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今という時代・村という仕組み

あんたも郷に入っては郷に従えなんて言葉を意識したりするかい?

流行り病の分類が変わってしばらく経つけれど、それに伴って国外からの観光客が増えているって話をよく聞くよな。

観光に来てもらって、そこで日本を楽しんでもらうメリットってのはでかい。
当たり前だけれども、普通に観光先の経済が刺激されて景気に良い影響を与えるってのはあると思うしね。

それと同時に、郷に入っては郷に従えと言う言葉が示す通り、古来から日本と言う土壌には「よそ者」と言う概念が根付いているってのもあるんだよな。

直接的な意味としては、その地域ごとの暗黙のルールみたいなものがあって、それには従っときなさいよって言葉なわけだけれども、郷に入っては郷に従えという言葉の背景には日本という土壌が抱えている村社会的な気質ってのもある気がするんだよな。

今回は今という時代と村社会と言う気質について考えてみる回だ。

ちっと俺たちの意識の外にある感覚に目を向けてみようぜ。


村社会が出来上がる背景

まずはこの村社会って仕組みがなんで日本で受け入れられたのかってことからだよな。

この村って存在は自然発生的に地域の集団として生まれた自然村と中央集権での仕組みとして統廃合された村である行政村って区分けされることがあるらしい。

そのいずれもが、地域の共同体としての実態を持っているわけだけれども、日本という場所は農業を中心に構成されていたから、この共同体ってのは必然的に求められていたってことなんだろうな。

なんつっても農業って大変だから協力しあっていかないとまともに暮らすこともままならないからね。

さらに日本の場合は地震雷火事おやじってなもんで、自然災害がめちゃくちゃ多く起きる土地柄ってのもあったから、いよいよ協力していかないと文字通り命に関わることになってたわけだ。

で、ヒトと言う生き物が協力し合うためには、なんらかの物語が必要になる。

それがお寺と言う宗教だったり、庄屋さんという知識人の存在だったりしたわけだ。

で、その物語に実効的な力を伴わせたもの。
それが村社会と言うシステムだったってことなんだろうな。

排外的である必要性

で、江戸時代以前くらいの交通事情とかを考えると、ヒトモノカネの移動ってのは今とは比べ物にならないくらいに小規模だったと思う。

実際、徳川家康が天下統一を実現して、それに伴って貨幣の単位を整備するまでは日本全国で共通の貨幣って概念そのものが無かったんだもんよ。

そりゃあ村同士の交流も少なくなるってもんだよな。

っていうか、多分交流する必要性もそれほど高くなかったんだろうな。
食料にしても、自給自足で村で閉じた生活をしていた部分も大きいと思うし。

逆に、村の外からヒトが流れてくることは「暗黙のルール」を承知していないヒトの存在を受け入れることになるから、秩序維持って意味だとその当時としては排外的でないことの方がリスクが高かったってことなのかもしれない。

現代における「村」

で、時代は経過し、今じゃ村どころか国すらもまたいだヒトモノカネの移動ってのが普通に行われる状況になってきている。

例の流行り病の大流行でヒトモノカネの移動ってのが著しく制限されたけれど、皮肉にもその制限での経済活動のあり方が見直された部分があって、それまでとは比べ物にならないくらいに「違う文化」のヒトと生活圏をともにすることが増えたってのが俺の実感なんだよね。

普通に国外のヒトに仕事をしてもらった結果をネットで受け取って、その成果をネットで売りさばく。

そんなことが普通に起きているわけだ。

村が抱えていたヒトモノカネの流通を妨げる物理的な制約ってのはかなり取り除かれていると思う。

これは良いことばかりとも言えなくて、今までは俺たちを守ってくれていた「村」のルールってのが有名無実化されているってことなんだよな。

それで、全くのルール無視ってわけにも行かないから、なんとなく共通意識がどこまで取れているのかってのの探り合いみたいなことが起きるわけだ。

大抵は直接やり取りするヒトの間での「普通」の押し付け合いみたいなものが起きるって感じ。
あんたも経験したことが無いかい?

仕事みたいな明確な利害関係が数値化された状況なら、落とし所もつけられるってのがあるかもだけれど、いわゆるSNSのコミュニティともなると、そのルールの醸成をするには、あまりにもヒトとの関わり方の実態が今までと勝手が違うので、いじめみたいな受け取り方をされるコミュニケーションになってしまうこともある気がするんだよな。

郷に入っては郷に従え。

そもそもその郷ってのの実態を俺たちは掴みかねているってわけだ。

なあ、あんたはどう思う?

俺たちはどうやれば今の時代にあった「村」を手に入れる事ができるんだろう?

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