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水産事業者などへの緊急支援

あんたはALPS処理水海洋放出に対する中国の「日本水産物の全面禁輸」の方針を受けて政府が支援策を出してきたってニュース見たかい?

まあ、政府決定によってもたらされた売上減なんだから、補償は当然っちゃー当然だよな。

でも、200億円?あれ、ちょっと規模おかしくないか?

こんなデータがある。


水産物輸出量の推移 出典:下記水産庁の資料

これによれば、2021年の水産物輸出量の合計が3,015億円。
内、中国への輸出割合が19.6%で香港の22.1%も対象になるから

3,015億×(19.6%+22.1%) = 1,257億

じゃん。
それが吹っ飛ぶのに200億しか出さんの?
おかしくね?

どうやってこの200億って数字出したんだろう?

今回はこの政府の緊急支援策を眺めてみる回だ。

ちっと一歩踏み込んで考えてみようぜ。

200億の使われ方

最初にリンクを貼っておいた記事によれば政府が今回発表した支援内容はこんな感じだった。

▽中国への輸出の依存度が高いホタテなどを一時的に買い取って保管する事業や、
▽JETRO=日本貿易振興機構を通じたビジネスマッチングやネット通販などによる新たな輸出先の開拓、
それに
▽国内の加工施設への新しい機器の導入などへの支援を追加的に盛り込む方針です。

出典:上記ニュース

なんつーの?

めちゃくちゃツッコミどころが満載な方針だと思うのは俺だけか?

一個っつ見てくか。

一時的買い取り

まず、一時的買い取り対象品目を絞っているってのが気になる。

だって中国が禁輸するって言ってるのは日本からの水産物全部なんだろ?

他の水産物はどうすんだよ。

しかも「一時的」ってのはどういう意味なんだ?
政府が売るの?誰に?

新たな輸出先の開拓

おそらくはこの新たな輸出先ってやつに日本の商社を経由して売りつけるって発想なんだろうと思うけれど、日本の水産物輸出の4割を占める量を買い取る先なんてすぐさま見つかりっこない。

なんなら見つからないかもしれない。

ってか、それを見つけられるならもうやってるはずじゃん。

でもさっきの水産庁のグラフを見て分かる通り、日本全体の水産物輸出額ってのはほぼ横ばいなんだぜ?

普通に考えればデキッコナイスなんだよな。

じゃあまあ、1万歩譲ってだ。
その輸出先が見つかったとして、そこへのサプライチェーンを含めた輸出体制が整うことまで含めてどんだけ時間かかるのさ?

仮に3年かかるとする。

ざっくり1年あたり1,257億円の売上だから

1,257億円×3 = 3,771億円

の売上がすっ飛ぶわけだ。

ってか冷凍ホタテってそんなに保管しておけるもんなんだっけ?

……大体2~3ヶ月だと?

ってことは新たな輸出先なんてのを待っている余裕は全く無いじゃんか。

そうなると国内での消費を上げるのか?
いやいや、そんなん2~3ヶ月じゃどうにもならん。

じゃあ、一時的買い取りをした冷凍ホタテを無料で配布すんのか?
そんなんやったら、ホタテを扱っている小売業者が大打撃食らうわ。

なんかもう、一時的買い取りされたホタテって腐らせるしか方法がない気がしてきた。
なんつー命の無駄使いだ。

国内の加工施設への新しい機器の導入

そう考えていくとだ。

この加工施設への支援ってのに望みをかけているってことか?

要するに缶詰にしちまえばもうちっと時間稼げるべって?

なるほど。未開封なら3年はもつってか。

いやいやいや、賞味期限ギリの缶詰とか売れねえべよ。

しかも加工施設に新しい機器が導入されるまでに何ヶ月かかんのよ?
その間に冷凍ホタテは腐るっての。

仮に今の施設で全部の中国向け冷凍ホタテを缶詰に出来たとして、その缶詰を政府がまた買い取るの?

で売り先も確保できないままダメにしちゃうの?

こう考えていくとさ、中国の禁輸をやめてもらうためにWTOへ提訴するとかの方法しか無いような気がしてくるよな。
それでも年単位の時間がかかっちゃう気がするから、水産業の各セクタ(漁業~卸~小売まで)の所得保障でなんとかしのいでもらってって感じか。

当然、今回のことでチャイナリスクってのが明白になったから新たな輸出先ってのを探すことは並行して行うとして、1,257億円が吹っ飛び続けてちゃあ日本の水産業がもたん。
仮に所得保障をしたとしても、技術が失われちまう。

なあ、あんたはどう思う?

日本の水産業をどうすれば生き延びさせることが出来ると思う?

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