ダッフィーストーリー 第2話

この物語はぼくの解釈を入れた二次創作です。
小説初心者なのでお見苦しい部分があると思うのでご注意をm(_ _)m

第2話「わたしはシェリーメイ」

朝の日差し。
暖かくてポカポカするお日様の光が部屋を明るく照らす。

シェリーメイ「ん…」

光に照らされて、夢の世界から目を覚ます。

シェリーメイ「ん〜…」

未だ眠気を感じつつもゆっくりとベッドから起き上がる。

シェリーメイ「…ふわぁ〜」

わたしの名前はシェリーメイ。この小さく欠伸をする熊ちゃんがわたしよ。
本物の熊じゃないの。テディベアなの。

ダッフィー「す〜…」

わたしの隣に寝ているのはダッフィー。私と同じテディベアなのよ。

シェリーメイ「ダッフィーおきて、もうあさだよ。」

ダッフィー「う…」

ダッフィー(…あと5分ねかせて…)

シェリーメイ「だめだよ。ミッキーはもうおきてるんだよ。」

ダッフィー「まだねむいよ…」

シェリーメイ「もう…」

ミッキー「あれれ、ダッフィーってば、まだ寝ているのかい?」

開いていた扉からミッキーが現れる。

シェリーメイ「ダッフィーがまだおきないの。」

ダッフィー「ん〜…」

ミッキー「ハハッ、かわいいお寝坊さんだね。」

この人はミッキー、私とダッフィーの大切な友達なの。いつもダッフィーと船で旅をしていて、今回は私もついて行ってるの。

ミッキー「悪いお寝坊さんには罰が必要だね…」

シェリーメイ「え?」

そう言うとミッキーはこっそり布団に手をかける

シェリーメイ「ちょっと?ミッキー…?」

ミッキー「そぉーれ!!」

シェリーメイ「きゃー!!!」

ダッフィー「うわあー!!!」

ミッキーは私とダッフィーごと布団を勢いよく翻す。

シェリーメイ「きゃ!」

ダッフィー「ぐえ!」

布団から剥がされたダッフィーは慌てふためく。


ダッフィー「え?え!?あれ?おおきなマシュマロは!?」

ミッキー「おはようダッフィー!おいしい夢を見てたみたいだね!」

ダッフィー「あ…あれ?ミッキー?」

ダッフィーはまだ寝ぼけてる。

ダッフィー「ぼくのマシュマロどこ?」

シェリーメイ「もう…」

さすがに呆れてきゃう。



ミッキー「いただきまーす!」

シェリーメイ「いただきます!」

ダッフィー「いただきまーす!!」

わたしたちはホテルの1階にあるレストランで朝ごはんを食べる。

ダッフィー「ねぇミッキー?そのお弁当箱って…」

ミッキー「ああ、これかい?これはミニーが作ってくれた…」



ミニー「ミッキー。これはあなたへ贈る「愛!」のお弁当よ!今度の旅、気をつけて行ってきてね…」

ミッキー「心配いらないよミニー、君の作ってくれた「愛!!!」のお弁当があれば…」

ミッキー「どんなに危険な旅でも必ず帰ってくるさー!」

ドカーン!!

後ろで爆発音みたいなのが鳴り響く

ミッキー「くるさ…くるさ…」

ダッフィー「😶」

シェリーメイ「😶」

呆れて無表情になる。

ダッフィー「またいつものがはじまったね…」

シェリーメイ「うん…」

こうなるともうミッキーは止まらない。
好きになってしまった相手のことを思うのはいいけど、ちょっとは巻き込まれる側のことも考えて欲しい…

というかそもそもここって食べ物の持ち込みってOKだったっけ?

ダッフィー「…ねぇ。」

そんなミッキーをよそに、ダッフィーは小さな声で私に話しかけてくる。

シェリーメイ「…なに?」

私が同じく小さな声で返すと、ダッフィーは曇り顔で話し始める。

ダッフィー「…きのうのことなんだけど…」

シェリーメイ「きのうの…?あっ」

昨日の夕方、とても大変な目にあったことを思い出す。



デーモン「ニクイィィィ!!!」

ダッフィー「うわあああ!」

シェリーメイ「ダッフィー!!」

メディテレーニアンの裏路地で紫色の結晶を身にまとった怪物と出会ってしまったわたしたち

ピカー!!

ダッフィー「やぁーー!!」

ズバァ!!

