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旅という暮らし方 (徳島宿プロジェクト)

倉庫暮らしも少し板についてきた。渡船に乗って買い出しに行ったり、防波堤で晩酌したり、釣り人と談笑したり。ご近所さんだけでなく、出会う人皆に愛想よく挨拶したりしていると、みんな心を開いて話を聞かせてくれる。

「こんにちは」「ありがとう」「さようなら」たった5文字の言葉だけど、ここに笑顔が伴うと、人と人の距離がすぐに縮まる。どうしてこれまでこんな簡単なことができなかったんだろうか。まあ大阪の街中で誰彼なしに挨拶していると変人扱いされるので仕方ないことかもしれないが、こうした当たり前の暮らしのマナーの大切さをこの歳になって、しみじみと感じている。

気分良く暮らして笑顔で人に接していると、それが伝わるのか、みんなとても優しくしてくれる。それでまた気分が良くなり、朝焼けや夕日、鳥の声、野良猫たちとの戯れ、防波堤での立ち飲み、そんな一つ一つがエンターテイメントになる。

防波堤での晩酌風景

暮らしと旅は、何が違うのだろうか?。

どちらも人の営みには変わりないはず。
テレビなどで人気の旅は、現実の暮らしを忘れるための旅で、非日常を味わえる体験を売りにしているものが多い。それはそれで、日常のストレスを忘れる、もしくは忘れたいという心の浄化作用としては良いと思うけれど、旅を終えて現実の世界に帰ると、魔法が解けたシンデレラみたいに、あっという間に元通りになってしまうのは少し悲しい気もする。

できれば、そこに暮らしているような目線で旅を味わい、日常の中に美しいもの、素晴らしいものを発見し、家に帰った後もその余韻で、日々の暮らしの質が少し良くなるような、そんな生きることそのものを深く味わうような旅がいいなと思う。

そんな旅のお役に立てる宿ができれば最高だな!。

倉庫に暮らすようになって、そんな思いが一層強くなった。

人生は、出会いと別れを繰り返すものだが、旅の中ではその周期が短く濃い。
いわば人生の縮図のようなもの。
旅先で誰とも話さないのは旅の楽しさが半減するようなもの。

一期一会という言葉は「旅」にこそ、とても良く似合う気がするな。



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