阿部一二三さんの表情から読み取る物語
あんたも阿部詩さんと阿部一二三さんの挑戦する姿を見ていたかい?
オリンピックの話題ばっかりでなんだけれども、まああれだよ。
こんなタイミングは俺が生きているうちはもうないと思うしさ。
そのことは書き残しておきたいんだよ。
もちろん、ソフトボールが無敗のまま予選最終戦を迎えるとか、スケートボード競技・ストリートの初代金メダリストが堀米雄斗さんが勝ち取ったとか、話題には事欠かないわけれだけれど、俺としてはやっぱり柔道を取り上げたくなるわけだ。
いや、なんでよ?って言われると「ぐぅ」としか言えないんだけれどさ。
なんつーかさ。
阿部一二三さんが畳を降りるまで表情を崩さなかったことがスゲー印象的だったんだよ。
今回は阿部一二三さんの表情から色々と妄想してみる回だ。
まあ、いつもの俺の妄想に付き合ってくれよな。
阿部一二三さんの畳を降りるまでの表情
あんたもオリンピックでの阿部一二三さんの戦いの様子をTVで見ていたんなら思ったと思うんだ。
阿部一二三さんが金メダルを決めた瞬間。
つまり勝利した瞬間。
彼はほんの少ししか笑顔を浮かべなかったじゃんか。
これってどういう意味なんだろうって思わなかったか?
妹の阿部詩さんは金メダルをとった瞬間に感情が爆発していた。
ものすごく嬉しいって感情が俺たちにも伝わるくらいの笑顔を伝えてくれていたよな。
阿部詩さんの笑顔は本当に俺たちに「やった!」って思いを伝えてくれたと思うんだよ。
でも阿部一二三さんはその笑顔を浮かべはしなかった。
あったのは浮かべているかどうかわからないくらいのほんの少しの笑みだけ。
あんたはあの阿部詩さんの笑顔が阿部一二三さんになかったことが試合内容に納得言っていないことが理由だったと思うかい?
俺にはちょっと違うように見えたんんだ。
あれは今回の東京オリンピック2020という極めて特殊な状況で大会を開催した運営スタッフと、その思いに応えた多くの選手たちに対する敬意だったんじゃないかってさ。
阿部一二三さんが日本代表になる試合
思い起こすと阿部一二三さんが日本代表になった選考試合は丸山城志郎さんとの20分もの激闘の末に勝ち取ったことは記憶に新しい。
男子66kg級は唯一オリンピック代表選考が最終選考まで決定できなかった唯一の階級なんだそうだ。
天才の呼び声高い阿部一二三さんに大怪我からの復活を成し遂げた丸山城志郎さんが待ったをかけた形だ。
この二人はまさにライバルという言葉を体現するような関係性だったらしい。
選手たちへの敬意
この丸山城志郎さんという存在が、阿部一二三さんが金メダルを決めた試合直後の表情にあらわれていたんじゃないかって妄想するわけよ。
もちろん阿部詩さんの存在も含めてだけれどね。
つまり阿部一二三さんは偉大な柔道選手である妹の兄であるのと同時に、丸山城志郎さんという彼自身と同等の力を持つ偉大な選手の代わりを務めるという意識があったんじゃないかって思うわけだ。
金メダルを取ることを期待される重圧。
妹の期待に応える重圧。
ライバルの思いを背負う重圧。
そう言う数々の重圧に対して責務を全うした。
鬼滅の刃の煉獄杏寿郎が最期に母親に「俺はきちんと出。来ただろうか?」と問いかけている表情と試合直後の阿部一二三さんの表情が俺にはかぶって見えたんだよ。
静かに、力強く様々なものに報告と感謝を伝える表情にね。
あの柔道場の畳はそう言う神聖な場所だってことなのかもしれない。
だから、俺にはあの阿部一二三さんの表情がまるで祈っているようにも思えたんだよ。
あのほんの少しの笑み。
そして、まるで何かを見つめているような瞳。
そう考えるとさ、涙腺がゆるいオッサンとしてはすぐ泣いちゃうやつなんだと思うわけだ。
なあ、あんたはどう思う?
阿部一二三さんは「天才」としてこれからも君臨するんだろうか?
それとも「一人の選手」として責務を全うし続けるんだろうか?
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