ダッフィーがデーモンを真っ二つにして倒し、事なきことを得た。



シェリーメイ「ミッキーにはいったの?」

ダッフィー「ううん、いわなかった。シェリーは?」

シェリーメイ「…いわなかった。」



あのあと、ジェラトーニとこれからのことについて話し合って…

ジェラトーニ「…2人とも、この後どうするつもりなの?ぼくの家に来るかい?」

ダッフィー「…ぼくはミッキーのところへもどるよ。」

シェリーメイ「わたしも…」

ジェラトーニ「そうだよね。2人ともそれどころじゃない感じもするし。」

そんな話をよそに、もう太陽は沈み、辺りは暗くなっていた。



ダッフィー「いったほうがいいのかな…?」

怪物に遭遇した事とダッフィーの力。本当は言った方がいいんだろうけど。

ミッキー「どうしたんだい2人とも?顔が暗いよ?」

そう思ってるうちにミッキーがこちらの顔を覗いてくる。

シェリーメイ「ううん。なんでもな…」

ダッフィー「あのね!ミッキー!」

決心が着いたのか、遮るようにダッフィーが口を開く。

電話だよアッヒャ!電話だよアッヒャ!電話だよアッヒャ!

しかしその決心は妙な電話の音によって濁される。

ダッフィー「!?」

シェリーメイ「え!?なに?」

ミッキー「あっ電話だ。ちょっとまっててね。」

ダッフィー「あ…」

ミッキーが席を外す。
その後ろ姿を見る度にだんだんと虚しい気持ちになっている。

ダッフィー(どうしよう…)

シェリーメイ「…」

ダッフィー(ミッキーにいわなきゃ…でもいったらミッキーが…)



ジェラトーニ「いいかい2人とも、このことはぼくたちだけの秘密にするんだ。」

ダッフィー「なんで?」

ジェラトーニ「もしモンスターに会ったなんてミッキーが知ったら、すごく心配されるでしょ。」

シェリーメイ「それはそうだよ。」

ジェラトーニ「そうなったら、もう二度と旅に連れて行ってくれないかもしれないよ。」

ジェラトーニは顔をしかめながら言う

ダッフィー「え!?なんで?どうして!?」

ジェラトーニ「だって、今世界では怪物騒ぎが多いから、ミッキーが危ないから旅には連れて行けないって言うかもしれないだろ?」

ダッフィー「でも…ミッキーはそんなこと言うかな…?」

ジェラトーニ「…思うんだけどミッキーってさ、結構自己犠牲なタイプなんだよね。」

ダッフィー「じこぎせーってなに?」

ジェラトーニ「簡単に言うと自分が代わりに酷い目にあうってこと。」

ダッフィー「ということは…きょうのことをいったら…」

ジェラトーニ「ミッキー1人だけでずっと危険な旅に行くことになるかもしれないね。」

シェリーメイ「でもこのまえ、ミッキーがひとりでたびをするときがあったよね?」

ダッフィー「あ、おかえりなさいのかい!あのときはたのしかったな〜。」

シェリーメイ「そのときはミッキーはぶじにかえってきてたよね?」

ジェラトーニ「でも今は怪物が現れてるわけだし、もしかしたら今度は怪物におそわれて帰って来なくなるかもしれないよ…?」

ダッフィー「!そんなのいやだ…」

シェリーメイ「それはちょっとかんがえすぎじゃないの?」

ジェラトーニ「でもそうだとは限らないじゃん!…とにかく、今回のことはヒミツにしておいた方がいいかもしれないね。」

ダッフィー「…」



ミッキーが1人だけで旅をする。それはダッフィーにとってとても辛いことなの。
前にいってらっしゃいの会を開く前、ダッフィーも一緒に行きたがってたし、旅に出たあとはずっと元気がなくて、最後には泣きわめいたこともあった。

ダッフィー(どうしたらいいんだろう…)

だから、帰ってきた時にはとても喜んでいたし、ずっとミッキーに抱きついていたから…ミッキーには1人になってほしくないって気持ちがとても強いの。

私もそう。1人のときはとても寂しい気持ちになって、友だちといられることが私にとっての1番の幸せなのだから、胸がぎゅっと締め付けられてしまう。

だからわたしはダッフィーの気持ちがよく分かるの。いつまでもずっと、たいせつな友だちと居たいから…

ミッキー「ごめんごめん。おまたせ2人とも!」

ミッキー「さっきね、グーフィーから電話があったんだけど、今日はみんなで一緒にお祭りに行かないかって電話があったんだ!」

ダッフィー「そ…そうなんだ。」

ミッキー「…2人ともさっきから表情が暗いよ?具合でも悪いかい?」

ミッキー(2人がこんな顔をするなんて…なにか嫌なことがあったに違いない。)

シェリーメイ「ミッキー…あのね…」

ダッフィー「はなしたいことがあるんだけど…」

ミッキー「…その話はもしかして、僕には言いにくいことかい?」

ダッフィー「…いいにくい…のは…そうだけど…」

シェリーメイ「いってしまったら、…わるいことがおこりそうで…」

ミッキー(悪いこと…?)

