだけ色気というか、そういった魅力に溢れた人物なんだと思います。
もちろんそれだけじゃなくて、可愛らしかったり、多才だったり、ひたむきだったりと色んな魅力溢れる女性なので、まろん組のみんなが推すのも納得です。

今後もあおぎり高校のSSを投稿する予定なので、お目にかかって興味が湧いた方は、ぜひ本家の「あおぎり高校」や栗駒こまるさん含むメンバー達の配信や動画を見てみてください。
みんな素敵でなんならスタッフの校長先生まで推せる箱です。良かったら一緒に沼ってください。

それではまた次の作品で!

おつこまる〜

2022年11月21日
づにあ


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