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NOMAyado column

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兵庫県と徳島県、4年間の2拠点生活を経て、2022年1月から始まった宿プロジェクト。思いをカタチにしていく中で、何を考え、心がどう反応したのか、ありのままの記録と、宿をやっていく… もっと読む
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#鳴門宿泊

「暮らし」が仕事、仕事が「暮らし」

兵庫・徳島の2拠点生活を始めて、まる6年になる。 当初徳島は、親の介護や仕事のストレスから逃れるシェルターとして、月に数日、美味しいものを食べたり、サーフィンをしたり、言わば心の洗濯をするための場所だった。だからというわけではないが、急ぎの仕事を持ち込んでもさっぱり進まなかったし、心が浮かれているせいか、ゆっくり本を読むなんて事もできなかった。 月日は流れ、いつの間にかその立ち位置は逆転。 兵庫は月に数日、映像仕事などの用事を済ませるために向かう場所になっていた。 ・・

続・「言葉」が導くもの

先日このnoteで名言集めいた記事を掲げたのだが、その後もお客さまと話していて心を動かされる言葉をたくさんちょうだいし、「続・言葉が導くもの」を書くことにしました。今回は、漢字の意味するところ、なかなか深いです。 「糸へんに売ると書いて続く」 これは奈良でSaredoという糸ブランドを展開されているお客さまから聞いた言葉。お客さまは、奈良の地場産業である靴下用の糸を製造されている工場の跡取り。近年靴下の生産が中国などへと移り、出荷量が減少。そんな逆風の中でも、楽しみながら、

泊まるだけじゃない NOMAyadoへ

知識も経験も足りないままに始めた宿。 自己満足的に自分が価値だと思っていることを楽しんでいただけるのも嬉しいけれど、逆にお客様から教えられて気づく価値もある。 先日、大型バイクに乗って来られたお客様とお話しをしていて、宿選びはいい駐車場を確保できるかが大きなポイントになることを知った。ようは街中のビジネスホテルのような場所だとバイク用の駐車場というのが少なく、変なところに停めておくと悪戯されたり、場合によってはバイクごと盗難に遭う心配が付き纏うという。 その点、NOMA

大人たちよ、一人旅に出よう!

想像していたのと違って、一人旅で宿を訪れるのは若い女性が多い。 てっきり、思いが伝わる同年代の方々がやってくるものと思っていたのだが、分からないものですね。 「大人の一人旅」というコンセプトで始めた宿だけど、よく考えると熟年層の大人達は、家族もいるし、親の介護だったり、また責任ある仕事を任されて、一人旅どころではないのかも。本当はそういう人にこそ、ゆっくりと休んで、癒されてほしいのですが、現実的なことを考えると確かに難しいのかもしれません。 けれど、若い女性たちは、遠慮

蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)

1年を24の季節に分ける二十四節気。 さらに細かく72に分けた七十二候(しちじゅうにこう)というのがあるんですね。 季節ごとの鳥や虫、植物、天候などの様子が72の時候の名前になっていて、なんと約5日ごとの自然の変化を捉え、きめ細かな季節の移り変わりを伝えている。 そしてまさに今の時候が、この「蚕起食桑」ということになるようだ。 読んで字のごとく、蚕が桑の葉をたくさん食べて成長する頃という意味。昔から貴重な絹糸を生み出すことで大切に育てられてきた蚕。人々の暮らしを支えてきた「

自分を生きるだけ

宿を始めて、気づいたことがある。 それは心に溜まった澱のようなもの、言い換えれば、ある種自分の中では解決したつもりだけど、納得はしていないといった心の重しを吐き出すには、一人旅という環境と、まったくしがらみの無い人間関係というのが役に立つということ。 仲の良い人なら、聞き出すのにきっと何年もかかるような話を出会ってたかだか数時間で聞くことがある。例えば、「どうして離婚されたんですか?」といったふとした疑問に、思いがけない深度で話が帰ってきたりもするから・・・ まあそれを

何もないという贅沢

GWが終わって、すっかり落ち着いた感のあるNOMAyado。 それでも日替わりで、いろんな人が訪ねてきてくれる。地元情報紙の取材の方だったり、鳴門でシーカヤックやSUPなどの体験ツアーを開催されている方だったり、はたまた時々顔を出すスパイスカレー屋の店主だったり、私の知らないところで少しは噂になっているようで、嬉しい限りです。 なぜか今まで外見より大切なのは中身だなんて、天邪鬼な気持ちがあったけれど、 改めて外見がちゃんと整っていることで、人が興味を持ってくれるものなんだ

いろんな神がいるもんだ!?

初めてのお客様を見送って、ほっと一息。 そこからしばらく予約はなかったのだけれど、地元の新聞や情報誌の取材依頼が相次ぎ、慣れない小忙しさが続いた。カメラを向けられてもうまく微笑めない、どんな顔をしていたのだろうか・・・一抹の不安がよぎる。 りんご箱の収集でお世話になったリサイクルショップ・くるくるリユースの店主が 毎月ビーチクリーンを主宰されており、興味を持っていろいろお話を伺っているうちに次回NOMAyadoと共催で目の前の海岸を清掃しましょうという話になった。 そこ

年齢も経験も、もう言い訳にしない

2023年4月1日、快晴 NOMAyadoは、ついにオープン日を迎えた。 ・・・とはいえ、この日の予約はなし。 誰が訪ねてくる訳でもないのに落ち着かず、客室に掃除機をかけたり、窓を磨いたりして過ごした。奇しくもその日はエイプリルフール、お客さまのいない部屋を眺めながら、ここは本当に実存する場所なのかと自問自答した(笑)。 実際にお客さまが来られたのは、それから2日後のこと。 鳴門駅に車でお迎えに上がると、現れたのは想像していたよりもずっと若い女性。ある仕事のプロジェクトが

宿を始めるということ (徳島宿プロジェクト)

このnoteも随分ご無沙汰してしまいました。 3月に入って、地元の親友に最終の設備工事を手伝ってもらったり、プレオープンが始まって、実際たくさんの友人たちに泊まってもらって、意見をもらったり、友は本当に有難いもの。みんなのおかげで気づけたこともたくさんありました。 その他、ホームページ用の写真やドキュメント映像の撮影に知人が駆けつけてくれたり、お披露目会で設計事務所の方をはじめ、ご近所の方々、徳島で知り合った方々にもたくさんお祝いしていただき、一人じゃないんだと本当に幸せ