ミッキーはしばらく黙った後、口を開く

ミッキー「わかった。そんなにいいにくいことなら、無理して言わなくてもいいよ。」

ダッフィー「え?」

シェリーメイ「え?」

ミッキー「誰にだって、言えないことやヒミツにしたいことはあるからね。そんなことを無理してでも誰かに言うのは違うから。」

シェリーメイ「でも…ともだちだったらかくしごとはしないほうがいいんでしょ…?」

ミッキー「そんなことはないよ。むしろ、隠し事は絶対ナシなんて友だち、そんな人はどこにいるんだい?」

ミッキー「話したくなったら話してもいいし、その逆でもいい。それを強制させるなんて、少なくともぼくは友だちとは思えないよ。」

シェリーメイ「ヒミツのままにしてもいいの…?」

ミッキー「いいよ。どんなヒミツなのかは分からないけど、喋ってくれなんて言わないから、安心して。」

ミッキーのその一言だけで、なんだか心が救われたような気がした。
今まで締め付けられていたわたしたちの心の紐が緩むように。

ダッフィー「…でも、このことはいつかいわなきゃとおもっているんだ。だからいつかぜったいにはなすから!」

ミッキー「わかったよ。じゃあそれまで待ってるからね。」

ダッフィー「うん!ありがとうミッキー!」

シェリーメイ「ありがとう!」

ミッキー(よかった。2人とも元気になってくれて。)

ずっと、どうしようか悩んでいたわたしたちにとって初めてのヒミツ。
誰かに話す訳にはいかない。でも話さなきゃという使命感。
でもそんな友だちはどこにも居ない。本当の友だちじゃない。言いたくなかったら言わなくてもいい。
いつか話すまでは、わたしたちだけのヒミツにしよう。そんなことだけで絶縁することはない。
それを知ったわたしたちの心を締めていた紐は完全に解けた。

ミッキー「それじゃあ2人とも、ご飯を食べてさっそくお祭りに行こう!」

ダッフィー「おー!」

シェリーメイ「おー!」

わたしたちはすっかり覚めきっちゃったご飯を食べて、わたしたちの部屋で出掛ける準備をする。

シェリーメイ「…ねぇダッフィー。」

ダッフィー「どうしたの?」

シェリーメイ「じつはね…ダッフィーにはいってないことがあるの。」

ダッフィー「それって、シェリーメイのヒミツのはなし?」

シェリーメイ「うん。ずっとかくしてたけど、いまならいえるとおもってたの…」

ダッフィー「そうなんだ!それじゃあ、やっといえるようになったってこと?」

シェリーメイ「うん。あのね、みみをかしてほしいの。」

ダッフィー「いいよ。」

今だから言える、わたしのヒミツ。そして、わたしの力。
わたしはダッフィーに、自分のヒミツを小さな声で打ち明けた。

ダッフィー「え!?うそ!!」

シェリーメイ「…いままでだまっててごめんね…」

ダッフィー「あやまるひつようなんてないよ!むしろすごいよ!だって…!」

ミッキー「2人ともー!準備出来たかーい?」

ダッフィー「あ!ちょっとまってー!」

わたしは、わたしのヒミツをダッフィーに打ち明けた。
最初は少し怖かったけど、すごいって言ってくれた…
もしかしたら、気をつかって言ってくれてるのかもしれない。
でも、それでも…

