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NOMAyado column

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兵庫県と徳島県、4年間の2拠点生活を経て、2022年1月から始まった宿プロジェクト。思いをカタチにしていく中で、何を考え、心がどう反応したのか、ありのままの記録と、宿をやっていく… もっと読む
運営しているクリエイター

#倉庫暮らし

宿の名前は「NOMAYADO」になりました  (徳島宿プロジェクト)

「NOMAYADO」という名前は、かつて10年に渡って営んでいたギャラリーの名称「NOMA」に由来しています。当時「NOMA」で行われるイベントには、それぞれ思いを込めて個別の愛称とロゴを用意していました。 例えば、クリエイター作品の展示販売イベントは「NOMAMISE」、 ライブイベントは「NOMAOTO」、サロンイベントは「NOMAYORU」など。 その流れで行くと、宿をやるのだから「NOMAYADO」か・・・。 遊牧民を意味する言葉「ノマド」を連想させるし、「大人の

まずはカラダをリセット (徳島宿プロジェクト)

今年5月、改装工事が始まるまでと気軽に始めた倉庫暮らし。 しかし、気が付けば季節は春から秋へと移り、はや6ヶ月が経過していた。 その間、自炊もままならず、網戸もエアコンも無いまま猛暑の夏を過ごした。 過酷な生活環境や外食ばかりで乱れた食生活、サーフィンでカラダを動かしていたとは言え、徐々に体重は増え、血圧も上昇、冷えのせいか腰痛も出始めた。 倉庫も開け渡し工事も始まったことだし、宿の開業準備が本格化する前にカラダのメンテナンスをしっかりしておこうと考え、まずは腰痛からとお

旅は散歩の先にある (徳島宿プロジェクト)

先日、建築事務所と宿改装工事に関する請負契約書を交わした。 最近はハンコを押すということも無く、オンラインで名前を入力して終わりといった感じ、まあ時代と言えば時代なのだが、儀式感が無いのが少し寂しい気もした。 ようやく工事が始まるのかと思う反面、とっ散らかったまま整理できていない宿の有り様というのか、いろんなアイデアをそろそろ整理する必要に迫られてきた。 次々と自由にアイデアを出すという作業は楽しいけれど、ちゃんと整合性を持たせ整理するという作業はなかなか大変で、重い腰が上

見えてきたカタチ 見えてきた思い (徳島宿プロジェクト)

倉庫に暮らし始めて、早6ヶ月。 春、そして夏が過ぎ、朝晩寒さも感じる秋になった。 随分時間も手間も掛かったけれど、ようやく諸々の見積もりや申請、許可取りの作業に目処がついて、宿改装に向け具体的なイメージプランも出来上がってきた。 (表題写真は客室の小窓から海側を見たイメージ、ガラスの向こうに海が見える) これまでの打合せで、おぼろげに想像していた世界そのものなんだけど、リアルに想像できるようになることで、ここから先の準備や運営のスタイルなどが現実味を帯び始め、ビジネスとして

The answer is blowing in the wind (徳島宿プロジェクト)

多くの被害をもたらした台風14号。 ここ鳴門も例外ではなかったようだ。勝手口ドアのガラスが割れていると報告を受け1週間ぶりに倉庫に来てみると、厚さ5mmはある鉄線入りのガラスがすっかり姿を消しており、ドア自体が大きくねじれて閉まらなくなっていた。 取り急ぎプラダンで開口部を塞ぎ、床に散らばった細かいガラスを掃除機で吸い込む。ご近所さんのお話では台風発生時、鳴門では竜巻注意報も発令されており、猛烈な風に見舞われていたようで、私の倉庫同様、窓ガラスが割れたり、駐車場の屋根が飛ば

良くも悪くも2交代制!? (徳島宿プロジェクト)

スイスイと上手く事が運ぶ時期もあれば、何かと上手くいかない時期もある。 私の場合、昔から2交代制の工場のごとく、ある周期でキッチリ入れ替わる。 その切り替わりは何となくだが、朝起きたときの雰囲気で不思議と分かるのだ。 すると、自信に溢れ強気だった自分があっという間に、不安で弱気な自分になる。あの自信は何処へやら・・・切り替わると前のことはすぐに忘れてしまう。 今回、連休の始まるちょうど1週間前に鳴門に出向いていた。 嬉しいことに毎日波があり、毎朝2時間ほどサーフィンを楽し

秋の仕業!? (徳島宿プロジェクト)

近頃は夏と秋がまばらだ。 昼間には蝉たちが鳴き、夜には虫たちが鳴く。 水平線には入道雲が沸き立ち、頭上には鱗の雲が散らばる。 季節というのは、ゆっくりとフェードするわけではなく、 一日の中で共存しながら、少しづつバランスを変えていくものなんですね。 倉庫はエアコンもなくまだまだ暑いので、昼も夜も窓・扉を開け放っている。 蚊たちは季節を察知して、姿をあまり見せなくなったが 船虫たちは季節感がないのか、倉庫内を我が物顔で闊歩していたりもする。 油断するとノラ猫たちも・・・ 昼

