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CS運営の手引き

1 はじめに
(1)自己紹介とか
 大阪を中心に関西圏でCSを開催している禿鷹(@hagetaka_ygo)といいます。
 今回は,2回に分けてCS運営について書かせていただきます。
 現在,コロナウイルスの影響も落ち着きを見せ,各地でCS開催数が増加している傾向にあります。
 1プレイヤーとして,各地のCSに遠征に行った際に,運営目線でCSを見ると色々な発見があるため,今回はそれを皆さんに共有しようと思います。 
 今回は,CS開催の注意点を中心に書いていきますので,今後,CSを主催したいと思っている人,現在CSを主催しているけど自信がない人向けの内容となっています。

(2)CSとは
 「ChampionShip」の略で「CS」と言われています。
 「CS」は,一言でいえば,競技性の高い大型非公認大会です。いわゆるガチ勢が勝つために集まる大会ですね。
 遊戯王の公認大会と違って参加費が必要なため,参加するプレイヤーは勝つために遊戯王を可能な限り研究しています。極稀にその熱が間違った方向に向いている人がいますが,基本的には非常に「熱い」遊戯王が繰り広げられています。
 参加者の目的は,基本的に「勝利すること」なので,「勝つためにどういう戦略を立てるのか」「勝つためにどう構築するのか」「勝つためにどうプレイするのか」ということに重きを置いています。

(3)本稿の目的
 今回の記事の目的は,CS開催について理解してもらうことになります。
 現在,コロナウイルスの影響も落ち着いてきており,全国各地でCSの開催が増えてきました。その一方で,初めてCSを主催するという方も多いにもかかわらず,CSの運営についてのマニュアル等は存在していません。基本的には個人の感覚によって運営されていることが多いです。
 その結果,色々不備のあるCSが開催されているという話も耳にします。
 ジャッジ対応の部分で不満の声が上がることは非常に多いですが,そもそものCS運営自体に不備があるという意見も少なくないため,CS運営で禿鷹CSが気を付けていることについて共有したいと思います。
 禿鷹CSはこれまで20回以上CSを開催しているため,蓄積されているノウハウがそれなりにあると自負しています。そのノウハウを共有し,今後CSを主催する人,現在CSを主催しているけど自信がない人に,自信をもってCSを開催してもらいたいと思います。
 この記事を読めば,CS運営についてある程度は理解できるようになると思いますので是非参考になればと思います。

2 CS開催まで
(1)会場の予約
  CSの開催にあたり,1番最初に必要なのは会場の準備です。
  会場には,以下の要素が必要になります。

  ①人数分の椅子や机が借りられること
  ②参加者全員が同時に対戦できる広いスペースであること
  ③カードゲームの大会に利用できること
  ④長時間借りられること
  ⑤参加費を徴収できること

 これらの要素を満たしているのであれば,カードショップでも公民館でもどこでもいいと思います。
 会場の予約は参加者への周知等を踏まえると少なくとも1か月前には予約しておきたいところです。

(2)大会のルール決定
 次に,大会のルールを決定します。
 「個人戦にするのか,チーム戦にするのか」「スイスドローにするのか,ダブルエリミネーションにするのか,トーナメントのみにするのか」といった大会形式から,どの制限改訂を用いるのかといったところまで決定します。
 また,違反に対する罰則等についてもあらかじめ決定します。
 色々と考えることは多いですが,基本的には他のCSで採用されているルールを参考にし,納得できないところは変えればそれでよいと思います。
 なお,以下の説明では,遊戯王のCSでもっとも採用されている「予選スイスドロー,決勝トーナメント」で話を進めます。

(3)賞品の決定
 ルール決定後は,賞品の決定が必要になります。
 優勝賞品はどうするのか,何位まで賞品を出すのかといったところを決定します。
 会場費や人件費その他費用も必要になるため,そのあたりも計算して設定します。

(4)イザジン作成
 会場の予約・ルール及び賞品を決定したら次はCSの告知と事前エントリーの準備に入ります。
 これらを一気に解決してくれるのがCS情報掲載サイト「イザジン」です。
 イザジンでは,
 ①イベントの公開設定
 ②イベント告知ページの設定
 ③参加者の管理
 ④大会・イベント結果掲載の設定
 ⑤その他の便利機能
 が無料で利用でき,多くのCSで利用されているほぼ必須な便利サイトです。
 使い方は非常に簡単で,
 ①主催者アカウントを作成,ログイン
 ②大会イベントの作成
 ③必要事項の入力
 と,これだけで本格的なイベントページが作成できます。
 書き方に困ったら,他のCSを参考にして作成すればいいです。

(5)当日使う用品の準備
 スコアシートを使用する場合,前日までに作成して印刷しておきましょう。当日は思ったより慌ただしいため,印刷の余裕はありません。
 動画卓を設定するのであれば,カメラや三脚といった必要機材の準備が必要です。
 賞品に特別な準備がいる場合も前日までに準備が必要になります。