ダッフィー「あれ?どうしたの?なみだでてるよ?」

シェリーメイ「ううん、なんでもない。」

いつの間にか、わたしの目から涙がこぼれていた。
それを拭って、わたしはミッキーのところへ行く。

ダッフィー「あ、まってよシェリー!!」

シェリーメイ「うふふ。おいてっちゃうよ〜」

玄関にはミッキーと、もうひとつわたしたちと同じくらいの影があった。

ミッキー「すっかり元気になったみたいだね!お友達も待ってたみたいだよ!」

ジェラトーニ「Ciao!2人とも待ってたよ!」

シェリーメイ「ジェラトーニ!どうしてここにいるの?」

ジェラトーニ「外で絵を描いてたらミッキーの姿が見えたから、ぼくも着いていくことにしたんだ!」

ダッフィー「そうなんだ!」

ジェラトーニは絵を描くのが大好きで、たまたまわたしたちのホテル近くで絵を描いていたみたい

ダッフィー「ねぇジェラトーニ、ぼくたちこれからまちのおまつりにいくんだけど、いっしょにどう?」

ジェラトーニ「ザンナ・デギリ・インフェリのこと?それならぼくも参加するからいっしょに行こうよ!」

ダッフィー「そうなんだ!」

わたしたちはホテルでチェックアウトして、ザンナ・デギリ・インフェリの会場へ向かう

シェリーメイ「ねぇ、「ざなてきりいひり」ってどういうおまつりなの?」

ジェラトーニ「ザンナ・デギリ・インフェリね。トポチームとガトチームのふたつのチームに別れて、鬼ごっこをするんだよ。」

ダッフィー「おにごっこ?たのしそう!」

シェリーメイ「なんかへんななまえ…」

ジェラトーニ「ガトチームはトポチームを全員捕まえて、トポチームはガトチームから逃げ切れば勝ちなんだけど…」

ジェラトーニ「より多くのヒトを捕まえたら、100万リラ貰えるんだよ!!!」

ダッフィー「えー!すごーい!!」

シェリーメイ「…リラってなに?」

ミッキー「ぼくたちの住んでるところだと、だいたい560ドルだね。」

ダッフィー「…た…たかい…」

シェリーメイ「ゆうしょうすればおかねもちになれるね!」

…100万という数字だけで、子供にとっては大きすぎる数字、イタリアの人にとっては大きな数字なのは間違いない。

そうしているうちに、大きな広場にやってきた。

ダッフィー「うわ〜!おいしそうなにおいがする〜!」

シェリーメイ「ひとがいっぱいで、すごくにぎわってるね!」

ミッキー「あ、いたいた!おーい!」

ミッキーが手を振る先にはドナルドとグーフィーがいた。

ミッキーはその2人をみて駆け足で向かう

ダッフィー「あ、ミッキーまって!」

シェリーメイ「うわぁ!」

人混みが増えてミッキーの姿が瞬く間に消えていく。

ダッフィー「どうしよう…はぐれちゃった…」

シェリーメイ「ねぇ、けーたいでよんでみたら?」

ダッフィー「そうだ!そのてがあったね!」

子供用の携帯電話を取り出して、ミッキーに電話をかけてみても繋がらない。

シェリーメイ「ミッキー、わたしたちがでんわかけてるの、きづいてないのかな…」

「ガトチーム参加者の人はこちらでーす!」

ジェラトーニ「あ、ごめん2人とも。そろそろ始まるからまた後でね!」

シェリーメイ「えー!?ジェラトーニまで!?」

気づいたらダッフィーとわたしだけになってしまった。

ダッフィー「どうしよう…ミッキーとははぐれちゃったし、ジェラトーニもどこかへいっちゃうし…」

シェリーメイ「もういっかいでんわを…う!?」

ダッフィー「?シェリー?」

突然、頭痛に襲われる。
そして次の瞬間、辺りは炎に包まれる。

シェリーメイ「え!?」

炎の中には黄色く光る怪物の姿。その隣にダッフィーとジェラトーニの姿も見える。

ドサッ…

しかしダッフィーとジェラトーニは倒れてしまう。

ウオオオオオ!!!

怪物は雄叫びを上げる。そして建物が崩れ始め、なだれ込むように広場に瓦礫が落ちる。

シェリーメイ「あ…ああ…」

あまりに突然すぎるこの出来事に着いていけず、ただ私は狼狽えるしかなかった。

シェリーメイ「ああ…」

…リー!シェリーメイ!?

シェリーメイ「え?」

ダッフィー「シェリーメイ!だいじょうぶ!?」

シェリーメイ「…ダッフィー?」

ダッフィー「だいじょうぶ?さっきからボーッとしてたけど」

シェリーメイ「…いまのは…なに…?」

ダッフィー「え?」

それは一瞬の出来事だった。突然の火災、黄色の怪物、被害者…今見ているのが現実ならさっき私が見ていたのは…?

