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NOMAyado column

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兵庫県と徳島県、4年間の2拠点生活を経て、2022年1月から始まった宿プロジェクト。思いをカタチにしていく中で、何を考え、心がどう反応したのか、ありのままの記録と、宿をやっていく… もっと読む
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2022年8月の記事一覧

小さな漁村を支える赤い箱 (徳島宿プロジェクト)

宿の予定地である倉庫前には、もともと自販機が1台設置されていた。 いろんな飲料メーカーの商品が雑多に入ったもので、ほとんどが100円。見た目は赤くて遠目にはコカコーラ風だが、実はよく正体がわからない。正直あまり良い印象を持っていなかったので、不動産契約をするときに、今後宿をやるのに自販機はいらないので撤去して欲しいとお願いした。 すると、それを聞いた自販機の営業マンがわざわざ大阪から訪ねてきて、何とか宿がオープンするまでの間だけでもいいので置かせてほしいと懇願された。一応話

デザイン vs 機能 (徳島宿プロジェクト)

昔々、まだ映像プロダクションに勤めていた昭和の時代、社長によく「映像というのは情報ではなく、感動を伝えるのが仕事なんだ」と口酸っぱく言われていた。 「予算がないから無理です」なんてのは無能な人間のいい訳だと・・・。 まだコンピューターグラフィックが珍しかった頃、作品に少しだけCGを使うとか、登場人物だけはお金を掛けて外人モデルを起用するとか、例え予算が少なくても、見栄えも中身も工夫して顧客に感動を提供する、そんな社長の方針はバブルの波にも乗り、当時はほとんど家にも帰れない

悩ましい選択 (徳島宿プロジェクト)

インバウンドの追風を受け、誰もが手軽に始められるようになった民泊ビジネス。 ただひとくちに民泊と言っても、実はその中に2つの事業法が存在している。 ひとつは、マンションの1室など普通の住宅をそのまま貸し出す住宅宿泊事業。 そしてもうひとつが、旅館業法に属する簡易宿所というもの。基本的に宿をやるということでは何も変わらないのだが、届け出の方法や規制などに違いがある。 住宅宿泊事業は、手続きも楽で簡単に始められるが、宿泊日数が年間180日までという規制が有り、2ヶ月毎に宿泊状況

あるがままを受け入れ、楽しむということ (徳島宿プロジェクト)

猛暑日が続く中、改装の細部打合せや、役所への申請などの用事をこなすため、昨日までエアコンも無い鳴門の倉庫に滞在していました。 奥さんも誕生日と言うことで鳴門で美味しいものでも食べようと同行することに。暑さで音を上げるかなと思いきや、まんざらでも無い様子。どちらかというとバテていたのは私の方でした。普段から彼女は「あるがままを受け入れ、楽しむ。」のがモットーと公言しているだけあって、この無謀とも言える状況の中でも、それを面白がる姿は、ほんと素晴らしいなあと感服しました。 せ

信じる力 (徳島宿プロジェクト)

2011年3月、東北が未曾有の震災に襲われ、原子力発電所に白煙が立ち登った。 津波で家を流され家族を失った人、流出する放射能のせいで家を追われ路頭に迷う人。表情を失い呆然と立ちすくむ人々の姿をテレビで見るに付け、「私たちに出来ることなんてあるんだろうか」と思考停止に陥った。 当時小さなギャラリーを運営しており、間近に控えたアート&クラフトのイベントを開催するべきか否か、私も参加クリエイターたちも、どうしようもない無力感に苛まれたことを今でも鮮明に覚えている。 その後、友人

みんなが知らない鳴門の魅力(徳島宿プロジェクト)

鳴門と言えば、鳴門鯛、鳴門金時、鳴門わかめなどが全国的に有名ですが、他にも魅力的な隠れた名物がたくさんあります。豊かで美味しい水、また肉・魚・野菜、どれを取ってもクオリティが高く、まさに関西圏の「食」を支えていると言っても過言ではありません。 鳴門と徳島市を結ぶ汽車に乗っているとこの時期車窓にたくさんの蓮の花を見ることができます。これはすべてレンコン畑で、出荷は9月に入ってからですが、徳島県は全国のれんこん3大産地といわれており、出荷量は茨城県に次いで全国2位。中でも、鳴門