(6)広報
 イザジンを作成しただけでは,告知が十分ではありません。ほとんどのプレイヤーは自発的にイザジンを見ないため,多くのプレイヤーが利用しているTwitterで告知します。
 後述するデッキレシピ提出の管理にも使用するため,CS運営用のTwitterアカウントを作成します。そして,Twitterで告知をするとプレイヤーたちがリツイート等で拡散してくれます。有名なプレイヤーがリツイートしてくれると一気に閲覧数が伸びるので,できる限り拡散してもらえるように何度もツイートすることが大切です。
 最近は,事前エントリーが大会直前まで伸びない傾向にあるので,何日かに1回のペースで告知ツイートをするのがおすすめです。

(7)事前エントリーとキャンセル対応
 CSの告知をしたら次は事前エントリーです。エントリーの開始日や時間はCSによって様々です。
 個人的な意見ですが,開催日に近いほどドタキャンが減り,遠いほどドタキャンが増える傾向があります。
 一方で,事前エントリー開始と大会の日付が近すぎると予定も立てづらいです。プレイヤーには社会人も多いことに配慮すると,遅くとも1か月前くらいから告知を開始し,2週間前から事前エントリーを開始するというのがバランスが取れていると思います。
 事前エントリーは,イザジンで自動で設定できるようになっているため,それを利用しましょう。
 また,参加登録はなるべく確認して受付を行うようにしましょう。イザジンのシステム上,登録を受け付けないと登録者数に反映されないため,受付をしていないと,見かけ上,不人気なCSのように見えます。

 モチベーションが高い人ほど参加人数の多い大会に参加しようとするので,できる限り参加人数が多く見えるような工夫が必要です。

 意外と面倒なのが,キャンセル対応です。
 イザジンを経由して,参加キャンセルの連絡が来ることが多いですが,ほとんどの人が「本名のみ」を名乗って連絡してきます。この場合,主催者側で本名からHNやイザジンの登録番号を探さないといけないので大変な手間になります。
 禿鷹CSでは,名前だけのキャンセル連絡の場合,対応ミスにより当日キャンセルになったとしても,すべてプレイヤー側の責任としています。
 ※禿鷹CSでは当日無断キャンセルを行った場合,次回以降,事前エントリーを受け付けず,すべて当日枠にまわってもらうルールにしています。

3 CS当日~1回戦マッチングまで~
(1)会場設営
 CS主催者は1番最初に開場に到着するようにしましょう。
 会場によっては1から設営をしないといけません。設営が遅れて試合開始が遅れることがないようにしないといけません。
 コロナウイルスの影響で一定の距離を離さないといけない等の配慮も必要になる場合もあります。
 個人的には,会場の開場時間に会場入りし,参加受付開始の30分前から会場設営を開始しておくのがベストだと思います。

(2)参加受付
 参加者から参加費を受け取り,スコアシートを渡します。
 このとき,デッキレシピの提出方法等もあわせて説明するとスムーズです。

 参加人数が多い場合にはホワイトボードに提出方法や大会形式を書くなどして対応の負担を減らす工夫もできるとなおよいです。

(3)スコアシート・デッキレシピの提出確認
 スコアシートを置いてマッチングすることが多いので,スコアシートは,1回戦のマッチング開始までに提出してもらいましょう。
 告知の際に作成した運営TwitterアカウントにDMでデッキレシピ提出を提出してもらいます。個人用のアカウントと混同すると,個人の連絡と混ざったりしてわかりにくいため,可能な限り運営用アカウントは作成した方がよいです。
 デッキレシピ提出については,プレイヤーがかなり自由な方法で提出してきます。分布集計や入賞報告の際に非常に手間がかかるため,主催側でルールを決めてプレイヤーに守ってもらった方がいいと思います。
 禿鷹CSでは,レシピ提出については厳格にルールを設定していますので,不備がある場合にはルール違反として取り扱い,1回戦をシングルロスとして取り扱います。この辺りはルール違反に対する考え方の違いになりますので,次回の記事で説明します。

(4)試合のマッチング
 禿鷹CSでは,マッチングは,スコアシートを机に置いていていく方式を採用しています。
 他のCSでは,TCGマイスターやTCGペアリングメーカーを用いてマッチングするCSもあります。
 多数のプレイヤーが参加するため,なるべく速やかにプレイヤーが動けるような配慮をすると進行がスムーズになります。
 一例としては,マッチング前に「まずは全勝卓からマッチングします」「1敗のチームのマッチングをします」等のアナウンスは効果的に機能します。
 なお,関西のプレイヤーがチーム名や登録名でふざけている場合も少なくないため,禿鷹CSはイザジンの登録番号でマッチングのチームを発表するようにしています。