ダッフィー「とりあえず、どこかでやすもうよ。」

シェリーメイ「…うん」

私たちはベンチを探すことにした…のだけど…

スタッフ「ちょっと君たち、トポチームの参加者でしょ?だったらゼッケンと帽子を付けないと参加できないよ?」

いきなりスタッフの人が話しかけてくる。

シェリーメイ「え?わたしたちは…」

スタッフ「ほらほら、向こうで配布してるから貰ってきてね。」

スタッフはそういうとわたしたちを半ば無理やり受付に連れていかれる。

シェリーメイ「うわわ!」

スタッフに押されていると、受付が見えてきた

スタッフ「トポチーム参加者はこちらでコスチュームを受け取って下さーい!!」

ダッフィー「ぼくたちはー!」

シェリーメイ「ちがうのー!」

結局ユニフォームを着せられた。

スタッフ「トポチームの人達はこちらからのスタートになりまーす!」

ダッフィー「あれ?シェリーのふく、いとがほつれてる。」

よく見るとわたしの服は結構ボロボロだった。

シェリーメイ「ほんとだ。やぶれちゃいそう…さおさいほうばこがあったらなおせるのに。」

わたしはそう言うとお裁縫箱のことを考える。
するとその瞬間、わたしの左手が重くなる。

ダッフィー「おさいほうばこなら、てにもってるじゃん。」

シェリーメイ「え?」

わたしは左手の方に目をやると何故か裁縫箱を持っていた

シェリーメイ「え!?なんで?どうしてさいほうばこがあるの!?」

わたしの左手には何故か裁縫箱が握られていた。

ダッフィー「もってきたんじゃないの?」

シェリーメイ「もってきてないよ!いらないとおもってホテルにおいてきたし…なんで?」

でもこれで破れた服を直すことが出来る。

シェリーメイ「でもこれでふくもなおせるからラッキー🍀」

わたしはそう言うと早速裁縫箱から道具を取り出した
外れかけてたユニフォームとゼッケンの間をを縫い直し、切れ目も残さずに縫い上げる。

シェリーメイ「はい!これでかんせい!」

ダッフィー「え!?もうなおしたの!?」

シェリーメイ「いつもミニーにきたえられてるからね!」

とはいえ、20秒もかからないうちに直してしまうわたしの手にほんの少しだけ恐怖を感じた。

犬の女の子「うわぁ!服が破れちゃった!」

すると少し離れた方で悲鳴が怒る。

スタッフ「まもなくザンナ・デギリ・インフェリがはじまりまーす!」

犬の女の子(どうしよう…もう始まっちゃうよ…)

