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総額表示という罠

2021年4月から店舗での価格の表示が総額表示になるって話、あんたも聞いたことがあるかい?

今までだったら「1000円+税」とかの表示で良かったんだけれども、わかりにくいって話はあったんだよな。

でもさ?
これって本当に必要なんだっけ?ってのが俺の素直な感想なんだよね

なんでだって?
まあ、そう思うのが普通だよなぁ。

今回はこの総額表示の罠について考えてみる回だ。

ちっとこの消費税って仕組みの複雑さについて考えてみようぜ。

総額表示の意味

まずこの総額表示ってやつの意味を考えてみる。

消費者にとって総額表示ってのはメリットがあるんだろうか?

何?そりゃ、足し算だけで最終的な支払金額がわかるんだから良いだろうって?

そりゃ、おおよその金額って意味ではそうなんだけれどさ。
厳密な意味では、総額表示で表示されている金額の足し算では実際の支払金額にはならないってことをどれだけのヒトが認識できているんだろうか?

意味がわからないって?

じゃあ、具体的な例を書いてみよう。

例えば本体価格111円の商品と444円の商品があったとする。

各々の「総額表示」は消費税の端数切り上げで計算するとして123円と489円になるので、足し算すると612円になる。

ところが実際にレジにいって見ると、この2つの商品を購入するのに必要な金額は611円になる。

なんでかって言うと、レジではまず本体価格の合計を計算するからだ。
つまり111円+444円で555円って計算だ。
それに消費税10%を計算すると555円×110%=611円(切り上げ)って数字になるわけだ。

ここに軽減税率が絡むとさらにややこしい。

総額表示のガイドラインによれば、軽減税率での販売価格とイートインなどの通常税率での両方の総額表示をするか、テイクアウトの場合は価格が違うことを明示する必要が出てくる。

そもそも軽減税率を導入している時点で、消費者がきちんと計算して買い物をすることって不可能に近いんだよな。

それを総額表示にしたからって言って、消費者が買い物しやすくなる要素って皆無に近い気がするのは俺だけなんだろうか?

ニューノーマルな世界観での消費税

実際問題、緊急事態宣言の延長なんてものがなされている状況で、消費税の減税ってのは絶対に必要なことだと俺は思うんだよね。

でもこの総額表示によって、税率の変更に対する小売業者のコストってのがベラボーなものになることは想像に難くない。

何しろ、売り場の全ての価格表示をそのたびに切り替えていかなきゃならなくなるんだからな。

想像してみてくれよ。
スーパーのすべての棚に貼り付けてある価格表示を1日で全部切り替えないとならないんだぜ?

どんだけの体力勝負だって話だ。

更に言うなら、この総額表示のためにかなりの投資を小売店はすでに強いられている。

シンプルに価格表示のラベルを印刷するシステム、ネットショップでの表示、それら全てに政府が決めた総額表示のルールに従うための改修ってコストが必要になっている。

出版社に至っては、あの膨大な数の書籍のカバーに印字されている価格表示を切り替えることになる。
絵本みたいなカバーのないタイプの書籍は、商品そのものを破棄する必要が出てくるケースも有る。

そいつが消費税率変更のたびに必要になるわけだ。
冗談じゃない。そんなの消費税を減税させないための理屈づくりそのものじゃないか。

総額表示が消費者に対するメリットだって財務省は言っている。

でも、総額表示が厳密な意味で足し算だけで支払金額を計算できるわけじゃないのは最初にも触れたとおりで、その実態は消費税を減税させないための方便でしか無いとしたら……。

そんなことを俺たちは許してしまっているんだ。

システム屋をしているとつくづく思う。
この消費税って仕組みは本当に俺たちの消費を押さえつけるための仕組みだ。

計算も難しいし、何よりも消費するごとに罰金を払うようなもんだから、消費をすることが「悪いこと」みたいな感覚を俺たちに植え付けている。

その結果としてのデフレ。
さらにデフレなのにも関わらず消費税増税をする政治。

もう、こいつは悲劇を通り越した喜劇だ。

なあ、あんたはどう思う?

総額表示ってルールは誰のためのルールなんだと思う?


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