常識を疑え (徳島宿プロジェクト)

倉庫という場所を人が快適に過ごせる場所に改装するには、思っていたよりずっと手間とお金が掛かるということが身に滲みて分かってきた。 計画当初、自分の思いを設計士にぶつけたところ、補助金でもらえる額の4倍の見積書が届き、目の前が真っ暗になった。設計士は何か高級な宿を作ろうと勘違いしているのでは無いか・・・現実を受け止められず、知り合いの建築関係者にもグチをこぼしたのだが、特別凄いことをしようとしているわけでも無いし、ある種真っ当な見積もりだと言われ、ますます目の前が暗くなった。

あるがままを受け入れ、楽しむということ (徳島宿プロジェクト)

猛暑日が続く中、改装の細部打合せや、役所への申請などの用事をこなすため、昨日までエアコンも無い鳴門の倉庫に滞在していました。 奥さんも誕生日と言うことで鳴門で美味しいものでも食べようと同行することに。暑さで音を上げるかなと思いきや、まんざらでも無い様子。どちらかというとバテていたのは私の方でした。普段から彼女は「あるがままを受け入れ、楽しむ。」のがモットーと公言しているだけあって、この無謀とも言える状況の中でも、それを面白がる姿は、ほんと素晴らしいなあと感服しました。 せ

信じる力 (徳島宿プロジェクト)

2011年3月、東北が未曾有の震災に襲われ、原子力発電所に白煙が立ち登った。 津波で家を流され家族を失った人、流出する放射能のせいで家を追われ路頭に迷う人。表情を失い呆然と立ちすくむ人々の姿をテレビで見るに付け、「私たちに出来ることなんてあるんだろうか」と思考停止に陥った。 当時小さなギャラリーを運営しており、間近に控えたアート&クラフトのイベントを開催するべきか否か、私も参加クリエイターたちも、どうしようもない無力感に苛まれたことを今でも鮮明に覚えている。 その後、友人

みんなが知らない鳴門の魅力(徳島宿プロジェクト)

鳴門と言えば、鳴門鯛、鳴門金時、鳴門わかめなどが全国的に有名ですが、他にも魅力的な隠れた名物がたくさんあります。豊かで美味しい水、また肉・魚・野菜、どれを取ってもクオリティが高く、まさに関西圏の「食」を支えていると言っても過言ではありません。 鳴門と徳島市を結ぶ汽車に乗っているとこの時期車窓にたくさんの蓮の花を見ることができます。これはすべてレンコン畑で、出荷は9月に入ってからですが、徳島県は全国のれんこん3大産地といわれており、出荷量は茨城県に次いで全国2位。中でも、鳴門

鳴門の朝ごはん事情(徳島宿プロジェクト)

早いもので倉庫暮らしも、そろそろ3ヶ月になる。 外食ばかりではお金も掛かるし、自炊を・・・とも思うのだが、この時期空調も無い倉庫で火を使うのはさすがに辛く、お湯を沸かして珈琲をいれるのが精一杯。 開設予定の宿では、食事の提供は考えておらず、好みに合わせてきめ細かくおいしいお店を紹介するスタイルを取ろうと考えていることもあって、外食をリサーチと捉え、この3ヶ月自らの足と舌で鳴門の美味しいご飯屋さん情報を集めてきました 今日はそんな中から、オススメの朝ごはんをご紹介したいと思い

同じなんて つまんない (徳島宿プロジェクト)

意識は「同じ」を求め、 感覚は「違い」を求める これは敬愛する養老孟司さんの言葉 海辺の倉庫に暮らしていると良く分かるが、自然に接して使うのは「感覚」だ。 同じように見える海の景色も、潮の満ち引きや天候で刻々と姿を変える。 海をプールと同じように考えると大ケガをするし、美しいだけでは済まないこともたくさん。網戸もエアコンも無い隙間だらけの倉庫暮らしは、蚊帳を吊って窓を開けるなど、日々変化する自然に合わせて快適さを探る暮らし方が必要になる。 海から受けるパワーは大きくて、

これはお告げなのか!?(徳島宿プロジェクト)

いやー毎日暑いですね、じっとしているだけでも嫌な汗が滲んでくる・・・。 そんな中、鳴門の倉庫に寝泊まりするのは流石に無謀なのかもと思いつつ、週末には設計士との打ち合わせもあるし、台風一過で波も上がっていると心が騒ぎ、我慢できずに鳴門へ向かう。 青空の元キラキラと輝く海、明石海峡大橋の3車線の道を心地よく走っていると、どこからかサイレンの音。いつの間にかバックミラーに覆面パトカーの姿が・・・ まさか、俺? 橋を渡ってすぐのSAへと誘導され、23キロオーバーのスピード違反だと告