シェリーメイ「…こしのあたりがやぶれてる…」

ダッフィー「こしってなにが?」

わたしは目を凝らしてその女の子を見ると、鮮明にユニフォームの破れた所を発見する。

シェリーメイ「ねぇ、そのふく、わたしがなおしてあげるよ!」

ダッフィー「シェリーまってよ。」

わたしは犬の女の子に声をかけた。ダッフィーも遅れてやってくる。

犬の女の子「え?でも…」

シェリーメイ「だいじょうぶ!わたしにまかせて!」

わたしはそう言うと女の子の来ていたユニフォームを手に取って、即座に縫い合わせる。

シェリーメイ「はい!できたよ!」

ダッフィー「さっきよりもはやい!?」

シェリーメイ「こしのぶぶんだったからはやくなおせたよ。」

犬の女の子「ありがとう!…えっと…」

シェリーメイ「わたしはシェリーメイよ!」

犬の女の子「ありがとう!シェリーメイちゃん!」

ダッフィー「ぼくはダッフィー!」

スタッフ「トポチームの人たちはこちらへ集まってくださーい!」

スタッフが参加者を移動させる。そろそろ鬼ごっこが始まる。

犬の女の子「一緒に頑張ろうね!」

シェリーメイ「うん!がんばりましょ!」

ダッフィー「あ…シェリー!」

ダッフィーはなにかに気づいてわたしに声をかける。
するとわたしの目の前に、昨日見た光る星が落ちてくる。

シェリーメイ「わぁ…これって…!」

犬の女の子「それ、なぁに?」

ダッフィー「きらきらぼしだ!」

ゆっくりと落ちてくるきらきらぼしを両手で優しく受け止めると、ブローチの形に変わった。

シェリーメイ「きれい…でも、ダッフィーのとはいろがちがうわ。」

ダッフィー「ほんとうだね。」

ダッフィーは昨日手に入れたきらきらぼしのブローチを取り出す。ダッフィーのは青色で、わたしのはピンク色だった。

ダッフィー「もしかして、だれかをしあわせにすると、きらきらぼしがふってくるのかな?」

シェリーメイ「きっとそうだよ!」

昨日はおじいさんを助けて、今日は女の子を助けたら、きらきらぼしが空から降ってきた。

シェリーメイ「きっとこれって、かみさまからのおくりものなのね!」

ダッフィー「それをたくさんあつめれば、ねがいがかなったりして!」

この星はどういうものなのか考えを巡らせていると…

デンサブロウ「ほぉ〜珍しい。まさかこの時代でも見れるとは。」

突然太ったタヌキの男が喋りかけてくる。

シェリーメイ「あなたはだぁれ?」

デンサブロウ「おっと、これは失礼したのう。ワシはデンサブロウ。こう見えて博士なんじゃよ。」

デンサブロウと名乗ったタヌキのおじさんは大きなお腹をしていてすこし胡散臭い感じがする…

ダッフィー「おじさんはこのきらきらぼしのことをしってるの?」

デンサブロウ「おモチのロンじゃ。その星は人を幸せにしたり、喜ばせたりすると産まれるお星さまなんじゃ。」

ダッフィー「へぇ〜。」

デンサブロウ「じゃが、最近はめっきり観なくなってしまってのぉ…その星をみるのは実に数年ぶりじゃわい…」

そう言うとデンサブロウは少し寂しげな顔をする。

デンサブロウ「その星をたくさん集めるんじゃぞ。そうすれば願いを1つ、叶えることができるんじゃ。」

シェリーメイ「ほんと!?」

ダッフィー「ほんとに!?」

わたしたちが息を合わせるように言うと、デンサブロウはゆっくり首を縦に揺らす。

ダッフィー「どんなおねがいごとにしようかな〜…」

ダッフィーはじっくりと願い事を考える。

(…なんだあいつは!?)

(…早く逃げろ!!)

その時、頭の中に悲鳴が流れ込む。

シェリーメイ「え?」

デンサブロウ「なんじゃ?騒がしいのぅ?」

ダッフィー「うーん…」

(…ねぇ、こっちに来るよ!)

雑音と共に流れてくる大きくて危うい気配。

シェリーメイ「なにか…くる!?」

わたしはそれを感じ取り、ダッフィーに声をかける。

ダッフィー「あ、そうだ!」

シェリーメイ「ダッフィー!ここから…」

ダッフィー「ど〜んっとおっきいおかしがたべたーい!」

ドーンッ!!!

その瞬間、辺りに爆発音が鳴り響く。

シェリーメイ「きゃ!」

デンサブロウ「な…なんじゃ!?」

ダッフィー「?なに?」

ドスン…ドスン…

爆発の中心、炎の中から人が…何かがこっちへ向かってくる。

ドスン…ドスン…

シェリーメイ「あれって…もしかして…!?」

現れたのは、金色に光る模様をした…怪物。

オレガイチバンダァァァ!!!

デンサブロウ「あの模様…まさか、すでにシステムが起動していたのか!?」

オレガ…

イチバンダァァァ!!!!

ズンズンズン!
人型の怪物がこっちに向かって走ってくる!

ダッフィー「うわぁぁ!!」

シェリーメイ「きゃぁぁ!!」

ボオオオオ!!!

デンサブロウ「ぐお!?炎が!?」

間一髪避けたけど、わたしたちとデンサブロウさんとの間に炎の柱が立つ。

鬼神「ゔゔ…?」

シェリーメイ「どうして…?あのかいぶつも…」

感じる…昨日の怪物と同じ、悲しみと怒りの感情があの怪物に取り付いている…

ダッフィー「シェリーメイ!こっち!」

シェリーメイ「あ!」

ダッフィーがわたしの手を取って逃げる。

ダッフィー「ぼうさえあれば…きのうみたいに!」

ダッフィーは必死に木の棒を探す。
しかし、どれも砕かれていて、棒のようなものが見当たらない。

鬼神「イチバンダァァァ!!」

怪物がこっちに来る!

シェリーメイ「い…いやぁ!!!」

ブォンッ!!!

わたしはたまらず手のひらを怪物の方に向ける。

ドォン!

鬼神「イチ…バン…!?」

シェリーメイ「え!?」

突進してきた怪物は何も無いところにぶつかる。
…よく見ると、紫色の透明な壁が怪物を塞いでいた

シェリーメイ「たすかった…?」

ダッフィー「これ…シェリーメイのちから…!?」

鬼神「イチ…バン!!!」

ドォン!

シェリーメイ「うう!」

パキッ…

怪物が拳をバリアに叩きつけると、亀裂が徐々に入り込む。

シェリーメイ「きゃあ!!」

ダッフィー「シェリーメイ!!」

ダッフィーはわたしを守るように抱きしめる。

鬼神「イチバンンン!!」

ドスン!!