4 CS当日~1回戦マッチング後~
(1)開会式・ルールの説明
 軽い挨拶、スタッフ紹介、ルール説明、諸注意などを行います。
 長すぎるのも進行に響くのでなるべく手短に進めます。あらかじめ何を話すのかをスマートフォンのメモに書いておき,それを読み上げると早いです。
 残念ながら,プレイヤー側は大会の熱気にあてられて主催の話を聞いていないことが多いです。そのため,マイクを借りられる会場であれば,マイクを借りて全体に声が通るようにした方がよいです。

(2)試合開始の宣言
  

(3)デッキ分布の集計
 できる限り早い段階でデッキ分布の集計はとりましょう。
 この段階でデッキレシピの提出不備が確認できたりしますので,不備を発見した場合には次回戦から対応することになります。

(4)ジャッジ対応
 プレイヤーにジャッジとして呼ばれることがあるので対応します。基本的に,カードの裁定については,プレイヤーにKONAMI事務局に電話してもらえれば十分なことが多いです。
 2人以上で主催している場合,ヘッドジャッジを決めてその人に裁定や罰則を決めてもらうようにすると一貫した対応ができると思います。
 なお,ジャッジの基準や考え方については次回の記事で説明します。

(5)会場の見回り
 デッキ分布の集計が終わったら会場内を見回ります。
 主催が見回ることでチート等を心理的防ぐ効果もありますし,ちゃんと大会を見ているというアピールにもなります。また,プレイヤーに呼ばれた際に速やかに対応できるようになります。
 会場内にペットボトル等のゴミを置きっぱなしにしているプレイヤーも少なくないので,ゴミを拾って捨てたりもします。

(6)2回戦以降のマッチング
 2回戦以降のマッチングは,基本的には同じオポイント同士のプレイヤーを当てることになります。スコアシートで管理している場合,小数点以下まで暗算するのは難しいため,同じ回戦で負けている人を当てるという意識でマッチングをすればよいと思います。

5 CS当日~予選終了から大会終了まで~
(0)レシピチェック
 予選ラウンドが終了した後,時間に余裕がある場合には必ずレシピチェックをしましょう。
 レシピチェックの方法は,Twitterアカウントに送られたデッキレシピと実際に使っているデッキがあっているのかを確認するだけです。デッキレシピの際に写真で送ってもらっている場合は照合するのが早く済みます。
 また,デッキ提出の際に,モンスター・魔法・罠を分けてもらうと確認がしやすいです。

(1)決勝トーナメントのマッチング
 決勝トーナメントのマッチングは自由です。
 禿鷹CSでは,予選スイスドローの順位を計算し,その順番にしたがってマッチングするようにしています。

(2)決勝トーナメントの分布集計・ジャッジ対応
 予選と同じく,分布集計を行い,ジャッジ対応も行います。   
 決勝トーナメントのときには,KONAMI事務局も閉まっている時間になることが多いので,裁定についても対応する必要があります。

(3)閉会式,賞品の受け渡し
 決勝トーナメントが終わったら表彰を行い,賞品を渡しましょう。

(4)会場の片付け
 大会終了後も会場の制限時間まではフリースペースとして解放しても構いません。
 ただし,速やかに撤収できるように徐々に片付けていった方がよいと思います。
 会場内に忘れ物やゴミの置き忘れ等がないように確認して撤収します。

6 CS後
(1)結果発表
 大会終了後,Twitterアカウントにて大会の結果を発表します。
 Twitterアカウントで発表することで色々なプレイヤーに大会の存在が周知されるため,次回以降参加者が増えるといった副次的な効果も期待できます。

(2)反省
 CSの運営で反省がないということはほとんどありません。
 「あそこのジャッジ対応がよくなかった」「ここのマッチングに時間がかかりすぎた」等の反省点は必ず見つかります。
 また,プレイヤーによってはTwitter等でCS運営の問題点やジャッジ対応の不備について指摘をする人もいます。
 そういった反省点を洗い出して次回のCS運営に向けて自分自身をブラッシュアップします。

(3)次回開催に向けての動き
 反省まで終わったら,次回開催に向けて上記「2 CS開催まで」からを繰り返します。

7 最後に
 以上が私がCSを開催する際に気を付けていることになります。
 これ以外にも気を付けるべきことはあると思いますし,私が個人的に気づいたら加筆修正していきますが,ひとまず,この辺りを押さえていればそこまで不満の出ないCS運営ができると思います。
 「これはどうしたらいいか」、「これも書いてほしい」など質問や意見等ある方は、禿鷹(@hagetaka_toyger)でお気軽にどうぞ、返答後こちらの記事にも随時追記していきます。

 ここまで読んでくださりありがとうございます。
 CSの開催数の増加は物凄く喜ばしいことですので,主催をしてみたいと思う人に参考になればうれしいです。

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