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納得出来る仕事と納得出来るまでやる仕事

下町ロケットってあんたは読んだことあるかい?

俺は電子書籍にオーディオブックとこの作品に何度となく触れているんだが、やっぱりいいもんだよな。

オーディオブックは手軽に作品に触れ直すことが出来るのがいい。

今回は、そんな下町ロケットを味わい直して、あらためて真野という人物について考えてみる回だ。

なんで真野なんだってあんたは思うかもしれないが、ちっと付き合ってくれよな。

佃製作所という場

この下町ロケットというシリーズで一貫しているものは、佃製作所という場が持つ力だと思うんだ。

佃製作所にはじめて帝国重工の財前が訪れた時に、それまでにいかにして佃製作所の申し入れを断ろうかと必死に考えていた財前の考えを一変させてしまったものがあった。

社員の表情だ。

みんながいきいきと仕事をしている。

設備の充実度よりも、出来上がった製品よりも、その社員の表情が財前の佃製作所の印象を一変させた。

それほど、人がいきいきと働く姿というのは、信頼を生むというわけだ。

このいきいきと仕事をする社員はどのようにして生まれるのだろう?

超一流経営雑誌プレジデントではこんな記事をウェブに掲載している。

なるほど。あえて年功序列で長期雇用をすることでモチベーションを上げているという評価だな。

ここでもう一歩考えを進めてみたい。

なんで長期雇用にしているのか?
それは技術というものが最終的には個人に紐づくということを社長の佃が肌で感じているからなんだろう。

そして、その技術を育てていくもの。それが「納得行くまでやる仕事」だ。

真野から奪われたもの

そんな佃製作所の社員は、ほぼ例外なく佃製作所という会社に愛着をもっている。
中にはどうしても佃製作所に馴染めなかったやつもいるけどね。

佃製作所に愛着を持っているという事実は佃製作所を裏切ってしまった真野についても例外ではない。

むしろ、真野が裏切った理由は佃製作所に対する愛着そのものなんだから。

下町ロケットの続編で社長の佃は日頃から社員に「納得できない仕事はするな」といい含めているというシーンが有る。

納得出来ない仕事はせずに、一度やった仕事は納得するまでやれ。
それが佃製作所で社員に求められていることだ。

真野はなぜ裏切ったのか?

それは納得できない仕事だと自分に与えられた仕事を感じてしまったからにほかならない。

真野は技術開発部で働いていた。つまりは技術屋だ。
そして、開発していたのは小型エンジン。佃製作所の主力製品だった。

佃製作所が裁判で訴えられて危機に瀕するまで、真野は自分の仕事に誇りを持っていたと思う。

会社の主力製品を開発し、佃製作所の屋台骨を支えている自負ってやつがあったんだと思う。
ところが、佃製作所が裁判で窮地を脱し、知財ビジネスというおよそものづくりとはかけ離れたところで、自分たちの日々の仕事が生み出す何倍もの価値が転がり込んでくると知った時、真野は自分の仕事に対する「納得」を失ってしまったんだろう。

もう一度、考える。
真野はなぜ裏切ったのか?

真野は外部環境の変化によって自分の仕事に対する納得を奪われてしまったんだ。

納得行く仕事

この納得行く仕事をあんたがやれているとすると、それはとてつもなく幸福なことだと俺は思う。

それはある意味、あんたの命をあんたが納得して使っているって状態なんだからな。

逆に納得行かない仕事に携わっているとすると、それは不幸なことなんだろうか?
多分、それが普通なんであって特別不幸なことではない。

それでも納得というキーワードが俺たちにとって幸せにつながるものだってことは、下町ロケットという作品の真野というキャラクターが俺たちに伝えてくれたことだ。
そうは思わないかい?

仕事に納得するためには、仕事が成し遂げるものという「物語」が必要だ。

システム屋の俺なら俺が作るシステムが誰かの笑顔を作り出す物語だ。

その物語を俺たちのものに出来た時、俺たちは仕事に納得出来る。

やっぱり俺たちヒトにとっては物語が幸せへの道標なんだろうな。

あんたはどうだい?

あんたを納得させる物語、手に出来そうかい?


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