シェリーメイ「ダッフィー!にげて!」

だめ…

ダッフィー「そんなことできないよ!」

ドスン!!

パキッ…!

バリアのヒビが大きくなっていく

ダッフィーだけでも…にげて…!

シェリーメイ「ダッフィーは…わたしがまもる!!」

ダッフィー「シェリーメイ!!」

わたしは力を込めてバリアを張る仕草をする。

ギュイン!

鬼神「イチッバン!!」

バキィ!!

しかし再びヒビが入る。それもとても大きなヒビとなって。

シェリーメイ「きゃぁ!!」

せっかく…みんなで楽しめるお祭りだったのに…どうして…!

鬼神「イチバンンンン!!」

ついにバリアが割られる。

ダッフィー「シェリーメイ!!!」

シェリーメイ「いゃぁぁ!!!」

…ピカッ!!!


…一方


ミニー「…え?」

デイジー「ミニーどうしたの?そんな顔して。」

ミニーがボタンを持ったまま遠くをみる

ミニー「今、シェリーメイの声が聞こえた気がするの。」

デイジー「え?シェリーメイちゃんはここにはいないでしょ?」

ミニーは窓の方へ歩く。

ミニー「なんだか…胸騒ぎがするわ…」




なにも聴こえない。
何も見えない。
ダッフィーにもミッキーにも、ミニーやみんなも…どこにもいない。

「大丈夫よ」

え…だれ?

「もうあなたは、あなたの力を扱えるはずよ」

わたしの力…?

「そうよ。今までのあなたの力もそのひとつ。怪物だって倒せるんだから」

わたしの力があれば…みんなを救うことは出来るの!?

「…ええ、できるわ」

シェリーメイ「どうすればいいの!?教えて!!」

シェリーメイ「あれ…!?」

気付いたら荒れたお祭り会場にいた。

鬼神「イチ…イチ…」

怪物は目を覆いながらふらついている。

ダッフィー「シェリーメイ!大丈夫!?」

シェリーメイ「…」

あの声はわたしの声にそっくりだった。
あの声は…誰なんだろう。
そんなことを考えていると、怪物が大きな剣を振り上げる。

シェリーメイ「!」

ダッフィー「あぶない!!」

ズドォン!

わたしは間一髪で横に避ける。

シェリーメイ「ここには…ない…」

あの怪物を倒すには…倒す方法は、分かっている。

シェリーメイ「あ!」

周りを見渡すと、射的の鉄砲があった。
けれどとても遠いところにある。

シェリーメイ「でも、あそこなら!」

わたしは鉄砲に手を伸ばす。

ヴォン!

すると鉄砲がわたしの前に現れる。
…ううん、わたしの力で素早く移動してきた。

シェリーメイ「きゃ!おもい!」

鉄砲が思ったより大きくて重い。

鬼神「イチバーン!!」

怪物が雄叫びをあげる。

シェリーメイ「だいじょうぶ!いまたすけてあげるから!」

わたしは怪物の心に向かってそう叫ぶと、鉄砲を構える。

ヴォォ…

すると鉄砲から紫色の光が漏れ始める。

鬼神「オレガ…イチバンダァーーー!!!」

剣を大きく振り上げる怪物。

シェリーメイ「ここ!」

怪物の胸に銃口を向け、引き金をひく

ガギュイン!!

何かを削るような音とともに放たれる弾丸が怪物の胸を貫く。

鬼神「ガァァァ!!!」

撃たれた怪物が大きな悲鳴をあげる。

銃口から伸びる弾の弾道がまるでレーザービームのように伸びている。

鬼神「イ…イタイ!イタイ!…イタイイイイイイイ!」

怪物がうめき声をあげる。その声はまるで痛がる子どものように聞こえた。

シェリーメイ「ごめんなさい…」

ドロッ!!

突然怪物の胸から光る液体が流れる。
その液体は、胸から徐々に怪物を溶かしていく。

鬼神「イタイヨ!イタイ…ヨ…イタ…」

怪物は光に溶けて消えた。

シェリーメイ「これで…よかったの…かな…?」

これでみんなが救われる。でも、あの怪物は…
昨日のことといい、あの怪物は何か苦しんでいるように感じた。
街の人を襲ったとはいえ、わたしの心はなにか引っかかっているように感じた。

ダッフィー「シェリーメーーイ!!」

ダッフィーの声が聴こえた。

ダッフィー「シェリーメイ!だいじょうぶ!?けがはない!?」

シェリーメイ「だいじょうぶ…」

ダッフィーはわたしが見つめる先を見る。

ダッフィー「あれ?かいぶつは?…もしかしてシェリーメイが?」

シェリーメイ「…うん」

ダッフィー「そのてっぽうで?」

シェリーメイ「…うん」

ダッフィー「…そっか…」

サラ…

持っていた鉄砲が役目を終えたかのように砂になった。

ダッフィー「…す、すごいよ!シェリーメイ!シェリーメイもかいぶつをたおしちゃうなんて!」

その言葉がわたしの心に刺さる。

シェリーメイ「ねえ…ダッフィー。あのかいぶつは、ほんとうにわるいやつひとなのかな…?」

ダッフィー「え?」

シェリーメイ「きのうダッフィーがたおしたかいぶつも、わたしがいまたおしたかいぶつも、みんなかなしんでいたの…たおしてよかったのかな…」

ダッフィー「えっと…」

ダッフィーが言葉につまる。しばらく考えたあと、ダッフィーが口を開く。

ダッフィー「でも、たおさなかったら、きっとまちのひとたちはもっとかなしむんじゃないかな…?」

ピーポーピーポー…

サイレンの音が聴こえてくる。

シェリーメイ「ダッフィー…」

ダッフィー「なに?」

シェリーメイ「きょうのこと、わたしたちだけのひみつにしよ…?」

ダッフィー「うん…そうだね」

賑わっていたお祭りの会場も、瓦礫だらけの場所になってしまった。
もし怪物をたおさなかったら、きっと街の人たちは…

ジェラトーニ「ダッフィー!シェリーメイ!」

ダッフィー「ジェラトーニ!」

ジェラトーニが向こうから走ってくる。

ジェラトーニ「すごい音がしたから来てみたけど、大丈夫だった!?」

ダッフィー「ぼくたちは…だいじょうぶだよ!」

ジェラトーニ「?」

ダッフィーが少し濁して喋る。

ジェラトーニ「あれ?シェリーメイ、頭になにかついてるよ?」

シェリーメイ「え?」

ジェラトーニ「取ってあげるね。」

ジェラトーニがわたしの頭に手を伸ばす、

ダッフィー「それ、きらきら星!?」

ジェラトーニの手にはきらきら星が握ってあった。
それはさっき女の子を助けてあげたときと同じものだった。

シェリーメイ「それ、みているとこころがポカポカしてくるのよね…」

ダッフィー「うん!すごくきれいで、ポカポカしてくるよね!」

確か、ダッフィーが怪物をたおした時も、きらきら星が落ちてきたような…

ダッフィー「なんだかこのほしをみると、ありがとうっていってるようなきがするんだ。きっと、たすけてあげたら、きらきらぼしがふってくるんだよ!」

そう言われたら…そうな気がする…

シェリーメイ「あのかいぶつさんも、ありがとうっていったのかな…?」

ダッフィー「うん、きっとそうだよ。」

ジェラトーニ「…2人とも、なんの話をしてるの?」

シェリーメイ「ううん、なんでもないよ!」

そっか、そうだよね。
このきらきら星は、暖かい光を放っている。もしかしたらこの星を集めると、素敵なことが起こるのかも…!

わたしはきらきら星をゆっくり手のひらに包んで胸に当てた。

ピカッ!

ダッフィー「うわ!」

ジェラトーニ「うぎゃ!」

そしてきらきら星が輝き始める。
きらきら星は空高く昇り、虹色の粉を振りまき始める。

シェリーメイ「これって…!」

虹色の粉が辺りにふりまかれると、みるみるうちに広場が元通りになっていく。

シェリーメイ「そっか…やっぱり、きらきらぼしがなおしてくれていたのね…!」

昨日はよく分からなかったけど、やっぱりきらきら星のおかげで街が治っていた。

そしてきらきら星が落ちてきて、わたしのブローチの中に吸い込まれる。

ダッフィー「そっか、きらきらぼしはブローチの中に入っていたんだね!」

ダッフィーがそう言うとブローチがほんのり光り始める。

ジェラトーニ「よく分からないけど、ぼくもそのきらきら星?集めてみようかな?」

ダッフィー「そうしようよ!ね、シェリーメイ?」

シェリーメイ「うん!」



わたしの力やきらきら星、怪物とか、わたしの知らないことが多いけど、もしかしたらわかる時が来るのかもしれない。
そして、それをミッキーにヒミツにしていることもいつかはバレてしまうのかもしれない。
そんなことを考えても仕方がないし、疲れてしまうから、今わたしとダッフィーができることをしていくのが1番ね。

つづく

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「He name is Gelatoni」



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